*15:03JST サイジニア Research Memo(3):ZETA統合によりシナジーを享受
■サイジニア<6031>の取り組み
1. ZETA統合の効果
同社とZETAはレコメンドを祖業とするが、同社はデクワスを買収してネット広告サービスへ、ZETAはECサイト内検索エンジンへと事業を拡大した。統合に際し、同社は研究開発やM&Aなどホールディングス事業、デクワスはフロー型収益のネット広告事業、ZETAは店頭接客DX(旧 OMO推進サービス)やECサイト内検索などストック型収益のCX改善サービス事業へと、組織体制をバランスよく効率的に改編した。高採算のストック型収益であるCX改善サービスを強化することで全社の売上総利益率向上を目指す方針に沿ったもので、統合シナジーの強化と機能補完の観点からスムーズな統合であったと評価できる。
祖業が同じであることから、同社とZETAの統合はシナジーを創出しやすい環境にある。(1) フロー型とストック型の両サービスを展開することで収益のバランスを図る、(2) 両社の優秀なエンジニアを相互に活用する、といったシナジーを享受している。
デジタルマーケティングの環境変化により、ネット広告サービスは厳しい状況
2. デジタルマーケティングの環境変化
デジタルマーケティングの環境変化の一因であるクッキー規制とは、個人情報保護の流れのなかで、サードパーティクッキー(他社サイトでの行動履歴)を使った情報取得が制限されることを指す(広義には自社サイトでの行動履歴であるファーストパーティクッキーも含む)。このようなポストクッキー時代にはサードパーティクッキーを前提としたリターゲティング広告などが難しくなると言われている。これにより広告主が広告手法を見直しはじめたため競争が激化しており、同社のネット広告サービスは苦戦を強いられている。
一方ポストクッキーでは、ユーザーが能動的に訪問したくなる仕組みや、訪問したユーザーのコンバージョンレートを引き上げる施策が重要になる。同社のCX改善サービスはこれらを網羅していることに加え、ネット広告サービスで蓄積したリスティングノウハウをCX改善サービスに横展開できることから、ポストクッキーはCX改善サービスにとって追い風になると弊社では見ている。中期的にはEC事業者がリテールメディアやUGCを活用する傾向が加速すると予測されているが、これらの動きもCX改善サービスにとって追い風になるだろう。
ネット広告サービスを効率化、CX改善サービスに経営資源を集中
3. 環境変化に対する取り組み
デジタルマーケティング環境が変化するなか、同社は(1) ネット広告サービスの効率化、(2) CX改善サービスへの経営資源集中、(3) コスト効率の改善、を推進することで成長を加速させる方針である。(1) ネット広告サービスの効率化では、リターゲティング広告からリスティング広告にシフトし、ネット広告サービスの収益悪化に歯止めをかける。売上高は一時的に減少するが、利益への影響は軽微に留まる見込みだ。(2) CX改善サービスへの経営資源集中では、継続的な成長が見込まれるCX改善サービスに経営資源を集中させる。一例を挙げると、ポストクッキーやリテールメディアテックを見据えた新サービスを積極的に開発することで、サービス領域を拡大している。2022年7月にリリースした「ZETA HASHTAG」(2023年1月に特許取得)は、「ZETA VOICE」などで収集した商品説明やクチコミを解析してキーワードを抽出し、商品詳細ページのハッシュタグを自動生成するサービスで、サイト内での回遊性を高めるほか、クッキー規制への対策としても有効である。このほかにも、ECサイト内検索連動広告「デクワス.LISTING」や、ECサイトでの商品購入までの導線を自動最適化する「ZETA Tracking」をリリースしている。また、「ZETA SEARCH CHAT EXTENSION」や「ZETA VOICE コンテンツチェック機能」では、「ChatGPT」を活用した既存サービスのアップグレードを進めている。なお、AI技術を強化するため、サイジニアアドバンスド研究所(SARI)を立ち上げた。(3) コスト効率の改善では、組織の見直しなどを予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. ZETA統合の効果
