「事実上の金融緩和、材料出尽くしを待つだけ」
日経平均の日足チャートでは、陽線が出現。前日の上ひげを突破しており、「軸上向き」を鮮明に映している。9075円付近にテクニカルの壁が存在していたが、日銀金融緩和報道が出たことで、軸は一気に上向きに。テクニカルの壁を乗り越えそうな勢いだ。このままだと株価は上昇スピードを加速させ、価格帯別出来高の低いところである9300円付近まで駆け上がるだろう。短期的には290円程度の上昇余地があるということだ。
だが、大本営の報道機関である日経が報じたことで、イベントしての決定会合はすでに終了したと見て良いだろう。あとは本番の決定会合で「材料出尽くし」になるのを待つだけである。ここで軸が下向きに転換するとみられ、これまでの上昇をすべて吐き出すことになるだろう。上昇を開始したのが10/15だから、この翌日に空けた窓下限(8595.11円)まで下落することになる。場合によっては「倍返し」で7000円台に一気に転落することもあり得るだろう。そのつもりで相場を見る必要がある。
そして本日、もう一つのサプライズがあった。それは石原都知事が即日辞任し、新党を立ち上げ、国政に進出するというものだ。どうやら官僚支配に業を煮やしたようであり、自らの手で国を変革しようという心意気だ。もちろん単独では何の力も発揮できないため、既成政党であり名付け親である「たち上がれ日本」との合流が前提になるのだろう。そして同じ地域政党である日本維新の会との連携を模索するに違いない。「地方の力で国を変えていく」――そんなスローガンになりそうなのだ。
だが、石原都知事と言えば、何を隠そう今回の尖閣問題の火付け役である。日中貿易が膠着状態となったのも、元はと言えばこの人のせいである。だから、後ろ盾には米国が控えていると考えるべきであり、一見「国民本位とみられる主張」も鵜呑みにしてはならない。石原氏はすでに米国の飼い犬にされており、米国に利用されている可能性が高いのだ。
そしてその尖閣周辺はといえば、また複数の中国監視船が領海に侵入している。中国は着実に既成事実を積み上げており、尖閣の実効支配を目指しているといえよう。
そんななかでの石原氏の国政進出だから、国民の支持が集まろうというもの。一気に「第三極」として頭角を現す可能性が高く、次回総選挙では無党派層の受け皿となりそうだ。それが米国の狙いでもある。
なぜならば、橋下がボロを出しており、使い物にならないからだ。自民党総裁選でも予想以上に安倍氏の支持が高く、「安倍・橋下」の連携の必要性が乏しくなったからである。そこで石原氏の登場だ。「維新の会をサポートし、受け皿としての第三極を立て直す」ということだ。もちろんこの陽動作戦は「国民の生活が第一」に票が流れないようにするという意味もある。つまり、日本の次期政権の構図は「自・公・維新+石原新党」ということであり、ここで売国政治を行うことになる。石原氏が対中政策を強化すればするほど、日中関係は悪化していく。日本経済にダメージを与え、結果的に売国行動となってしまうのだ。もし、これを契機に戦争でも起これば、アメリカはほくそ笑むに違いない。「よくぞやってくれた石原君。これで米国製の武器は売れるし、在庫一掃セールができる」と歓喜するのである。すべてはドル防衛のためだ。タカ派知事の国政進出でネット上を含めたウヨクの人たちは、胸躍るかもしれない。しかし、それは日本に対して重大な結果を引き起こす可能性があることを、十分に認識しておかなければならない。単に「中国が気にくわないから」「韓国が嫌いだから」という次元を遙かに超えているのである。もし、東シナ海で紛争でも起これば、株価は一気に下方向で反応することになるだろう。もちろん売り方にとっては喜ばしい出来事なのだが、下手をすれば日本が焦土となってしまう。放射能の「上塗り」はまっぴら御免である。