■業績動向
1. 2020年12月期の連結業績
CAC Holdings<4725>の2020年12月期の連結業績は、売上高が前期比4.2%減の48,539百万円、営業利益が同48.2%増の1,948百万円、経常利益が同51.8%増の1,909百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同11.3%増の1,669百万円、となった。期初業績予想(売上高52,000百万円(前期比2.6%増)、営業利益2,000百万円(同52.1%増)、経常利益1,900百万円(同51.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同6.7%減))に対しては、コロナ禍の影響でセグメント別の入り繰りはあったものの、全体としておおむね計画線に沿った着地を実現した。
セグメント別では、国内IT事業の売上高は前期比0.6%増の31,852百万円、セグメント利益は同23.0%増の1,856百万円となった。同事業における増益のけん引役はシステム開発案件の堅調推移である。海外IT事業の売上高は同5.7%減の9,865百万円、セグメント利益は同427.0%増の445百万円となった。同事業における減収要因はインド子会社がコロナ禍の影響を受けたこと、大幅増益となった要因はインドネシア子会社の新規連結寄与によるところが大きい。CRO事業の売上高は同20.4%減の6,820百万円、セグメント損失が353百万円(前期は278百万円の損失)となった。同事業は損失拡大となり厳しい状況にあるものの、事業構造改革によるコスト削減に大型案件の受注見込みが加わり、回復の兆しが見えはじめているとしている。
またセグメント別の四半期動向からは、国内IT事業・海外IT事業・CRO事業のそれぞれで2020年12月期下期における回復傾向が読み取れる。
国内IT事業は、コロナ禍による悪影響が顕在化した2020年12月期第2四半期に2018年12月期第3四半期から継続していた前年同四半期比増収記録が途切れたものの、同第3四半期から再び増収傾向に転じた。2020年12月期末の受注残高も前期末比3.2%増の水準で着地している。四半期毎の季節習性を調整するために、セグメント利益率の推移を直近4四半期の移動平均(4qMA)で見ると、2018年12月期第2四半期の2.6%から2020年12月期第3四半期の5.7%までおおむね期を追って改善しており、2020年12月期第4四半期は前年同四半期比1.0ポイント上昇の5.8%となっている。まだ満足できる水準ではないが足取りは順調と言える。
海外IT事業は、Inspirisys Solutions Limitedの事業構造改革費用やSierraの大型損失案件の計上で、2018年12月期第1四半期にかけてセグメント利益はおおむね水面下で推移していた。しかしながら、2017年12月にSierra全株式を譲渡したこと等で海外IT事業の再構築は一巡し、前年同四半期比の算出が可能な2018年12月期第1四半期以降の売上高は会社譲渡や企業買収の影響、さらにはコロナ禍が加わってボラタイルな推移を続けている。セグメント利益は12四半期中6四半期について前年同四半期比で改善している。
2020年12月期においては、売上高の前年同四半期比は第1四半期11.9%減→第2四半期31.5%減→第3四半期22.6%増→第4四半期8.5%増、セグメント利益が4四半期全てで黒字を確保した。セグメント利益率の直近4四半期の移動平均は同2.7%→同2.3%→同3.9%→同4.5%で推移しており、2020年12月期下期での回復振りが確認できる。
CRO事業については、グローバルなCRO業務への対応力が高い外資系企業の攻勢等による事業環境の変調を受けて、2018年12月期第3四半期から10四半期続けて前年同四半期比で減収となっている。セグメント利益についても、2019年12月期第2四半期以降連続で損失計上を余儀なくされていたが、2020年12月期第4四半期に7四半期振りに黒字転換を実現している。
製薬企業との契約形態見直しやICT利活用に取り組みつつ事業構造改革によるコスト削減を進めた結果、2020年12月期第4四半期のセグメント利益率は5.2%と2018年12月期第3四半期以来の水準にまで一気に改善した。2021年12月期につながる明るい兆候と言えるだろう。とはいえ事業環境の厳しさに変化はなく、中長期的な視点に立った次の一手を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
<EY>
1. 2020年12月期の連結業績
