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★生産性上昇 賃上げに必須?(金融政策>成長政策。賃上げ強制

<要点>

・ 賃上げには景気浮揚がまず必要である。 景気上昇は常に賃上げ方向に作用する。
・ 生産性上昇は賃上げにつながるとは限らない。 景気低迷期には特にそうだし、生産性上昇自体
 が景気下押し要因になりうる。

・ 生産性増大の成長政策を、景気浮揚の金融政策と並行させるのは政治的リスクが高い
・ インフレ目標を達成し十分に景気、賃金を浮揚させてから、成長政策を本格化させるべき。

・ 生産性増大は、好不況の景気循環均しでの賃金上昇には重要。 ゆえに成長戦略は重要だが、
 その効果はかなり遅効的なうえ、成長戦略先行など手順を間違えると成就しない(効率的に実施
 しえないか、抵抗が大きくなって潰される。 筋トレは疲労解消後に行うべき)。

・ 政府による賃上げ強制は誤り。 過剰賃金になり、事後の景気浮揚や経済成長を損なう。

・ 景気中立水準に達してない段階での賃上げ強制は特に誤り。 所得が増えても景気上昇期待が
 小さい景気低迷期には消費増大につながりにくいうえ、企業の設備投資余力を削いで景気浮揚を
 抑える。 総じて逆効果である。
  (家計単体は企業単体より規模が小さくリスク許容度が低いので、景気低迷期に企業から家計に
   資金シフトさせるのは誤り、、、景気対策の福祉バラマキ、中小企業バラマキが失敗する一因
   もここにある)。


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<詳細>

 表題は12/21読売朝刊一面、東京大学・吉川洋教授の論説のタイトル。
 原題には??はついてませんが、中身がおかしいので??をつけておきました。

 この論説の論旨は次のとおり。
 おかしい点が多々あるのがすぐ分かりますよね(赤字か所です)。
 政府による賃上げ強制もこの方らの主張がベースにあると思いますが、それは逆噴射です


・ 過剰なコスト削減や人件費抑制は日本経済全体を疲弊させる。
・ 近年、他の先進国では実質賃金が上昇してきたのに、日本では下落。
・ この間も日本の労働生産性は上昇していたのに、賃上げに回ってない。
・ これが日本のデフレ問題の本質
・ 2013の政労使会議はこのトレンド打破に効果があった(≒政府の賃上げ要請は正しい)

・ 賃金上昇は中小企業に未だ十分及んでない。 
・ 増税、円安での物価上昇により実質賃金は未だ上がってない。

・ 賃上げ可能となるには労働生産性が上がらねばいけない
・ 労働生産性上昇の範囲内での賃金上昇ならば企業は困らずインフレも起きない。

・ 生産性上昇は個々の努力のほか、高生産部門から低生産部門への人材シフトでも起きる。
・ 生産性の高低は賃金の多寡に対応している
・ 人材シフトはこうした賃金多寡による前向きなものとリストラによる後ろ向きなものがある。
・ 前向きな雇用流動を起こすには高生産部門や技術革新(イノベーション)が必要。

・ 企業が収益性より市場シェア・規模の拡大を目指せば生産性は上がらない。 長時間労働の常態
 化が起きる。
・ 消費者が求め過ぎれば労働者のワークライフバランスが崩れ、アイデアは生まれず、イノベー
 ションは起きない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 以下におかしい点を詳述。
 先生の文章には、一つ一つの主張は正しいが二つ合わせると間違い、というトリックがある。
 また、二つの側面があることを混同させて錯誤させるトリックもある。

・ 実質賃金とは物価上昇分を割り引いた正味の賃金
・ 労働生産性とは付加価値(≒粗利益)を労働者数で割ったもの
・ 日本で実質賃金が低下し、労働生産性が上昇したのは、景気抑制の金融政策が長期間続いたため
・ 景気低迷でのリストラ等で労働生産性上昇、実質賃金低下となった側面が大きい。
・ 企業が労働生産性の果実を賃上げに回してないかの如き主張は事実のネジ曲げ

・ 景気低迷長期化では企業は倒産回避のため、リストラせざるを得ない。
・ リストラでも労働生産性は上がるが、それを残った従業員の賃上げに回せるわけがない。
・ リストラ多発の景気低迷で実質賃金が下がるのは止むを得ず。リストラ回避で倒産よりはマシ。

・ 日本のデフレ問題は、企業の労働者いじめでなく、財務官僚の景気抑制政策に起因
・ 財務官僚の景気抑制的な金融政策が諸悪の根源。

・ 賃金は企業業績で決まる。
・ 業績を超える過剰賃金は企業成長低下となり、トータルでは労働者所得を下げる。
・ 政府による企業への賃上げ強制は、結果的に企業のためにも労働者のためにもならない。

