20日の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比282円30銭高の3万9069円68銭で取引を終えた。およそ1カ月ぶりの高値圏に浮上したものの、上げ幅が一時600円を超えた後に伸び悩む展開となった。22日の米エヌビディア<NVDA>の決算に全世界の投資家の視線が集中するなか、模様眺めとなりやすい地合いのなかで短期筋による買い仕掛けに揺さぶられた感がある。
NYダウの終値が史上初の4万ドル台に乗せ、グローバルでみて日本株の出遅れ感が目立っていたのは確かだ。それでも、日経平均株価が3万9400円台前半まで上昇すると予想する市場参加者は、ほとんど存在しなかったはずである。序盤は大方の投資家の予想通り、下落スタートとなったものの、その後は海外短期筋とみられる資金が流入。3万9000円を上抜けると、ショートカバーを誘発して上伸した。
主力どころではINPEX<1605.T>など石油関連株のほか、住友金属鉱山<5713.T>や三菱マテリアル<5711.T>の上昇が顕著となり、資源セクターが業種別の上昇率で上位に入った。非鉄株の上昇の主因となったのは、直近の利下げ観測を背景とした金先物相場の頑強な動きに加え、銅相場の上昇だ。ロンドン金属取引所では日本時間20日午前、銅3カ月先物がロシアによるウクライナ侵攻後の2022年3月につけた最高値を上回った。
世界経済の先行きのバロメーターとして銅相場は「ドクター・カッパー」とも呼ばれている。ただ、今回の上昇がファンダメンタルズ(経済の基礎要件)に対し明るい兆しを示しているかどうかは、斜めに構えてみる必要がありそうだ。「中国国内の消費は回復基調にあるとはいえず、商品市況の動きをみても機関投資家が腰を据えて買っている感じではない。短期的には揺り戻しの動きも警戒される」(国内証券アナリスト)との声が聞かれる。
もうひとつ、きょうのマーケットの話題となったのが、日本の長期金利が11年ぶりの水準まで上昇したことだ。背景に日銀による早期の利上げ観測があるのは言うまでもない。ただし利上げ肯定論がとみに広がったのは、国内景気が拡大する蓋然性が高まったからではなく、歴史的な円安を是正すべしとする世論の高まりによるところが大きい。金融株にはフォローの風が吹いたとしても、賃上げ効果を円安による輸入インフレの上昇が相殺するシナリオが存在するなかでの利上げは、内需に悪影響を及ぼすリスクをはらむ。
きょうの半導体株の動きをみても、ソシオネクスト<6526.T>は大幅高となり、TOWA<6315.T>は新高値をつけたが、アドバンテスト<6857.T>やディスコ<6146.T>は買いが続かず軟化した。エヌビディア決算前までは安全運転を心がけようといった投資家心理が透けてみえる。
投機筋による資金が市場心理に働きかける影響力は、あすも通常より強まった状況となる公算が大きい。様子見を決め込むのも一策だが、今年4月下旬から5月中旬にかけての決算発表シーズンで、株主還元姿勢を一段と強めた企業が相次いだこと自体は揺るぎのない事実である。「高配当利回り銘柄で構成されるファンドへの資金の流入は今後も続くと期待でき、個別でみても投資妙味が高まっている」(国内運用会社のファンドマネージャー)との見方も出ている。
例えば、精密部品のツバキ・ナカシマ<6464.T>は25年3月期に最終黒字転換を計画しつつ、配当利回りは4%台。5%台にある士業の人材紹介のMS-Japan<6539.T>は今期の営業利益で過去最高の更新を見込むものの、出遅れ感が否めない。ほかにも高配当利回り銘柄では、藤倉コンポジット<5121.T>や日産東京販売ホールディングス<8291.T>のチャートをみると、下値抵抗力の高まりを感じさせる。
あすのスケジュールでは、国内では4月食品スーパー売上高や4月首都圏マンション市場動向が公表される予定。日銀は「金融政策の多角的レビュー」に関する第2回ワークショップを開催する。海外ではユーロ圏で3月の経常収支、貿易収支などが発表される予定となっている。
