セクターでは、東証全33業種が下落するなか、倉庫・運輸関連業や水産・農林業、パルプ・紙が3%超の下げとなった。売買代金上位では、ソフトバンクG<9984>や9月既存店がマイナス転換となったファーストリテが指数を押し下げたほか、トヨタ自動車<
7203>、三菱UFJ<8306>、キーエンス<6861>、三井住友<8316>、みずほ<8411>、ファナック<6954>、資生堂<4911>、武田薬<4502>、JT<2914>が軟調。一方で、国内証券による目標株価引き上げ観測を受けたスクエニHD<9684>やコロプラ<3668>が逆行高、上半期決算を受けてアク抜け感が台頭したニトリホールディングス<9843>が3%高になったほか、東京エレクトロン<8035>、第一三共<4568>、神戸物産<3038>はしっかり。
EUによる航空機大手エアバスへの補助金を巡る問題において、世界貿易機関(WTO)
が、米国がEUに年最大75億ドル相当の報復関税を課すことを承認した。EU側も報復を検討中と伝わっており、米欧貿易摩擦に対する懸念が改めて東京市場においても悪材料視される格好になった。一方、本日前場の日経平均は前述した通り、一時500円を超える下げとなったが、75日移動平均線の位置する21276円処を前に下げ止まりをみせた。同線のすぐ下には200日線(21212円)も位置しており、これらの中長期線の位置するレンジをキープできたことはいったん安心感に繋がろう。先週末から週初にかけて、9月27日、30日、10月2日と下落局面では日銀の上場投資信託(ETF)買い入れは確認されており、日銀によるETF買い余力も依然として観測されるなか、後場にかけての需給面における下支えとして意識される。
足元の米国市場では、ISM製造業景況指数に続いて、9月ADP全米雇用報告で民間部門の雇用者数も市場予想を下回る結果となり、市場関係者の間では「10月追加利下げの可能性は高まった」との見方が広がっている。今月中に発表される雇用、物価、個人消費の関連指標に対する市場の関心は一段と高まることが予想されるなか、10日から再開する予定の米中閣僚級協議の行方を見極めたいとする向きも根強く、ハイテク株に対する積極的な押し目買いの動きは期待しにくいだろう。後場にかけては、前述したETF買いへの思惑などから、インデックスに絡んだ商いは幾分みられそうだが、目立った物色としては、好決算や月次動向を手がかりとした内需ディフェンシブ銘柄に対する消去法的な商いが主体となってこよう。
(雲宮 祥士)
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