円相場にらみで波乱続く、業績リスクの織り込み道半ば
来週の東京株式市場見通し
来週の東京株式市場は、引き続き外国為替市場での円相場の動きに大きく影響される推移となりそうだ。7日の海外為替市場では、1ドル=107円台後半まで円が急騰するなど、円高波乱は拡大しており、来週も予断を許さない状態が続きそうだ。
日経平均株価の想定レンジは1万5300~1万6300円とする。
だだ、急速に円高・ドル安が進行するなかでも、
日経平均株価は7日、8日と終値では続伸となっており、ある程度の底堅さを示したといえそうだ。とくに、きょうは
日経平均寄与度の最も大きい
ファーストリテイリング<9983>が急落し、1銘柄だけで約152円分も引き下げていることや、東証の業種別株価指数33業種のうち不動産を除く32業種が前日比でプラスとなったことなどを考慮すると、反発エネルギーの強さが分かる。
一方で、市場関係者からは「1ドル=107円まで上昇してきた円相場が、輸出企業の17年3月期業績に実際どの程度のマイナス影響を与えるかの、株価への織り込みはまだ道半ばといえる。業績見通しの発表が本格化する今月下旬までは不透明感が残る」との見方も出ていた。
8日の動意株
五洋建設<1893>=大幅高。
同社は海洋土木工事の最大手で、政府の財政出動に伴う経済刺激策への思惑が追い風。また直近では、7日付で野村不動産が大阪府高槻市で開発する高機能型物流施設の着工を発表しているが、設計管理および施工を五洋建が担当していることが株価の刺激材料となっている。同案件は野村不動産が手掛ける全国13棟目の高機能型物流センター案件として、敷地規模と施設規模いずれも過去最大ということもあり注目度が高い。
ツインバード工業
<6897>=後場一段高。
同社は8日午後1時、17年2月期の連結業績予想を発表。売上高は150億円(前期比10.2%増)、営業利益は10億円(同69.5%増)、純利益は5億円(同51.1%増)と大幅な増益を見込んでいることが好感されている。連結子会社である双鳥電器(深セン)有限公司による中国販売や韓国・香港・台湾といった販売代理店取引の深耕に加え、成長市場である東南アジアを中心に新規販路開拓に注力し海外での拡大を図っていく。
ピーシーデポコーポレーション<7618>=後場上げ幅拡大。
スマートフォン向けの月額会員制保守サービス型商品「プレミアムスマートサービス」を、4月下旬をメドに提供を開始すると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。同サービスは、現在使用中の大手通信キャリアのiPhone、Androidスマートフォンや、各社格安スマートフォン専用の継続サポートとしてスタートするもので、同社初のスマートフォン本体およびスマートフォンと連携するマルチデバイス、マルチアカウントを対象とした継続サポート。
そーせいグループ
<4565>=連日の異彩高。
前日は値幅制限いっぱいの3000円高に買われ市場の注目を集めたが、きょうも上げ足を加速させて前場では、一時3680円高は2万860円まで上値を伸ばし、未踏の2万円台を一気に突破した。同社は肺疾患や認知症向けを中心とする創薬ベンチャーで、マイルストーンやロイヤルティー収入で強力な収益基盤を持ち、創薬開発に対する思惑など今後の成長期待が強い。アイルランドに本拠を置くメガファーマ、アラガン社とアルツハイマー治療薬などの開発販売でパートナーシップを締結、これが投機資金の攻勢を加速させている。
ビックカメラ<3048>=大幅反発。
7日の取引終了後、集計中の第2四半期累計(15年9月~16年2月)連結業績について、売上高が従来予想の4070億円から3944億8000万円(前年同期比0.3%増)へ下振れた一方、営業利益は91億円から117億1000万円(同40.7%増)へ、純利益は51億円から73億1000万円(同50.1%増)へ上振れたようだと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。冷蔵庫や洗濯機、調理家電などの家庭電化商品が堅調だった一方、デジタルカメラやパソコンなどのデジタル商品が低調だったことから売上高は計画を下回った。ただ、粗利率の改善や販管費のコントロールなどの取り組みが奏功し、利益面では計画を上振れたとしている。
アライドアーキテクツ<6081>=一時ストップ高。
同社は7日、セガゲームス セガネットワークス カンパニー(東京都品川区)とSNSを活用したマーケティング分野で業務提携すると発表。これが材料視されているようだ。両社の共同サービス第1弾として、セガネットワークスが展開するスマートデバイス向けゲームアプリのマーケティング支援ツール「ノアパス」の参加ゲーム事業者に対し、アライドアーキがツイッターを使ったマーケティング支援サービス「チアーズアップ」を提供する。
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