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窓をあけて雲の下へ

5月2日の日経平均は、16147.38(-518.67)と大きな下げ。窓をあけて雲の下に突き抜けた。パラボリックも下向き、MACDも急落してマイナス圏に。週足も基準線、転換線、雲の下。MACDもマイナス圏。直近安値15400円台を試す動きである。

ドル円はさらに深刻で、2014年10月以来の安値を完全にした抜け、月足でみるべきチャートとなっており、103-105円当たりでとまるかどうか、という底をたたく動きである。株も為替もチャートで見る限り、かなり苦しい状況に追い込まれている。


もちろん日銀の緩和期待が裏切られたということが下げの直接の要因である。黒田総裁は、なんらかの緩和策を用意していたような気配があった。だが大統領選挙を控え、経済指標の改善がもうひとつ思わしくないアメリカが、日本を為替操作の監視対象国にあげるなど、公式非公式に日銀を強く先制したように思われる。サミットを控え、オバマ大統領の広島訪問、ドイツの財政出動、ロシアへの制裁と北方領土、さらに中国の海洋進出や北朝鮮といったさまざまな問題をめぐる日米の駆け引きが為替の問題とからんでおり、アメリカを怒らせるような円高阻止のための介入や異次元的緩和の強化に、日本の政策当局は踏み切れないでいるようにみえる。とはいえ、このままでは参院選挙が危うい。安倍政権としては、サミットをのりきった後、消費税の再延期、財政出動、黒田バズーカ第4弾の集中砲火などをセットにして、起死回生の反転攻勢にでてくるに違いない。


問題は、それがマーケット、とりわけ海外投資家に理解されるか、ということにある。日経平均のEPSは今でも低迷ししているが、輸出企業の想定為替レートは117円だったとされており、このままでは来期の利益水準は、一層大きく低下するのが不可避な情勢である。小規模な財政出動や消費税の延期といった消極的な施策では、冷え切った期待に今一度火をつけるのはむつかしいであろう。一方マイナス金利の拡大は行き詰まった末の奇策の上塗りと受け取られかねない。ありうるのはETFの購入などだろう。だが、これはあからさまな人為的な株価操作にほかならず、中国政府と同じようなレベルになってしまいかねない。こう考えると、一時的にはともかく、こうした施策に大きなトレンドを変える力があるかどうか。疑問がぬぐえない。安倍首相としては、なんとか参院選を乗り切って、経済を復調させて衆院選を断行、憲法改正につなげたいところだろう。しかし異次元の金融緩和の一本足打法に頼ったアベノミクスの賞味期限ぎれに、いまや打つ手なし、といったことにならないか。
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