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TOBは必要ない? パートII

ジュピターテレコム(JCOM)(4817.Q: 株価, ニュース, レポート)の森泉知行社長兼最高経営責任者は28日の決算会見で、 KDDI(9433.T: 株価, ニュース, レポート)が計画しているJCOMの株式取得について「(取得方法が)適法か確認しないと協議は前進しない」と述べた。

 森泉社長は、KDDIからの出資が「企業価値の向上に資するなら前向きに考えていきたい」と話したが、同時に「株式公開買い付け(TOB)無しで38%近くの株式が異動するのは適法か否かなど、いろんな法律との兼ね合いがあるため、クリアにしたい」とも述べ、株式の取得方法が適法か確認したうえで具体的な協議を早期に進める方針を示した。

 JCOMをめぐっては、KDDIが25日、JCOMの株主で、米リバティグローバル・グループが保有する中間持ち株会社3社の持ち分を3617億円で買い取ると発表。譲渡は相対で、2月中旬をめどに実施される予定。KDDIはこれまで資本関係のなかったJCOMの議決権を37.8%握る筆頭株主になるとともに、JCOMにとっては支配権が異動する。

 KDDIの小野寺正社長からは、この方針について「直前に連絡があったが、詳しい内容は全く承知していない」(森泉社長)という。ただ、森泉社長は、業界内でシナジーを発揮できる相手企業は限られるため、KDDIから今回の方針が示されたことに「驚いてはいない」と話した。

 KDDIの25日の会見内容を把握する限り、株の取得後もJCOMの経営陣を引き続き温存する方針などが示されたため、KDDIの方針を「ホスタイル(敵対的)とは思っていない」(同)という。27日にKDDIと面談はしたが、あいさつに終わり細かい話は今後することになったという。

 ただ、今回の株式の取引をめぐり、専門家の間で法律の解釈が分かれている。KDDIは、有価証券報告書を提出していない中間持ち株会社から株式を取得するため、議決権の3分の1以上を取得する際に実施しなければならないTOBのルールは適用されないとみている。

 しかし、複数の弁護士は、一般株主が無視された支配権の異動は法律の趣旨に反するため、本来KDDIはTOBを実施すべきで、金融商品取引法に抵触する可能性があると指摘している。
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