kabukabumanさんのブログ
米国の利上げでどうなる日本株(狙い目は)
米国では先日の雇用統計を受け、12月利上げが濃厚になりました。
そうでなくても来年は大統領選挙を控え、金融政策の転換は行い難いと考えられていただけに
雇用統計の大幅な改善に、FRBも安堵しているに違いありません。
つまり現時点で、12月の利上げは限りなく100%に近いと言えそうです。
ただ国内投資家の関心事は、米国の利上げが日本の株価に及ぼす影響だと思います。
◇「輸出企業は買い」と考えるのは早計
普通に考えれば、日米金利差が拡大し、対北米輸出企業の業績は上がる筈ですが
今後、中国のさらなる利下げやECBの追加緩和観測を考慮すると、意外に厳しい気がします。
また利上げを行うとしても急激なドル高は米国の景気減速に繋がる恐れがあるため
そのペースは極めてゆっくりになることが予想されます。
一方、円相場は1ドル130円以上になるという声も聞こえて来ますが
以前黒田総裁が極度の円安を牽制したことからも解かる様に
日銀も政府も、1ドル125円以上の円高を警戒していることは間違いなさそうです。
無論市場が決めることなので、結果がどうなるかは分かりませんが
少なくとも日銀が追加緩和に踏み切る可能性は薄くなると思います。
さらに新興国から投資資金が引き上げられ、通貨安を招く恐れが指摘されていますが
現実にその様な事態に陥れば、新興国向けの輸出は打撃を受けることになります。
但し、通貨安の危険性が高いのはドルペッグ制を採用している場合で
変動相場制は影響が小さく、むしろ北米輸出比率が高い国にとっては追い風になりそうです。
◇過去の歴史が物語る「米国の利上げで円高になる」不思議
以前日記に書きましたが、米国が利上げを行った直近3度のケースを検証すると
利上げ直後のドル・円相場は、ことごとく円高になっています。
その理由ですが、一つは日米の長期金利差が比較的小さいためで
今回も、FRBが利上げに言及した2014年以降の金利差がそれ程拡大していないにも関わらず
為替は大きく円安に振れています。
二つ目は、市場が米国の長期金利上昇を先取りし
利上げが実施される前にドル買い・円売りが進んでいるためで
以上が、過去米国利上後の円相場が円高に振れた原因ではないかと考えています。
ですから12月に利上げが実施されても、ドル・円相場が円安に振れる確証はありません。
◇中国経済は指標の悪化より実態が明るみに出ることの方が脅威
中国のGDPは直近で+6.9%(前年比)とされていますが、辻褄の合わない点が多く
実際は4~5%だという分析結果や、既にマイナス成長に陥っているという報告もあり
世界中が疑いの目を向けているというのが実状です。
また中国国内に於いても同様の声が多く、実態は+5%前後だという見方が広まっている様です。
一方、FRBは中国経済の後退を強く意識していますが
万一利上げ実施後に劣悪な経済指標が明るみ出れば、世界の金融市場はパニックに陥るでしょう。
最近の習近平主席に焦りを感じるのは、構造改革の進展以上に弱体化が進む中国経済に
大きな不安を抱いている証拠ではないかと勝手な想像をしています。
因みに、中国事業に力を入れている国内企業各社の株価は落ち着きを取り戻していますが
まだまだ足元には多くの地雷が埋まっている可能性があるので要注意だと思います。
<米国利上げと日本株の行方は分けて考えるべき>
以前から言われている様に、米国の景気回復は世界経済にとって確かに追い風です。
しかし利上げによって生ずるであろう多くのデメリットを考慮すると
日本株への影響は未知数だと思います。
少なくとも1ドル130円は堅そうだとか、140円~150円も有り得るという発想は危険で
個人的には先ず国策関連銘柄、次に内需産業、国内向けの設備投資関連が有望だと考えています。
但し、国策関連銘柄の株価は多くが割高圏にあるため
実際に投資をされる際は、テクニカル面や需給に充分注意して下さい。
(国策関連)
①第4次産業革命(IoT・ビッグデータ・人工知能・サイバーセキュリティetc)
②インバウンド(ホテル・旅行代理店・小売業etc)
③国内設備投資(建設・機械・各種ソフトetc)
④地方創生
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/index.html
⑤子育て支援
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/
⑥社会保障(ヘ ル ス ケ ア・介護用ロボットetc)
⑦TPP(但し先送り又は白紙撤回の可能性も残されています)
⑧国策全般(内閣府HPをご覧下さい)
http://www.cao.go.jp/seisaku/seisaku.html#cstp
その他、「ドル高=原油安」が進めば陸運・空運に追い風。
逆に資源関連銘柄には逆風になるなど、業界ごとに個別要因はありますが
今後の見通しとして、日銀短観(9月度)が参考になると思いますので
みずほ総研の解説と共に添付して置きます。
(9月度日銀短観)
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan09a.htm/
(日銀短観解説:みずほ総研)
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/DI/tankan151001.pdf
そうですね。
後は利上げの幅とスピードが円安の度合いに影響しそうですね。
思惑さん おはようございます。
確かに仰る通りだと思います。
近年の顧客離れに加え、商業銀行からの借り入れも厳しくなるでしょうね。
結局多くのヘッジファンドがリーマンショックで資金を半減させ
その後もずっとFRBに振り回されながら弱体化した様な気がします。
ただ株式相場の活性化に貢献している側面もありますから
ヘッジファンドが衰退するのは少々寂しいという思いもありますね。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NWJ7BISYF02401.html
すっぱり、自主廃業するところも多数出そうです。
jojuさん こんばんは。
MB増大率と相対的購買力平価説についてはご指摘の通りだと思います。
ただ、過去3回の利上げに於いて、利上げ前1年間と
利上げ後1年間のドル/円相場を比較すると
全て利上げ後の方が円高傾向になったという事実を不思議に感じ
自分なりに理由を考えて日記に書かせて頂きました。
ですから理論的には的外れかも知れませんし
今回も同様の現象が起こるという確証もなく
むしろjojuさんの仰る通り、日銀の緩和が円安に働くとすれば
利上げが決定する前に、一段と円安が進む可能性があると思います。
因みに、この日記を書かせて頂いた真意は
米国の利上げが決定した時点で、対ドル円安に期待をして投資すると
勇み足、もしくは手遅れになる可能性があるという問題提起をさせて頂いた訳で
私自身は米国の利上げ後も、内需中心の投資スタンスを崩さず
暫く様子を見ようと考えています。
為替レートのトレンドに効くのは双方のMB増大率。
購買力平価説から当然そうなる。
1975以降、それは日本で低め、米国で高めなので、ドル円レートはずーっと円高トレンド。
米国が利上げをすると円高になるのでなく、だらだら続く円高トレンドの渦中にあるに過ぎない。
しかし、今はアベノミクスで日銀の緩和がそこそこ維持されてるので米国利上げは円安要因。
もし、円高に振れるなら、それは日銀が緩和姿勢を弱めた証拠。
それは当然、インフレ率低下、景気低落とセットでしょう