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最新投稿日時:2016/04/09 07:50 - 「「一時16000円台回復、為替介入への思惑も・・・」」(黒岩泰)

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「一時16000円台回復、為替介入への思惑も・・・」

著者:黒岩泰
投稿:2016/04/09 07:50

「経常黒字パワーで、さらに円高へ」

 本日の日経平均は71.68円高の15821.52円で取引を終了した。朝方は急速な円高・米株安などを嫌気して売り先行となったが、売り一巡後は押し目買いが優勢。SQが15507.59円に決まったことで、株価が一時的に上昇しやすくなった。また、政府要人から相次いで円高けん制発言が出ており、それが短期筋の円売り・ドル買いを誘った。日経平均は高いところで一時16000円台に乗せる場面もあった。

 しかし、引けにかけては急速に伸び悩んでおり、ローソク足では長い上ひげが出現。上値の重さを示している。指数寄与度の高いファストリ(9983)が12%超の下落となったことで、全体相場の上値を抑えた。 

 株価がプラスに切り返したのは、円高が一服した要因が大きい。麻生財務相が「場合によっては必要な措置をとる」と述べたことで、にわかに為替介入への思惑が台頭。足元の急ピッチな円高に対して警戒感が高まっていたタイミングでもあり、短期筋を中心に円売り・ドル買いの動きが強まった。

 ただ、マーケットでは、このような発言は、実際に為替介入できないなかでの、単なる「口先介入」であるとみられている。先のG20の共同声明において、「通貨の競争的切り下げは回避」と約束したからだ。万が一、日本が先陣を切って為替介入することになれば、国際的批判は免れないだろう。そういった背景をマーケットは見透かしている。

 したがって、一時的な円安はあったとしても、比較的早い段階で再び円高歩調に戻るだろう。それが流れというものだ。

 そして本日は寄り付き前に2月の経常収支が発表された。中国人観光客の増加なども要因となり、2兆4349億円の黒字。これで20ヶ月連続の黒字となった。

 経常収支が黒字ということは、為替相場に対しては円高・ドル売り圧力がかかるということ。日本はこれまで着実に経常黒字を積み上げており、これがボディーブローのように円相場に効いているのだ。

 96年1月から16年2月までの経常収支の累積額(横軸)に対して、ドル・円相場(縦軸)がどの水準に位置していたかをプロットすると、経常黒字が積み上げると、円高になりやすいということが分かる。現時点での理論値は1ドル=95円前後であり、ここからまだまだ円高余地があるということになる。

 なぜ、経常黒字が積み上がると円高になりやすいのか。それは、経常黒字が生じると対外純資産残高が増加し、それによってドル資産に対するリスク・プレミアムが増加するからである。簡単に言ってしまえば、米国の借金が積み上がることで、ドルの危険性が高まるということだ。すなわち、相対的に円の価値が上がるのである。

 もちろんこの分析は、為替相場のほんの一面を示しただけに過ぎない。だが、足元で円高が進んでいるもっとも説得力のある説明がこの「経常収支の黒字」であり、それを理解していただくために取り上げた。本日は2月の経常収支が発表されたタイミングでもあり、あらためて「経常黒字国=通貨高」という「中期的な要因」を確認しておきたいところである。「日銀がマイナス金利を導入したのに、なぜ円高になるのだろう?」――と不思議がるのは、非常にナンセンス。為替は「金利」だけで動いているのではない。近いうちに1ドル=100円割れが実現し、「経常黒字パワー」を見せつけることになるだろう。もちろん、株価は下落することになる。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想

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