今週の新興市場は反発。5営業日中、上昇したのは僅か1日だったが、週末まで底堅い展開で、週間では上昇を維持した。米10月ミシガン大消費者信頼感指数の期待インフレ率の上昇や米長期金利の上昇を背景に週明けは売りが先行。ただ、翌18日は大規模減税策の撤回による英国での財政不安の後退などを好感して急反発。その後は米10年債利回りが連日で2008年7月来の高値を更新するなか、週末まで3日続落となったが、金利上昇幅に対しては比較的底堅く推移。日米主要企業決算の発表本格化を前に主力大型株を中心に見送りムードが漂うなか、新興市場の中小型株を中心に物色が強まり、新興株は相対的に堅調な展開となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が−0.74%であったのに対して、マザーズ指数は+1.19%、東証グロース市場指数は+1.19%。
個別では、週間でANYCOLOR<5032>が+8.8%、ビジョナル<4194>が+2.4%、Appier Group<4180>が+4.0%、M&A総合研究所<9552>が+9.8%、ジーエヌアイグループ<2160>が+9.3%と上昇した一方、JTOWER<4485>が−8.1%、ティーケーピー<3479>は−3.9%、BuySell<7685>は−5.6%、アドベンチャー<6030>が−7.1%、サンウェルズ<9229>が−10.0%などと時価総額上位銘柄はまちまち。直近決算で好業績が確認された銘柄が引き続き強い動きを見せた一方、リオープン関連が利益確定売りに押された格好だ。サンバイオ<4592>は主力製品の製造販売承認取得について年内は困難との見通しを示し、−19.5%と急落した。
■個人投資家の物色意欲は依然旺盛
来週の新興市場は強含みか。来週はアップルなどGAFAMと称される米IT大手の決算があるため、これらの内容に左右される可能性はあるが、総じてこれまでの底堅い基調が続くと予想する。一方、日米主力企業の決算発表が本格化するほか、来週は東証スタンダード市場を含め新規株式公開(IPO)が計4社あるため、資金が分散される可能性が高く、既存銘柄への換金売り圧力などには注意しておきたい。それでも、個人投資家の物色意欲は旺盛で、M&A総合研究所、ANYCOLORなど直近IPOで上場来高値更新劇を続ける銘柄が散見される。他にも今年上半期に売られ過ぎた分、悪材料織り込み済みで下値の堅いものや年初来高値圏で推移する銘柄も多い。来週は上述した資金分散の観点から、関連銘柄には一旦利益確定売りが出そうだが、そこは押し目買いと前向きに捉えられるだろう。
また、ここに来て追い風が吹いてきた。今週末、ウォールストリート・ジャーナル紙が、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅縮小に向けて米連邦準備制度理事会(FRB)が議論する見込みと報じた。今後のデータ次第で依然流動的ではあるものの、12月会合でも5回連続での0.75ptの利上げが行われることを市場は織り込みにいっていたため、ポジティブサプライズだ。やや唐突、時期尚早な印象も否めないが、上半期に売られ過ぎたグロース銘柄には一段の支援要因といえる。マザーズ指数は200日移動平均線を突破できればリバウンド機運が一段と高まろう。
来週は26日にAtlas Technologies<9563>、リンカーズ<5131>が、27日にFCE Holdings<9564>(東証スタンダード)が、28日にpluszero<5132>が新規に株式公開する。今週は新たにティムス<4891>、tripla<5136>の2社が新規上場を承認された。
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