yuhsanさんのブログ
アベノミクスのルーザー
昨日の日記に、アベノミクス相場では、ルーザーがいないとしました。
でも、株をやっておられるかたなら「そんなはずはない」というでしょう。ウィナーが10%であれば、ルーザーは90%いるのです。
アベノミクスが始まって3年の間に、株価は2倍にもなっていますが、この間に投資資金がなくなるか、あるいは大きく減らして、株の世界から足を洗った人もいるのです。
日本人ならアベノミクスで株を買っていれば、額の大小はあっても儲かっています。でも、もしアメリカ人が、ドルを日本円に替え、3年前に日本株を買っていたらどうでしょうか。この間の円安で、値上がり分の大半は失われてしまいます。
それでもまだ相場の上昇が、円安分を上回っていれば儲けは残りますが、現在のような天井期で、為替がさらに円安になって行くと考えれば、買うことよりも売りで儲けようとするに違いありません(通貨マフィアを熟知している黒田さんは、この辺の事情をよくご存じです)。アメリカ人が、中国株にあれだけ投資したのも、値上がりより通貨高への期待があったからにほかなりません。
外国人が、通貨の弱い国の市場から資金を引き揚げようとするのは当然として、ルーザーは、このほかにもたくさんいるはずです。不確実な明日の株価を今日買うのですから、上がった人は儲かり、売った人は儲けを失うのです。
ウィナーの儲けは、ルーザーの損失の上に成り立っていることは、古今東西変わらない真実です。株は長期であっても短期であってもしょせん「ばくち」の要素を持っています。金融機関では、「ばくち」という言葉に抵抗を感じ、リスクと呼んでいますが……。
それでは、どうしたらルーザーにならないのでしょうか。それには、「ばくち場」に近寄らないことです。ばくち場には、胸にさらしを巻いた博徒がいます(青い瞳の美女かもしれません)。あがりをピンハネし、資金源にしている胴元もいます。
でも、ばくち場を否定してしまえば資本主義が成り立ちません。ここまで来るには長い歴史の中で株式資本主義が成立し、代案を否定しながら今日の世界を支配しています。
資本主義は、競争原理と格差社会によって成り立っています。これを否定して理論化した共産主義は、結局天国でしか存在しないことが分かってきました。資本主義も、かっての資本家と労働者の対立という関係から、競争を排除し格差の是正に動いています。
それでも、株式市場は、名前を変えた「とばく場」であることには変わりありません。この世界でお金を儲けようとする以上、お金を失くすという危険と隣り合わせだということを理解したうえで参入しなくてはなりません。
ばくち場に近づかないで、どうして投資ができるのでしょうか。それは別の市場で取引をするのです。
「え! 別の市場?」
「まさか、アメリカで日本株を買えって、いうんじゃないでしょうね」
「そんなことをいっているのではありません」
「ばくち打ち」でない市場関係者が取引している市場があるのです。私が創造した「影の取引所」のことで、ここでの参加者は、すべて長期取引をする人たちです。もちろん取引価格、取引される量、それにルールなどは、すべて本来の証券取引所でおこなわれますので、通常の取引に「影の取引所」の動きが反映されることはありません。
ただ、参加者の質が違い、投資の目的は長期の所有です。そのため、相場の見方、方向、投資の時期、銘柄の選択など、ファンダメンタルが重視され、投資価値が決まります。「影の取引所」の株価は、短期では通常の取引所と同じですが、長期的には需給を変え株価を動かす力となります。
このような市場で取引できれば、とばく場に行かなくても取引ができるのです。今はバーチャルの時代です。個人でも投資の際には長期的な視野に立てば、バーチャル市場に参入できます。
アベノミクス相場でルーザーになった人も、ウィナーになれなかった人も、この際ご自分の投資法を見直してみてはいかがでしょうか。根底には、相場の性格を「みあやまった」ことにあると思います。
時間は貴重な財産です。相場を波と考えると、今回失敗しても次の波に乗ればいいと考えるかもしれません。でもアベノミクス相場のような大波が、次に現れるとは限りません。次の波を待つ間にも、貴重な財産は間違いなく減ってゆくのです。
貴重な時間を失った損失は、後に大きな禍根を残します。なぜならば、次の相場の出発点は、現在の資産額から始まるからです。冬眠に備えた体力作りが十分でないと長い冬場は乗り切れません。