【これからの見通し】まずはポンド相場をチェック、この後英消費者物価指数の発表

【これからの見通し】まずはポンド相場をチェック、この後英消費者物価指数の発表

　昨日の海外市場ではウクライナとロシアをめぐる報道で一時リスク回避の動きが強まった。ウクライナが米国から供与された長距離ミサイルをロシア領内に発射、ロシア側は核による対応の可能性を否定しなかった。株安や債券利回りの低下とともに、ドル円は153円台前半まで下押しされた。しかし、その動きは続かず、ドル円は下げを消すとともにさらに155円台に乗せて現在に至っている。なかなか一方向への相場は続かない。

　この後のロンドン朝方には１０月英消費者物価指数が発表される。市場予想は前年比＋２．２％（前回＋１．７％）、コア前年比＋３．１％（前回＋３．２％）、当局者らから高止まりが懸念されているサービス価格は前年比＋４．９％（前回＋４．９％）となっている。昨日の一連の英金融当局者の議会証言でも根強いインフレが指摘され、利下げペースは慎重にあるべきとの論調が多かった。

　また、英シンクタンクからは英労働統計の信ぴょう性に疑問が提示されている。英公式統計では就業者数を約１００万人過小評価している可能性があるという。データが信頼できなければ、英中銀の政策運営も混乱をきたすこととなる。英金融当局者らの追加利下げの判断も慎重にならざるを得ないだろう。

足元のポンド相場は対ユーロなどで買いが優勢になっている。英インフレ指標を受けたポンド相場をまずはチェックしたいところだ。

　その他の経済発表予定は、ドイツ生産者物価指数（10月）、ユーロ圏建設業生産高（9月）、南アフリカ消費者物価指数（10月）、南アフリカ小売売上高（9月）、米ＭＢＡ住宅ローン申請指数（11/09 - 11/15）など。いずれも注目度は比較的低く、市場に与える影響は限定的にとどまりそうだ。

　発言イベント関連では、　ＥＣＢが半期に１度の金融安定報告を公表する。エスクリバ・スペイン中銀総裁、ラガルドＥＣＢ総裁などがイベントに参加する。ラムスデン英中銀副総裁が金融政策について講演を行う。バーＦＲＢ副議長が米下院金融サービス委員会出席、クックＦＲＢ理事、ボウマンＦＲＢ理事、コリンズ・ボストン連銀総裁などの講演が相次ぐ。ＮＹ時間に入ってからデギンドスＥＣＢ副総裁、ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、などの講演やイベント出席が予定されている。

　その他では、米週間石油在庫統計が発表される。米株式市場の引け後には注目のエヌビディアの決算発表が予定されている。

minkabu PRESS編集部 松木秀明