市場は要人発言に無反応
7月に入っても米国を中心に株式市場は堅調に推移、長期金利の上昇の同居も復活したことで、ドル/円は2ヶ月ぶりに114円台へ上昇するなど、こちらも堅調な動きが続いています。市場では先週末の米雇用統計を受け、バランスシートの縮小、年内1回の追加利上げを織り込んでいるとの声が聞かれます。
その一方で私が気になるのは、(あまり材料視されていませんが)6月27日に発せられたFRB要人のリスク警鐘とも取れる内容。FRB要人とは、イエレン議長・フィッシャー副議長・ウィリアムズSF連銀総裁の3人。イエレン議長は「PERといった一部の伝統的尺度を使えば、資産のバリュエーションは幾分高く見える」、フィッシャー副議長は「資産市場ではリスク志向の顕著な高まりが見られる。リスクがすべて取り除かれたと考えるのは愚かしい」とこのところの株式市場に対する警鐘を鳴らしていました。
ただ、市場はどこ吹く風といった感じで、これらの要人発言に無反応。
もう一つ気になるのは、リセッション直前に失業率が自然失業率付近に低下する傾向があるということ。ご存知の通り、米国の失業率は5月分で4.3%まで低下、FRBが考える完全雇用を下回っている状況です。仮に追加利上げ、あるいは、バランスシート縮小に伴い金利上昇となれば、少なからず米経済に暗雲が立ち込めてくるのではないでしょうか。
本日イエレン議長議会証言
そして今晩、イエレン議長の議会証言が日本時間23時よりスタートします。証言テキストは21時30分に公表される予定です。来年2月の任期終了を前に、イエレン議長としては次の議長へのバトンタッチの道筋を作っておきたいとのことから、このところ前のめり的な発言が多くなってきているように感じます。バランスシート縮小に向けてタカ派的な発言が飛び出すようだと、長期金利上昇→株式市場は下落→株式市場の下落を受け、ドル/円もリスクオフの動き(長期金利の動きよりもポジションの巻き戻しにつながると思っています)になることが想定されるだけに、その中身に注目が集まっています。証言直後の値動きで対応するよりも、市場が落ち着いてからしっかりとチャートの形状を確認して、流れに乗ることが大事な局面であると考えます。