・ 賃上げ、企業業績には景気の影響が圧倒的に大きい
・ 景気低迷なのに企業に賃上げを強制しても、デフレ脱却、景気浮揚にはつながらない。 
・ なぜなら、景気低迷時の賃上げは消費に回らず貯金に回りがちだから。
・ なぜなら、賃上げにより企業の設備投資余力が削がれるから。 
・ 景気低迷時に小規模でリスク許容度が低い家計に資金シフトさせても、消費はさほど増大
 せず、景気もそれほど上がらない。 なぜなら通貨流動は、リスク許容度の高いところから
 始まるから
(通貨流動性におけるトリクルダウン効果)

・ 現在、実質賃金が上がらないのは増税のせいで、円安のせいではない
・ 増税では物価だけ上がって賃上げは起きない。 むしろ、賃上げ抑制せざるを得なくなる。
・ 円安は通貨価値下落なので、物価上昇と賃金上昇が起きる。 円安では実質賃金の改善が進む
・ 賃上げには景気浮揚の金融政策(金融緩和)が必要で、それをやると円安、物価上昇も起きる。
・ 実質賃金上昇には円安と物価上昇が必要であり、それには通貨供給増大(金融緩和)が必須

・ 実質賃金上昇には技術革新による生産性上昇も有効だが、技術革新にはリスク資金増大が必要。
・ リスク資金増大には通貨流動性(金回り)増大=通貨価値下落=通貨供給増大が必要。
・ 技術革新で実質賃金上昇を図るにせよ、まずは通貨供給増大(金融緩和)が必須である。
・ 技術革新での賃金上昇は景気浮揚での賃金上昇よりかなり遅れるので、景気浮揚がまず重要

・ 物価上昇抑制での賃金上昇はイノベーション爆発がなければあり得なず、それは歴史的に稀。 
・ 賃金上昇は物価上昇を伴うのが歴史上ほとんど。 

・ 人材シフトによる生産性上昇は必ずリストラ、転職を伴う。
・ 生産性の高低と賃金多寡は必ずしも一致しない。 談合・寡占・政府関与でそれはゆがむ。
・ 低生産部門のかなりに談合・寡占・政府関与が見られ、生産性以上の高報酬になっている。
・ ゆえに低生産部門から高生産部門への人材シフトは利権喪失の痛み(?)を伴い抵抗は頑強。
・ 人材シフトによる生産性上昇は、転職容易で痛みが少ない高賃金時期=好景気局面に進めるべき
・ よって、人材シフトによる生産性上昇、賃金上昇のためにも景気浮揚の金融緩和が重要

・ 生産性上昇がなければ、好不況均しでの実質賃金上昇は望みにくいが、それはかなり遅効的な
 うえ、景気浮揚の金融緩和(=通貨供給増大=円安化&物価上昇)を先行させないと成就しない


・ 企業が収益性よりシェア重視の行動になるのもパイが膨らみにくい景気抑制政策の長期化に起因
・ 薄利での長時間労働は不況で資金繰りが苦しくなるときに常態化する。
・ シェア重視、長時間労働の利益無き繁忙は、日本企業の特性に問題があるのでなく、金融政策に
 問題がある


・ 1975以降、ほとんどの期間において日本の金融政策は景気抑制的、円高指向的、低インフレ
 指向になった。
・ それ以前は、技術革新は進み、パイは拡大し、転職は頻繁・容易で高報酬の長時間労働だった。

・ 企業規模の拡大や消費者の過剰欲求は技術革新、生産性向上の源泉である。 企業規模が拡大
 するほどリスクテイクが容易になり技術革新に資金を回せる
からである。 消費者ニーズが沢山
 あるほど技術革新のネタが増える
からである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 吉川教授は「経済成長には人口増よりも生産性上昇の影響がずっと大きい」ことを実証したヒト。

 有用な成果も上げている反面、(たぶん)財務官僚とのお付き合い上、上記のような変な論説も書く(書かざるを得ない)。

 以前、取り上げた伊藤元重教授のお付き合い論説よりも分かりやすく、逃げ道なく書かれてるので、突っ込みやすい文章になってます。

 分かりやすい物言いなので広告塔には有用だし、先生に責任転嫁しやすいので、財務官僚的には使
いやすい先生なんだろうな、と思う。 豪胆なのか変に義理堅いのか、、
 ちなみにこの先生は貨幣数量説にも疑義を唱えたりするらしい。

 職務背任で大アホな財務官僚との付き合いを大過なくやるには、伊藤教授の方法のほうが良いのでしょう、おそらく(--;



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