様々な力が拮抗する現状は当面変わらず・・・・
先ずは金融政策の方向性ですが、米国はテイパリング(量的緩和ペースの縮小)を開始しており、一方で日銀は量的質的金融緩和を継続していますから、この面からは、緩やかなドル高・円安になると考える事が自然です。
次に、期末要因ですが、日本側では、機関投資家の決算前の利食い売りが予想されますから、これは円高・ドル安要因。一方で、四半期末には、米国企業も本国への利益送金を行いますから、此方はドル高・円安要因であり、結局、どちらの要因が勝るかは解らず、此方の要因は決め手とはならないと思われます。
第三に新興国リスク関連です。先週末からはロシア軍のクリミア半島での展開等が悪材料視され、一時、リスク・オフの円買いが強まりました。又、中国人民銀行の人民元相場への揺さぶりや、トルコ、タイ等の政情不安も一筋縄ではいかない状況ですから、時々の状況次第で、相場をかく乱するとは云え、基本的には、円高・ドル安材料として存在し続けるものと思われます。
最後に資金需給の動きですが、日本の貿易赤字は昨年12月に単月で1兆2,000億円を超え、自然な流れとしては、円安・ドル高要因となります。但し、日々の需給では、投資マネーの動きの方が、より大きいので、黒田日銀総裁も指摘されている様に、「海外投資家の日本株売買の動向を注視」するべきですから、矢張り、日経平均株価動向等を見ながら、その場その場で対処して行くしかありません。
この様に、相場を動かす諸要因を並べてみますと、最近明らかに強まっている要因は、新興国リスクと見る事が出来、その分、円高方向に引っ張られる可能性が、昨年後半に比べると大きくなっています。それでも、日銀の金融緩和に依る大量の流動性供給が続く限りは、基本的な円安方向も変わらない事となりますから、暫くは、101.00円~103.00円のレンジを抜けるのは難しく、月内も揉み合いが続くと考えるのが自然な様に思います。