kabukabumanさんのブログ
NY市場の大幅な反発にちょっと違和感が(^_^;)
昨日のNY市場は好調な雇用統計を受け大幅に反発しましたが
今年のNY市場は「利上げ=売り」「見送り=買い」という反応が続いていただけに
昨夜の上げっぷりはやや違和感を覚えるほどでした。
勿論株価が上昇するのは嬉しいことですが、15日~16日のFOMCで正式に利上げが決まった後
株価がどの様な反応を見せるかは未だ不透明なので
利上げ後の投資戦略は、もう暫く様子を見て考えたいと思います。
次に、今年のFOMCで表明された主な見解と株価の相関について振り返ってみます。
<2015年のFOMC声明文のポイントと株価の反応>
◇1月27日~28日 (ダウ 前日比-196ドル)
(私見➡)国外の展開を考慮するというハト派的な文言は好感されたものの
「超低金利を相当の間維持する」という文言から「相当な期間」が削除されたことで
利上げ時期が早まるとの見方が台頭し、ダウの下落に繋がったと考えられます。
・利上げ開始まで「忍耐強い」姿勢を維持 ・経済は堅調なペースで拡大・決定は全会一致
・「considerable time相当の期間」の文言を削除 ➡前回までは「相当の期間超低金利を維持する」
・政策判断では国外の展開を考慮へ
・消費は緩やかに拡大、住宅市場の回復ペースは依然遅い
・経済や労働市場の見通しリスクは概ね均衡・雇用が強く増加する一方、インフレの低下を認識
◇3月17日~18日 (ダウ 前日比+227ドル)
「4月会合で利上げの可能性は低い」、及び「国際的展開を考慮」というハト派的な文言から
利上げ時期が遠のいたとの見方が台頭し、ダウの大幅な上昇に繋がったと思われます。
・4月会合での利上げの可能性は依然少ない ・経済の伸びはいくらか和らいだ、雇用市場は改善
・利上げはインフレの理にかなった自信、労働市場の一段の改善に関連
・フォワードガイダンスの変更は利上げの時期を決定したことを示すものではない
・国際的展開を考慮 ・長期インフレ期待は安定 ・経済、雇用見通しのリスクは均衡
・住宅市場は依然弱く、輸出の伸びは鈍化 ・決定は全会一致
◇4月28日~29日 (ダウ 前日比-75ドル)
特に目新しい内容はなく、強いて挙げれば「冬場の弱い経済は一時的」
「燃料価格、輸入物価のインフレへの影響は一時的」という文言から
利上げ時期がさらに遠のく可能性に期待していた市場が、やや落胆したのではないでしょうか。
・冬場の弱い経済は一時的 ・Q1に景気が減速したのち、緩やかな成長、雇用の伸びを予想
・雇用の伸びは緩やか、労働市場のたるみはほぼ変わらず
・消費の伸びは鈍化、実質所得は力強く上昇
・目標水準以下のインフレは一部輸入物価の下落を反映 ・決定は全会一致
・企業投資の伸びはいくらか鈍化、輸出は減少 ・インフレに関して満足のいく程度の自信が必要
・経済や雇用見通しリスクはほぼ均衡 ・燃料価格、輸入物価のインフレへの影響は一時的
◇6月16日~17日 (ダウ 前日比+30ドル)
新たに利上げの根拠が示されたただけで、株価に影響を与える様な文言は無し。
・経済は緩やかに回復、雇用の増加ペースは加速 ・消費の伸びは緩やか、住宅市場は改善
・燃料価格は安定、投資、輸出は軟化 ・利上げは経済の進展次第 ・インフレ期待は安定
・経済や雇用見通しリスクは概ね均衡 ・国際情勢の展開も政策決定に考慮
・インフレに理にかなった自信が必要 ・決定は4会合連続で全会一致
・労働市場のさらなる改善を確認、中期的にインフレ率が2%目標に向かうとの
合理的な確信が持てた時にFF金利誘導目標レンジを引きあげることが適切になる
◇7月28日~29日 (ダウ 前日比+121ドル)
利上げを急ぐ根拠が無いと判断され、ダウは上昇。
・ここ数か月間、経済は緩やかなペースで拡大 ・労働市場の改善は継続、雇用は堅調に増加
・労働市場のスラックは年初に比べて解消している ・企業投資、輸出は依然弱い
・全会一致で決定 ・雇用市場がさらに改善したのち利上げへ
・消費は緩やかな改善、住宅市場はさらに改善 ・雇用は堅調に増加 失業率は低下
・市場ベースのインフレ指標は引き続き低い ・インフレに関する理にかなう自信が必要
◇9月16日~17日 (ダウ 前日比-65ドル)
労働市場が順調に改善しているという内容や、利上げの見送りが全会一致では無かったことから
利上げに対する警戒感が強まったものと思われます。
また、利上げが済し崩し的に先送りされていることで、景気回復に対する確固たる自信の無さが
逆に投資家心理に不安を与え始めた可能性も考えられると思います。
・海外の展開を監視していく ・世界経済、金融のイベントは経済活動を抑制する可能性
・9対1で決定、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁は25ベーシスポイントの利上げに投じる
・適切な金融緩和で経済は緩やかなペースで拡大
