「円安を受けて買い先行、10160円の壁に再挑戦」
もちろんこの円安の背景にあるのが、自民党安倍総裁の「デフレ脱却」への執念だ。安倍総裁は日銀対して執拗なプレッシャーをかけ、次回の日銀金融政策決定会合での物価上昇率2%を確約させようとしている。日銀が約束しなければ「日銀法改正」で人事に踏み込むとしており、ある意味「ヤクザまがい」の恫喝を繰り返している。「日本経済が停滞しているのは日銀のせい」と言わんばかりである。
だが、安倍氏の政策を続けた場合、日本は壊滅的なダメージを受ける可能性が高くなる。なぜならば、無節操な金融緩和策の継続は、放漫財政を助長させ、長期金利が急上昇する危険性が高いからだ。23日のNHKスペシャルでもやっていたように、日本は「財政破綻の最有力候補」としてヘッジファンドに狙われている。米格付け会社が日本国債の格付けを引き下げたら、それが国債暴落の号令となる可能性が高いのだ。
本日の東京株式相場は買い先行となるが、円安を好感した買いであるならば、あまりにも能天気すぎるということだ。なぜならば、自国通貨が下がったことを喜んで、株を買っているからである。これは「良い円安」であるならば納得できるが、将来的には「悪い円安」となる公算は大きいのだ。「円が安くなれば輸出企業の採算が改善し、株価にプラスに働く」――そんな単純な思考回路が一蹴される日は近いのである。
つまり、「円安」「株安」「債券安」が同時に進むことになり、今の株高を維持できなくなるのだ。今の安倍相場は円安を好材料と勘違いした投資家たちの妄想相場であり、いつかその夢から覚めることになる。チャートは強気形状が続いているが、どこかのタイミングで崩れるはず。これからはその反転ポイントを見極めることが重要となってくる。
さて、問題の日経平均の日足チャートだが、週末の「失速」によって、一瞬「崩れた」と思えたのだが、円安を背景にしっかりとしたスタートとなりそうだ。
だが、10160円付近には壁が存在しており、本日もこの壁との攻防が焦点となりそう。もし、壁が存在しているのであれ、買い一巡後は急速に上値が重くなるはず。先週末と同じパターンで動き、ローソク足では陰線を引くことになるだろう。
逆に壁が消滅していれば、一気に上値余地が広がる。短期的には上方の窓(10378.54円―10410.10円)までの上昇余地があり、一気に上値模索の動きとなるだろう。
現状では「軸は上向き」と考えている。本日は買い先行によって10160円にちょっとした壁が出来るはずだから、買い一巡後は上値を抑えられるはず。したがってシカゴ日経平均先物10150円付近で寄り付いたあと、いったん10100円付近まで下落し、その後は再び上値をトライする動きになると考えたい。安倍総裁とそれに同調するマーケット参加者=「安倍一族」が物事の本質に気付くまで、この強気相場は継続するということになる。(黒岩の眼より)