kabukabumanさんのブログ
株主割り当て増資(ライツイシュー)の盲点
ライツイシューは2010年にタカラレーベンが実施して以来徐々に増加傾向にあります。
公募増資や第三者割当増資を突然発表すると、希薄化懸念から市場が混乱しやすいため
株主の権利を出来るだけ守る目的で既存株主に新株予約権を無償で割り当て
権利が行使されるまで権利を市場で売買出来るというものです。
そしてこのタイプの増資には2種類の形態があります。
一つはコミットメント型で、この場合行使されなかった新株予約権を証券会社が引き取り
販売し直すことが事前に約束されており、調達額がある程度保障されるという特徴があります。
もう一つはノンコミットメント型で、言うまでもなく最終的な調達額は全く未知数です。
ところで今月に入り新たに2社がノンコミットメント型の株主割り当て増資を発表しました。
14日 → Jトラスト 調達予定額 max 1100億円
行使価額 1800円(発表前日の終値4195円・今日の終値2990円)
20日 → メガネスーパー 調達予定額 max 10億円
訂正箇所 → 行使価額 75円 (発表前日の終値129円・今日の終値126円)
ところがJトラストの場合は社長の藤澤信義氏が発行株式数の48.1%に当たる3005万株を保有。
またメガネスーパーは創業者一族である田中邦興、田中由子両氏が合算で
発行株式数の56.6%に当たる780万株を保有しています。
つまり両社とも調達予定額をクリアするためには
Jトラストの場合は社長自らが3005万株×1800円=540億9000万円
メガネスーパーの場合は創業者一族の2名が780万株×78円=6億840万円
それぞれ新株予約権を行使しなくてはなりません。
しかし問題は行使出来るのか、或は借金をしてでも行使するのかという点ですが
個人的にはまずないだろうと思います。
ただ市場参加者が希薄化を承知の上でメリットがあると判断すれば買われるでしょうし
行使価額を見ると何となく魅力を感じなくもありません。
何故なら結果的に行使率が50%に止まれば希薄化も理論上半分で済む計算になるからです。
ところがもし買い手が多ければ上記の3005万株と780万株の何割かが
市場で売られるかも知れません。(ここが個人的には盲点だと思います)
そうなると株価は買い手の目論見通りにならないだけでなく
財務内容が悪い企業の場合、増資した後でギブアップという可能性も捨て切れません。
実は私はJトラストのホルダーだったのですが増資が報道された時に手放しました。
実際には蓋を開けるまで正解だったか不正解だったかは分かりませんが
地合いが良いだけに、同社株に拘って未知のリスクを背負う必要はないと判断したためです。
何れにしても上記2社の増資劇の顛末はマイマニュアルにしっかり書き留めて置くことにします。
因みに、ライツイシュー(ライツオファリング)は増加傾向にありますが
増資の目的や当該企業の成長性、それに主要株主とその持ち株比率などを精査して参加しないと
案外痛い目に会うかも知れないので注意が必要だと思います。
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