同社とZETAはレコメンドを祖業とするが、同社はデクワスを買収してネット広告サービスへ、ZETAはECサイト内検索エンジンへと事業を拡大した。統合に際し、同社は研究開発やM&Aなどホールディングス事業、デクワスはフロー型収益のネット広告事業、ZETAは店頭接客DX(旧 OMO推進サービス)やECサイト内検索などストック型収益のCX改善サービス事業へと、組織体制をバランスよく効率的に改編した。高採算のストック型収益であるCX改善サービスを強化することで全社の売上総利益率向上を目指す方針に沿ったもので、統合シナジーの強化と機能補完の観点からスムーズな統合であったと評価できる。
祖業が同じであることから、同社とZETAの統合はシナジーを創出しやすい環境にある。(1) フロー型とストック型の両サービスを展開することで収益のバランスを図る、(2) 両社の優秀なエンジニアを相互に活用する、といったシナジーを享受している。
デジタルマーケティングの環境変化により、ネット広告サービスは厳しい状況
2. デジタルマーケティングの環境変化
デジタルマーケティングの環境変化の一因であるクッキー規制とは、個人情報保護の流れのなかで、サードパーティクッキー(他社サイトでの行動履歴)を使った情報取得が制限されることを指す(広義には自社サイトでの行動履歴であるファーストパーティクッキーも含む)。このようなポストクッキー時代にはサードパーティクッキーを前提としたリターゲティング広告などが難しくなると言われている。これにより広告主が広告手法を見直しはじめたため競争が激化しており、同社のネット広告サービスは苦戦を強いられている。
一方ポストクッキーでは、ユーザーが能動的に訪問したくなる仕組みや、訪問したユーザーのコンバージョンレートを引き上げる施策が重要になる。同社のCX改善サービスはこれらを網羅していることに加え、ネット広告サービスで蓄積したリスティングノウハウをCX改善サービスに横展開できることから、ポストクッキーはCX改善サービスにとって追い風になると弊社では見ている。中期的にはEC事業者がリテールメディアやUGCを活用する傾向が加速すると予測されているが、これらの動きもCX改善サービスにとって追い風になるだろう。
ネット広告サービスを効率化、CX改善サービスに経営資源を集中
3. 環境変化に対する取り組み
デジタルマーケティング環境が変化するなか、同社は(1) ネット広告サービスの効率化、(2) CX改善サービスへの経営資源集中、(3) コスト効率の改善、を推進することで成長を加速させる方針である。(1) ネット広告サービスの効率化では、リターゲティング広告からリスティング広告にシフトし、ネット広告サービスの収益悪化に歯止めをかける。売上高は一時的に減少するが、利益への影響は軽微に留まる見込みだ。(2) CX改善サービスへの経営資源集中では、継続的な成長が見込まれるCX改善サービスに経営資源を集中させる。一例を挙げると、ポストクッキーやリテールメディアテックを見据えた新サービスを積極的に開発することで、サービス領域を拡大している。2022年7月にリリースした「ZETA HASHTAG」(2023年1月に特許取得)は、「ZETA VOICE」などで収集した商品説明やクチコミを解析してキーワードを抽出し、商品詳細ページのハッシュタグを自動生成するサービスで、サイト内での回遊性を高めるほか、クッキー規制への対策としても有効である。このほかにも、ECサイト内検索連動広告「デクワス.LISTING」や、ECサイトでの商品購入までの導線を自動最適化する「ZETA Tracking」をリリースしている。また、「ZETA SEARCH CHAT EXTENSION」や「ZETA VOICE コンテンツチェック機能」では、「ChatGPT」を活用した既存サービスのアップグレードを進めている。なお、AI技術を強化するため、サイジニアアドバンスド研究所(SARI)を立ち上げた。(3) コスト効率の改善では、組織の見直しなどを予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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