明日の株式相場に向けて=疑問符だらけのトランプ関税、トヨタ決算で視界開けるか
4日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前日比278円高の3万8798円で取引を終了。朝方に上げ幅は600円超となったが伸び悩み、3万9000円台の回復には至らなかった。米国によるメキシコとカナダへの関税発動時期の延期がショートカバーを誘発したものの、中国からの輸入品に対する10%の追加関税が日本時間午後2時01分に発動されると、急速に伸び悩んだ。
今回の米国の対応は、一見するとトランプ流の交渉術にみえるが、よくよく考えると腑に落ちないことは多い。1月20日の大統領就任初日の関税発動を見送ったと思いきや、2月1日にはメキシコとカナダ、中国に対する関税発動の大統領令に署名した。そして4日午前0時01分(日本時間午後2時01分)の発動前の土壇場でメキシコとカナダについてはトップ外交で1カ月間の発動延期が決まったものの、中国に関してはトップ会談のポーズをみせたうえで、発動に踏み切った。なぜ中国は交渉の余地を設けることなく、NOとなったのか。その判断基準ははっきりしない。
メキシコとカナダへの関税延期についても、なぜ1カ月となったのか。朝令暮改的な対応について「ディール」の一環と政権側がアピールしたとしても、ドタバタ感が否めない。「トランプ政権が一枚岩ではないことの裏返し」(中堅証券ストラテジスト)との声も聞かれる。政策遂行力に疑問符が付くのであれば、それこそが不確実性であり、マーケットが忌避するものである。
トランプ劇場の再来で、相場のボラティリティは高まった。前向きにとらえるならば、収益獲得のための機会をトランプ大統領は投資家に提供しているとみることもできるが、そこには程度の問題があるだろう。ボラティリティが急激に上昇した際には、投資家のリスクテイク余力の低下とマネーの逆回転を伴って市場にショックを引き起こす恐れが高まる。そのギリギリのところにとどまるには、きめ細やかな情報発信が求められることとなる。
そもそも対中包囲網の強化に向けて、友好国のカナダに対し関税発動を交渉道具としたのなら、同盟国の日本に対しても、同じ道具を振り回してもよかったはずだ。石破茂首相は7日にトランプ大統領と初会談に臨む。トランプ氏はどのような姿勢で石破首相と対峙するのか。固唾をのんで見守ることとなりそうだ。
こうしたなか、日本国内では企業の決算発表が本格化している。5日にトヨタ自動車<7203.T>が25年3月期第3四半期累計(4~12月)の連結決算を発表する予定だ。今期は最終利益で28%減を予想。会社側の利益予想は市場のコンセンサスを下回った状況にある。グローバル販売台数は10~11月は前年同月比で1%台の伸びを続けた後、12月は約4%減と落ち込んだ。想定為替レートは1ドル=147円で、実勢はこれよりも円安で推移していることから、為替と原価低減でどれだけ利益を押し上げられるかが焦点となる。トランプ米政権の関税策に振り回されている自動車株ではあるが、「車両ラインアップを踏まえると、トヨタはEV普及策を見直したトランプ政権下の4年間のうち2年程度は米国で盤石な事業展開が見込める」(前述の中堅証券ストラテジスト)との声もある。トヨタ株の反応が、過去には海外投資家の日本株への関心を高める要因となったこともあっただけに、目を外すことはできない。
とはいえ、この先1カ月間は少なくともメキシコやカナダに対する関税発動の有無が取り沙汰されることとなり、外需系セクターの選好姿勢も半身のものとならざるを得ない。直近では元タレントの中居正広氏のトラブル報道を機に、フジ・メディア・ホールディングス<4676.T>が動意づき、結果としてテレビ株が低PBR(株価純資産倍率)の状況にあることに注目が集まった。内需系で還元余力のある銘柄への物色の高まりは、投資家の安全志向を裏付けているともいえる。テレビ株のほかに内需系低PBRとして有力な候補となるのが、地銀となるだろう。七十七銀行<8341.T>や、ひろぎんホールディングス<7337.T>は好決算を示しながら押し目を形成している。内需系割安株の循環物色が続くかという点も、注視されることとなりそうだ。
明日のスケジュールでは国内では12月の毎月勤労統計が公表される予定。海外では1月の中国・財新サービス業PMIの発表を控えている。また、米国では1月のADP雇用報告や米ISM非製造業景況指数などが発表される。企業決算は国内ではトヨタのほか、キッコーマン<2801.T>やダイキン工業<6367.T>、エイチ・ツー・オー リテイリング<8242.T>、野村ホールディングス<8604.T>、日本郵船<9101.T>などが予定している。(碧)
出所:MINKABU PRESS