CAC Holdings<4725>の2020年12月期の連結業績は、売上高が前期比4.2%減の48,539百万円、営業利益が同48.2%増の1,948百万円、経常利益が同51.8%増の1,909百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同11.3%増の1,669百万円、となった。期初業績予想(売上高52,000百万円(前期比2.6%増)、営業利益2,000百万円(同52.1%増)、経常利益1,900百万円(同51.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同6.7%減))に対しては、コロナ禍の影響でセグメント別の入り繰りはあったものの、全体としておおむね計画線に沿った着地を実現した。
セグメント別では、国内IT事業の売上高は前期比0.6%増の31,852百万円、セグメント利益は同23.0%増の1,856百万円となった。同事業における増益のけん引役はシステム開発案件の堅調推移である。海外IT事業の売上高は同5.7%減の9,865百万円、セグメント利益は同427.0%増の445百万円となった。同事業における減収要因はインド子会社がコロナ禍の影響を受けたこと、大幅増益となった要因はインドネシア子会社の新規連結寄与によるところが大きい。CRO事業の売上高は同20.4%減の6,820百万円、セグメント損失が353百万円(前期は278百万円の損失)となった。同事業は損失拡大となり厳しい状況にあるものの、事業構造改革によるコスト削減に大型案件の受注見込みが加わり、回復の兆しが見えはじめているとしている。
またセグメント別の四半期動向からは、国内IT事業・海外IT事業・CRO事業のそれぞれで2020年12月期下期における回復傾向が読み取れる。
国内IT事業は、コロナ禍による悪影響が顕在化した2020年12月期第2四半期に2018年12月期第3四半期から継続していた前年同四半期比増収記録が途切れたものの、同第3四半期から再び増収傾向に転じた。2020年12月期末の受注残高も前期末比3.2%増の水準で着地している。四半期毎の季節習性を調整するために、セグメント利益率の推移を直近4四半期の移動平均(4qMA)で見ると、2018年12月期第2四半期の2.6%から2020年12月期第3四半期の5.7%までおおむね期を追って改善しており、2020年12月期第4四半期は前年同四半期比1.0ポイント上昇の5.8%となっている。まだ満足できる水準ではないが足取りは順調と言える。
海外IT事業は、Inspirisys Solutions Limitedの事業構造改革費用やSierraの大型損失案件の計上で、2018年12月期第1四半期にかけてセグメント利益はおおむね水面下で推移していた。しかしながら、2017年12月にSierra全株式を譲渡したこと等で海外IT事業の再構築は一巡し、前年同四半期比の算出が可能な2018年12月期第1四半期以降の売上高は会社譲渡や企業買収の影響、さらにはコロナ禍が加わってボラタイルな推移を続けている。セグメント利益は12四半期中6四半期について前年同四半期比で改善している。
2020年12月期においては、売上高の前年同四半期比は第1四半期11.9%減→第2四半期31.5%減→第3四半期22.6%増→第4四半期8.5%増、セグメント利益が4四半期全てで黒字を確保した。セグメント利益率の直近4四半期の移動平均は同2.7%→同2.3%→同3.9%→同4.5%で推移しており、2020年12月期下期での回復振りが確認できる。
CRO事業については、グローバルなCRO業務への対応力が高い外資系企業の攻勢等による事業環境の変調を受けて、2018年12月期第3四半期から10四半期続けて前年同四半期比で減収となっている。セグメント利益についても、2019年12月期第2四半期以降連続で損失計上を余儀なくされていたが、2020年12月期第4四半期に7四半期振りに黒字転換を実現している。
製薬企業との契約形態見直しやICT利活用に取り組みつつ事業構造改革によるコスト削減を進めた結果、2020年12月期第4四半期のセグメント利益率は5.2%と2018年12月期第3四半期以来の水準にまで一気に改善した。2021年12月期につながる明るい兆候と言えるだろう。とはいえ事業環境の厳しさに変化はなく、中長期的な視点に立った次の一手を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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