元祖SHINSHINさんのブログ
困った時の、小林秀雄
今まで読んでみた小林秀雄の著作は、
少し難しいものが多かった。
けれど、彼に身近な作家に対することを書いた評論は、
不思議と少しばかり、優しい。
志賀直哉と、菊池寛に対する彼の書評を読んでみた。
読んでみるとオイラが今、格闘している小説に対する惑いが、
なくなっていた。
このままでイイように、思えてきた。
★「作家の顔」
小林秀雄著 新潮社 H23.8.30.48刷
締め切りまでもう一ヶ月しかないのだし、
今さらジタバタしたって仕方がない。
志賀直哉は、私小説家。
菊池寛は、あらゆる小説的技法に逆らったという作家。
オモロイ。
この二人の作品を読んだこともないのに、
小林の批評は、的確に彼らの作風を捉えて
いろいろなことを示唆してくれる。
その中でも一番大きかった示唆は、
「技巧ではなく、内容で勝負しろ」ってことだ。
そういえば、
「技巧ではなく情」と書いたのは、瀬戸内寂聴であったのも思い出した。
浅田次郎の右フック。
もしも今、小林秀雄が生きていて、
浅田次郎を評したらどういうだろうか。
プロの作家が読んでみても、
どうして魂が揺さぶられるのか、誰にも説明が出来ない。
なので彼の右フックを、他の誰にも再現することが出来ない。
オイラはそう思っている。
浅田次郎を読んだことがない小林秀雄は、
これに近いことに触れてはいるのだが。
オイラは、浅田の右フックの謎を、解明したい。