出所:MINKABU PRESS
NYダウの終値が史上初の4万ドル台に乗せ、グローバルでみて日本株の出遅れ感が目立っていたのは確かだ。それでも、日経平均株価が3万9400円台前半まで上昇すると予想する市場参加者は、ほとんど存在しなかったはずである。序盤は大方の投資家の予想通り、下落スタートとなったものの、その後は海外短期筋とみられる資金が流入。3万9000円を上抜けると、ショートカバーを誘発して上伸した。
主力どころではINPEX<1605.T>など石油関連株のほか、住友金属鉱山<5713.T>や三菱マテリアル<5711.T>の上昇が顕著となり、資源セクターが業種別の上昇率で上位に入った。非鉄株の上昇の主因となったのは、直近の利下げ観測を背景とした金先物相場の頑強な動きに加え、銅相場の上昇だ。ロンドン金属取引所では日本時間20日午前、銅3カ月先物がロシアによるウクライナ侵攻後の2022年3月につけた最高値を上回った。
世界経済の先行きのバロメーターとして銅相場は「ドクター・カッパー」とも呼ばれている。ただ、今回の上昇がファンダメンタルズ(経済の基礎要件)に対し明るい兆しを示しているかどうかは、斜めに構えてみる必要がありそうだ。「中国国内の消費は回復基調にあるとはいえず、商品市況の動きをみても機関投資家が腰を据えて買っている感じではない。短期的には揺り戻しの動きも警戒される」(国内証券アナリスト)との声が聞かれる。
もうひとつ、きょうのマーケットの話題となったのが、日本の長期金利が11年ぶりの水準まで上昇したことだ。背景に日銀による早期の利上げ観測があるのは言うまでもない。ただし利上げ肯定論がとみに広がったのは、国内景気が拡大する蓋然性が高まったからではなく、歴史的な円安を是正すべしとする世論の高まりによるところが大きい。金融株にはフォローの風が吹いたとしても、賃上げ効果を円安による輸入インフレの上昇が相殺するシナリオが存在するなかでの利上げは、内需に悪影響を及ぼすリスクをはらむ。
きょうの半導体株の動きをみても、ソシオネクスト<6526.T>は大幅高となり、TOWA<6315.T>は新高値をつけたが、アドバンテスト<6857.T>やディスコ<6146.T>は買いが続かず軟化した。エヌビディア決算前までは安全運転を心がけようといった投資家心理が透けてみえる。
投機筋による資金が市場心理に働きかける影響力は、あすも通常より強まった状況となる公算が大きい。様子見を決め込むのも一策だが、今年4月下旬から5月中旬にかけての決算発表シーズンで、株主還元姿勢を一段と強めた企業が相次いだこと自体は揺るぎのない事実である。「高配当利回り銘柄で構成されるファンドへの資金の流入は今後も続くと期待でき、個別でみても投資妙味が高まっている」(国内運用会社のファンドマネージャー)との見方も出ている。
例えば、精密部品のツバキ・ナカシマ<6464.T>は25年3月期に最終黒字転換を計画しつつ、配当利回りは4%台。5%台にある士業の人材紹介のMS-Japan<6539.T>は今期の営業利益で過去最高の更新を見込むものの、出遅れ感が否めない。ほかにも高配当利回り銘柄では、藤倉コンポジット<5121.T>や日産東京販売ホールディングス<8291.T>のチャートをみると、下値抵抗力の高まりを感じさせる。
あすのスケジュールでは、国内では4月食品スーパー売上高や4月首都圏マンション市場動向が公表される予定。日銀は「金融政策の多角的レビュー」に関する第2回ワークショップを開催する。海外ではユーロ圏で3月の経常収支、貿易収支などが発表される予定となっている。
出所:MINKABU PRESS
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