1. 2018年3月期第3四半期決算の概要
RIZAPグループ<2928>の2018年3月期第3四半期決算は、売上収益99,129百万円(前年同期比50.8%増)、営業利益8,114百万円(同1.4%増)、税引前利益7,113百万円(同5.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益5,233百万円(同3.0%増)と増収増益で着地し、売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。
第3四半期に対する事前予想はなく、計画対比の評価はできないが、売上収益、利益ともに順調に進捗していることがうかがえる決算だったと弊社では評価している。
営業利益の増益率が1.4%と小さかったことや、税引前利益が減益となったことで、同社の成長が鈍化したように感じる向きもあろうが、それは正しい理解ではないと弊社では考えている。
前回(第2四半期決算時)のレポートでも述べたが、同社は今期、成長のための先行投資を積極化させている。その規模は、第2四半期累計期間までに約47億円に上ったが、第3四半期に入っても新たに約23億円の先行投資を行った。その結果、第3四半期累計期間の先行投資額は70億円を超えている。重要なポイントは、この先行投資は完全に同社のコントロール下にあるということだ。その時々の収益の水準と、将来の布石として今何を成すべきかをよく見きわめ、バランスを取りながら経営がなされていることは、これまでも当レポートで報告してきたが、今第3四半期もその方針が貫かれているということだ。
財務諸表における営業利益の額は、先行投資などの額を控除した後のネット値であるため、同社の実際の収益力がわかりにくくなっている。その点をわかりやすくした、同社のグロスの営業利益と先行投資額の四半期推移を表しているグラフ(次頁)を見ると、今第3四半期累計期間においては、既存事業で約121億円の利益を稼ぐことができた上に、M&Aに伴う割安購入益(負ののれん)で30億円かさ上げされ、トータルのグロスの営業利益は約151億円に拡大したことがわかる。その一方で同社は、将来に向けた先行投資を積極的に行い、約70億円を投下した。その結果が前述の約81億円の営業利益ということだ。
セグメント別では、美容・健康関連セグメントが第3四半期累計期間で前年同期比83.4%増収、24.4%増益と大きく伸長し、全社の収益をけん引した。とりわけ、第3四半期単独期間の営業利益が前年同期比約3.6倍の4,002百万円と急拡大したことが注目される。内容的には、後述するボディメイクの収益が引き続き拡大したほか子会社のマルコ<9980>の業績が大きく改善した。またゴルフなどのRIZAP関連事業の損益も第3四半期は大きく改善し、利益押し上げに貢献した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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