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シャープは中国でも成功できるか

契約者数が7億人を突破し、年間2億台以上の端末が売れる中国の携帯電話市場。日本メーカーではかつてNECやパナソニックが撤退した経緯があるが、09年秋には第3世代(3G)サービスが出そろい、今後も年間10%以上の成長が見込まれている。今回は2008年6月に本格進出して成果を出し始めたシャープの中国事業にスポットを当ててみた。(石川温のケータイ業界事情)
 シャープはこれまでに中国市場で13機種を投入している。なかでも人気なのは「AQUOSケータイ」だ。09年は中国のハイエンドゾーン(4000~5000元、日本円では5万2000~6万5000円程度)で、17週連続でシェア1位を獲得する実績を上げた。
 日本のワンセグにあたる携帯端末向けのデジタルテレビ放送は、中国ではまだ北京周辺で試験的に始まった段階にとどまり、AQUOSケータイではこれも視聴できない。つまり、中国ではテレビ放送を見るためにAQUOSケータイを購入しているユーザーは皆無なのだ。では、なぜ人気なのか。
 「やはり日本で売られているというブランド力が購入動機にあるようだ。上海などの沿岸部の消費者はネットなどで世界中の情報を熱心に収集していて、日本の電化製品に関する情報にも詳しい。日本のハイエンドケータイへのあこがれで、AQUOSケータイが選ばれている」(シャープパーソナルソリューション事業推進本部の今矢明彦本部長)


■独自デバイス搭載モデルも発売
 当初はハイエンドゾーンに主軸を置いたが、最近は2000~3000元台の中位機種、さらには1000元台の低価格商品にも広げている。日本でソフトバンクモバイル向けに供給していた多色展開モデルなども発売した。
 今年2月には、ソーラーパネルを搭載したモデル(3400元)とメモリー液晶搭載モデル(3300元)を追加する予定。日本でシャープが得意としてきた内製のデバイスで独自性を出す戦略を中国でも展開し、シェア拡大を狙う。
 中国市場をながめると、およそ7割は1000元以下の安価なモデルで、シャープが狙う市場は全体の3割程度しかない。しかし、富裕層のさらなる拡大を見込んで品ぞろえを増やし、製品数を08年度の6機種、09年度の10機種から、10年度は20機種近くにまで拡大する計画だ。

■中国規格TD-SCDMA向けも準備
 海外で日本メーカーが成功するには、いくつかの重要な条件があるといわれる。まず、当然のことながら高い技術力が求められる。
 シャープは、09年秋に3G対応機種として中国携帯電話2位のチャイナユニコム向けにW-CDMA版、3位のチャイナテレコム向けにCDMA2000版を発売済み。3Gでは中国独自規格TD-SCDMAを採用する最大手チャイナモバイルに関しても「商談を進めており、近々投入できる」(シャープの今矢氏)という。
 チャイナモバイルはグーグルの携帯向けOS「Android」をベースとしたスマートフォンを「OPhone」というシリーズで展開しようとしている。今矢氏は「世界の流れをみても中国にAndroidの市場は形成されるだろうし、興味はある」と述べており、海外向けのAndroidベースのスマートフォンはいまのところ様子を見ている段階のようだ。
 しかし、日本で1月28日発売のウィルコム向け端末「HYBRID W-ZERO3」は、中国での展開もあり得そうだ。中国市場に特に向くとみられるのが2枚のSIMカードを入れられる点だ。「中国は3Gが始まったばかりでユーザーはまだ4~5%程度と、2G、2.5G、3Gが混在している状態。過渡期の穴を埋めるのに2枚のSIMは有効」と今矢氏は語る。
 既存の2Gネットワークを使いつつ、高速通信の3Gを併用するには、SIMカードが2枚刺さるHYBRID W-ZERO3は最適だろう。

■EMSは選んで活用
 海外事業のもう1つのポイントは価格競争力で、中国では特に重要になる。コストダウンのためには現地のEMS(電子機器の受託製造サービス)企業といかに付き合っていくかが課題となる。
 シャープも中国展開モデルでは一部の機種をEMSで製造している。「ものづくりをするうえで、価格競争力を突き詰める必要がある。いまは日本メーカーよりもEMSのほうが調達を含めて部材の知識は豊富に持っている。だからといって、EMSを使えば安くていいものができるというものでもなく、幅広い選択肢のなかからEMSを選んでいく必要がある」(今矢氏)
 シャープは単にEMSに製品を作らせるだけでなく、品質を保つために自社の技術者を派遣し、製造の指導をすることもあるという。EMSと組んで価格競争力を確保する一方、自社デバイスとの連携やAQUOSブランドの活用で日本メーカーの強みを生かしていく戦略だ。

■販売網を1万店規模に サービスも強化
 中国では販路を自ら切り開いていくことも欠かせない。日本では、メーカーはあくまでキャリアの下請けであり、キャリアに納入すればそれなりの利益を上げられる(実際はメーカーの営業などもあるが)。しかし、海外市場ではメーカー自身が販売網を持たなければならない。
 過去に中国で失敗したNECやパナソニックの場合も「販路が弱点だった」(かつて中国事業を担当したメーカー関係者)といわれる。いかに自社で端末を販売していくかはシャープにとっても正否を分ける課題となる。
 シャープの中国での販売網は、08年6月当時は専売店を中心にわずか約300店だったが、09年9月には量販店も含めて約3500店に拡大した。さらに10年3月にはキャリアの店舗を含めて約1万店規模に増やし、上海などの沿岸部から内陸方面に販路を拡大していくという。
 だが、「他の大きなメーカーは4~5万店規模で販売しているという話も聞く」(今矢氏)といい、これでもまだ十分ではない。中国で成功した日本企業は顧客対応のよさが評価されたケースが多い。資生堂が日本と同じ対面販売で中国市場に受け入れられたように、日本企業として店頭でのサービスを強化するのも1つの手だろう。
 「顧客サービスには力を入れていく。店頭販売に派遣しているヘルパーから情報を吸い上げるためにIT機器を使うといったこともしている。販売網は急に大きくはならないし、しっかりと地道に広げていきたい」(今矢氏)。09年度は100万台だった出荷台数を将来的には500万台まで増やすのが、シャープの中国事業における当面の目標という。
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