・インフレの低迷は一部燃料価格の下落が要因 ・インフレの展開を引き続き綿密に監視
・労働市場は改善:失業率は低下、雇用は堅調に増加
・短期のインフレ見通しは引き続き最近の低い水準で推移
◇10月27日~28日 (ダウ 前日比+121ドル)
8月~9月にかけて世界的な株安が起こったため、FRBとしては世界の金融情勢に対し
より配慮を強めるとの認識が台頭したものと思われます。
つまりタイミング的に、FRBはハト派的な対応をとらざるを得なかったと推察しています。
・リスクは広範に均衡、世界経済の展開を監視 ・消費や企業の設備投資は堅調なペースで拡大
・米国経済は緩やかなペースで拡大 ・雇用の拡大は鈍化、失業率は安定
・住宅市場は一段と改善、輸出は依然弱い ・労働市場のたるみは年初以来、解消されつつある
・インフレは依然目標を下回る ・利上げが適切かどうかの決定に関し、”次回の会合”で進展を判断
・政策の据え置き決定は、9対1、0.25%の利上げを主張し
ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁は反対に投じた
・労働市場の一段の改善やエネルギー、輸入価格の下落の一時的な影響が減少すれば
委員会はインフレが中期にわたり2%に向けて緩やかに上昇すると予想
・インフレの展開を綿密に監視していく
・労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融、国際情勢を判断していく
・労働市場が一段と改善し、インフレが中期目標である2%に近づくとの理にかなった自信が強まっ
たら、委員会は政策金利の引き上げが適切だと予想
◇12月15日~16日 (ダウ 前日比±○○○ドル??)
12月4日の順調な雇用統計を受け、恐らく10年ぶりの利上げが実施されると思われます。
(初回予想は0.25%、来年度予想は0.5%~0.75%の見通し)
ところで昨夜のNY市場は順調な雇用統計を受け、株価は大幅に上昇しています。
(ダウ+2.12%、S&P500+2.05%、ナスダック+2.08%、VIX指数-18.22%)
しか冒頭にも書いた様に、今年のNY市場は、FOMCの金融政策に対して
「利上げ=売り」、「見送り=買い」というパターンでしたが
今回は決定では無いにしても、12月利上げが限りなく100%織り込まれた筈なので
事実上「利上げ=売り」が「利上げ=買い」に180度転換したことになります。
そこが私の感じた違和感で、NY市場の高騰を素直に喜べない
天邪鬼の不安心理に火が点いたという訳です。
つまり昨夜の高騰が好景気を確信した上昇相場の序章なのか
それとも大部分の投資家が踊らされた騙し上げなのか
その辺りはもう少し様子を見なければ判断出来ないと思います。
因みに来週の日経平均はCME円建て19710円に鞘寄せして寄り付くと思われますが
先物市場からG.Sという大口の買い手が抜けたと仮定すれば
今度はNY市場よりやや弱い東京市場が姿を現しても不思議ではありません。
何れにしても年末~年始の主導権は、欧米市場と円相場が握っている様な気がします。
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FRBは日本の過去の研究を入念に行っています。
日銀の犯した2つの大きな政策ミスを念頭に今回の利上げを決定するのではないかと考えます。
そのことが何かちぐはぐな市場の反応に繋がっているのではないかと推測します。
今までFRBが気にしていたことは、ゼロ金利の早期解除は景気を極端に冷やすだと思われます。
そして今回利上げしようとした根底にあるのは、世界情勢に振り回されて金融引き締めを行わなかった場合は、バブルを誘発させるだと思います。
世界情勢を考えれば、米国の金融正常化がユーロ圏の金融正常化の流れに繋がるのではないかと考えます。(金融相場→業績相場の流れです)
逆に米国の金融正常化が失敗すれば、世界経済失速の流れにつながるのではないかと考えます。(金融相場→逆業績相場の流れです)
もちろん私の願いは、全世界が金融正常化を果たしダイナミックな経済活動を取り戻してほしいです。
思惑さん こんにちは。
FRBが気にしていたこと。。。まさに仰る通りだと思います。
そして私が気にしていることも、ご指摘の通りで
米国が金融正常化に失敗すれば、米国経済がピークアウトし
世界経済の失速を加速させることです。
結局、「好調な米国経済」と「脆弱な新興国経済及び
回復途上でもがいている日欧」との綱引き状態になることが予想されるため
来年は予断を許さない年になると考えています。
因みにFRBは緩和的な金融政策を続けると予想されますが
日銀は残されたカードが少ないため
万一米国経済の方が足を引っ張られた場合
日本経済はかなり深刻な状況に陥るのではないでしょうか?
アベノミクスはまさに崖っぷちに立たされている様な気がします。