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金融政策の限界への挑戦

書類整理をしていると、昔の専門家のリポートなどの書類が
たくさん出てきた。


目を通してから、いらない書類を廃棄した。


わたしの日記もそうですが、数年前の著名な専門家の予想は、そのほとんどが
ものの見事に外れていることに驚いてしまう。
(的中しているのは少ない)


ここまで外すか・・・


と思う。


今でも専門家のマーケット予想などのリポートはたくさん出ている。
将来、そのほとんどは予想外れになる。
短期的には的中できても、長い目でみれば、しっかり外れている。


これからも情報の選別はますます重要になる。
良い情報は少ない。


素人のひとりごと日記です。
(すべて正しくは信頼できる専門家へ)


金融政策について考えてみたい。


今年、FRBは、利上げするだろうと言われている。


FOMCのメンバーの17人中15人が今年の利上げを予想している。
(2人はそのように考えていない。少数意見が正しいこともある。)


今年のFOMC投票メンバーの交替で、ハト派が増える。


バラまき策をやめても、金利を上げるハードルは高い。


良くなったと言われている米国の雇用統計も中味をみると、良くなっていない。


正社員につきたいが、なれないので仕方なしにパートタイマーになっている
労働者を含める広義の失業率は、11~12%の高水準になっている。
リーマンショック前にあった失われた製造業の正規雇用者は元に戻っていない。


また、賃上げにもつながっていない。


多くのアメリカの経営者は、市場専門家と違い現実的なので
楽観的な将来の見通しを持っていない。


将来、アメリカは景気循環からも下りに入る可能性がある。
景気循環は細かく見れば5年サイクル。


リーマンショック後の2009年からアメリカは、非伝統的金融政策と財政出動で
なんとか表面的には、景気回復している。しかし、景気循環からもアメリカ経済は
いつ下降局面に入ってもおかしくない。


FRBは、利上げしておかないと景気下降局面に打つ手がなくなってしまう(-_-;)


これまでのQEシリーズと同じようにお金をバラまくと、「またばらまくのか!」と
言われてしまう。利上げしておけば、まず利下げして、その後にばらまくことが
できるので、FRBとしても言い訳はつく。


「利下げしたけどダメだったので、仕方なしにまたバラまきますよ~」


と言える。


しかし、紙幣のバラまきはいずれ限界がくる。
(正確には、コンピューター上の数字を増やすこと)


FRBの総資産は、QEシリーズですでに4兆ドルを大きく超えている。
中味をみても、FRBの保有する米国債は、流動性の高いT-Billではなく、
そのほとんどが5年以上の米国債になっている。
自然と減らすとしてもなかなか減るものではない。


FRBの保有するMBSは、当面売らないことで決まっている。
(正確には、売れない。)
MBSの99%以上が償還まで10年以上になっている。
(誰も買いません。)


FRBのバランスシートは、その限界にチャレンジしている。


先の話ですが、


最終的には、FRBは


「ごめんなさい~、これ以上の金融緩和はできません!」


となるのだろうか?


世界で見ても、新興国も伸びがなくなっている。
そのようなときに政策を変えるのには勇気がいる。


利上げしたいけど、容易にはできないので
FRBは、迷っている。


2014年12月の声明では


「忍耐強く待つ」を使った。


2004年に同じ「忍耐強く」を使ったとき、3ヶ月後に利上げしたので
マーケットとの対話では、この言葉だけでは不十分だった。
そこで、「相当な期間」を残した。


利上げを警戒するマーケットに対して、ものすごい配慮をしている。


(補足)


FRB声明文より


considerable time
「相当な期間」と訳されている。


considerは、よ~く考えると言った意味なので
considerable timeは、よ~く考えるくらいの時間


「よ~く考えるくらいの時間」と訳した方が個人的にはわかりやすい。


利上げを警戒するマーケットに配慮した表現になっている。


Patient
「我慢強く」「辛抱強く」と訳されている。


Patient は、ある程度先が見えてきているといった意味。


ニューヨークの地下鉄は日本の地下鉄と違いよく遅れる。
2~3分くらい待つことはしょっちゅうある。


そのとき、車掌さんが使う言葉が


「Please be patient 」


ここから解釈すると


「(辛抱して)もうちょっと待ってね~」


と訳した方がわかりやすい。


後は訳せると思う。


「…can be patient beginning to normalize the stance of monetary policy」


・・・


利上げしておかないとFRBの仕事がバラマキ以外になくなってしまう。
景気後退や金融危機の予兆がでてきたときに、利下げカードを持っておきたい。


利上げに成功すれば、将来、時間稼ぎをすることができる。


しかし、利上げすると、米国債の長期金利を刺激する。アメリカも日本と同様に
膨大な借金があるので長期金利の上昇は困る。


また、利上げは金融機関だけでなく、企業・個人まで幅広く影響がでる。
利上げにより米ドル高になると、ドル建ての借金をしているところがとても困る。(>_<)


専門家の中に、バラまき策はやめることができたけど、
金利を上げるのは難しいと考える人がいることは理解できる。


FRBは裏でいろいろと工作して、順調に利上げに成功したとしても
危機は再燃する可能性が高いので、金融政策の限界への挑戦は続く。


短期的な楽観論は、何度もでてくると思いますが
本質的な問題は解決していない。


長期投資家は、危機の本質を理解しないと、リーマンショックのときのように
痛手を受けることになる。


ミスリードする専門家や学者たちは責任をとらない。


すでに国債はバブル化し、世にも恐ろしい金利水準になっている。
豊島先生のお話にもあるように、過剰流動性パーティーに参加しても、
いつでも逃げることができるように


出口の近くで楽しむのが良い。


FRBが利上げしても、しなくても
世界金融危機の根本的な問題は解決していない。
(エキゾチック金融のことがわからないと、理解できない。)


日米欧の金融政策の限界への挑戦は続く。


目先、27日~28日のFOMCに注目したい。


時間あれば、足元のマーケットや実践的なことも書いてみたい。




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