今回の米国の対応は、一見するとトランプ流の交渉術にみえるが、よくよく考えると腑に落ちないことは多い。1月20日の大統領就任初日の関税発動を見送ったと思いきや、2月1日にはメキシコとカナダ、中国に対する関税発動の大統領令に署名した。そして4日午前0時01分(日本時間午後2時01分)の発動前の土壇場でメキシコとカナダについてはトップ外交で1カ月間の発動延期が決まったものの、中国に関してはトップ会談のポーズをみせたうえで、発動に踏み切った。なぜ中国は交渉の余地を設けることなく、NOとなったのか。その判断基準ははっきりしない。
メキシコとカナダへの関税延期についても、なぜ1カ月となったのか。朝令暮改的な対応について「ディール」の一環と政権側がアピールしたとしても、ドタバタ感が否めない。「トランプ政権が一枚岩ではないことの裏返し」(中堅証券ストラテジスト)との声も聞かれる。政策遂行力に疑問符が付くのであれば、それこそが不確実性であり、マーケットが忌避するものである。
トランプ劇場の再来で、相場のボラティリティは高まった。前向きにとらえるならば、収益獲得のための機会をトランプ大統領は投資家に提供しているとみることもできるが、そこには程度の問題があるだろう。ボラティリティが急激に上昇した際には、投資家のリスクテイク余力の低下とマネーの逆回転を伴って市場にショックを引き起こす恐れが高まる。そのギリギリのところにとどまるには、きめ細やかな情報発信が求められることとなる。
そもそも対中包囲網の強化に向けて、友好国のカナダに対し関税発動を交渉道具としたのなら、同盟国の日本に対しても、同じ道具を振り回してもよかったはずだ。石破茂首相は7日にトランプ大統領と初会談に臨む。トランプ氏はどのような姿勢で石破首相と対峙するのか。固唾をのんで見守ることとなりそうだ。
こうしたなか、日本国内では企業の決算発表が本格化している。5日にトヨタ自動車<7203.T>が25年3月期第3四半期累計(4~12月)の連結決算を発表する予定だ。今期は最終利益で28%減を予想。会社側の利益予想は市場のコンセンサスを下回った状況にある。グローバル販売台数は10~11月は前年同月比で1%台の伸びを続けた後、12月は約4%減と落ち込んだ。想定為替レートは1ドル=147円で、実勢はこれよりも円安で推移していることから、為替と原価低減でどれだけ利益を押し上げられるかが焦点となる。トランプ米政権の関税策に振り回されている自動車株ではあるが、「車両ラインアップを踏まえると、トヨタはEV普及策を見直したトランプ政権下の4年間のうち2年程度は米国で盤石な事業展開が見込める」(前述の中堅証券ストラテジスト)との声もある。トヨタ株の反応が、過去には海外投資家の日本株への関心を高める要因となったこともあっただけに、目を外すことはできない。
とはいえ、この先1カ月間は少なくともメキシコやカナダに対する関税発動の有無が取り沙汰されることとなり、外需系セクターの選好姿勢も半身のものとならざるを得ない。直近では元タレントの中居正広氏のトラブル報道を機に、フジ・メディア・ホールディングス<4676.T>が動意づき、結果としてテレビ株が低PBR(株価純資産倍率)の状況にあることに注目が集まった。内需系で還元余力のある銘柄への物色の高まりは、投資家の安全志向を裏付けているともいえる。テレビ株のほかに内需系低PBRとして有力な候補となるのが、地銀となるだろう。七十七銀行<8341.T>や、ひろぎんホールディングス<7337.T>は好決算を示しながら押し目を形成している。内需系割安株の循環物色が続くかという点も、注視されることとなりそうだ。
明日のスケジュールでは国内では12月の毎月勤労統計が公表される予定。海外では1月の中国・財新サービス業PMIの発表を控えている。また、米国では1月のADP雇用報告や米ISM非製造業景況指数などが発表される。企業決算は国内ではトヨタのほか、キッコーマン<2801.T>やダイキン工業<6367.T>、エイチ・ツー・オー リテイリング<8242.T>、野村ホールディングス<8604.T>、日本郵船<9101.T>などが予定している。(碧)
出所:MINKABU PRESS
関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
---|---|---|
100000018
|
38,798.37
(15:45)
|
+278.28
(+0.72%)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
今日 12:34
-
今日 08:41
#決算 #相場見通し の最新ニュース
新着ニュース
新着ニュース一覧-
-
-
今日 19:30
注目!みんかぶ企業分析
みんかぶおすすめ
\ 投資・お金について学ぶ入門サイト /