1.複数の物流事業者の荷物を、地域の事業者がまとめて配送 配送効率を向上する共同配送サービス「おむす便」
2.医療提供機会の維持、訪問業務における医療従事者の時間効率化を実現する遠隔医療サービス「そばいる」
3.人やモノの活動を収集・分析・可視化するツール「ダッシュボードシステム」
秩父市生活交通・物流融合推進協議会(会長:早稲田大学教授 小野田弘士/以下「本協議会」)(注1)は、秩父市の山間地域の少子高齢化によるヒトとモノの移動の困難さに着目した物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」構築に向け、1.共同配送サービス、2.遠隔医療サービス、3.ダッシュボードシステムの提供を開始します。
<「秩父モデル」構築に向けた新サービスの背景>
秩父市は都市部へのアクセスもよく自然に囲まれ、歴史文化あふれる観光地として有名な一方、山間地域が多く存在し、若年層を中心とした都市部への人口流出による人口減少や住民の高齢化による生活交通・物流等の生活インフラの維持が課題となっており、2014年に日本創成会議が提起した「消滅可能性都市」に数えられてから、官民一体となってこれらの課題解決を図っています。2021年の「秩父市生活交通・物流融合推進協議会」発足以降、山間地域における物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」構築に向け数々の実証実験を重ね、2024年6月3日(月)から新たに3つのサービスの提供を開始します。
(注1)2020年11月6日に設立。2024年6月3日現在の構成員は、秩父市、ゼンリン、三菱総合研究所、西武ホールディングス、西武鉄道、西武観光バス、アズコムデータセキュリティ、オプナス、早稲田大学、東京電力パワーグリッド、本庄早稲田国際リサーチパーク、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便、栃ふさ、ヒトツムギ、NEXT DELIVERY、ちちぶ結いまちの18者。本協議会では、物流、生活交通、観光交通、医療等の多様な分野のサービスについて、「ドローン物流」「遠隔医療」「MaaS」などの先端技術を活用してヒトとモノの移動を最適化・効率化し、Society5.0社会の実現に向けた事業モデルを構築することを目指しています。
※本事業は、2020年7月に内閣府の未来技術社会実装事業の採択も受け、未来技術の社会実装に向けて、関係府省庁による総合的な支援を受けています。
<各サービスのポイント>
1.共同配送サービス「おむす便」(大滝地域)
物流事業者3社の荷物を集約し、地域の事業者がお客様のご自宅まで配送するサービスです。山間地域におけるトラックの積載率低下、環境への負荷といった全国的な物流問題に対し、配送の効率を向上させる新たな物流モデルを展開します。「おむす便」の名前の由来には、「想いを結んで運びます」という事業ビジョンが込められています。
2.遠隔医療サービス「そばいる」(大滝地域)
大滝地域の患者への医療提供機会の維持や、訪問業務における医療従事者の移動時間効率化を目的に、「オンライン栄養指導」、「D to P with N」、「オンライン受診相談」の3つの遠隔医療サービスを開始します。
3.ダッシュボードシステム(市民向け/行政向け)
交通、気象、環境、イベント等の地域の様々な情報を、WEB上にてリアルタイムで発信する「秩父市ダッシュボード」と、各種事業で収集したビッグデータとオープンデータを組み合わせることで、事業分析や行政業務の効率化を可能にする「ZENRIN Local Area Insight」の実運用を開始します。
<各サービスの詳細>
◆共同配送サービス「おむす便」
秩父市では本協議会構成員であるヤマト運輸株式会社(以下「ヤマト運輸」)、西濃運輸株式会社(以下「西濃運輸」)、福山通運株式会社(以下「福山通運」)の物流事業者3社の荷物を集約し、地域の事業者が、お客様のご自宅まで配送するサービス「おむす便」を、2024年6月3日(月)から開始します。
◎ 共同配送サービス実施の背景
2024年4月の法改正に伴い、「運送・配送業務の効率化・平準化」は物流業界の重要な課題となっています。本協議会では秩父市の山間地域におけるトラック1台当たりの積載量の少なさに着目し、2022年9月に物流事業者各社の荷物をヤマト運輸が配達する、共同配送のプレサービスを実施しました。プレサービスの結果を踏まえ、ラストマイル配送を地域の事業者が担う新たな物流モデルを構築し実運用を開始します。
◎ サービス運営の流れ
(1)物流事業者が、自社の大滝地域宛ての荷物を「ヤマト運輸 影森営業所」に運びます。
(2)地域の事業者「栃ふさ」が「ヤマト運輸 影森営業所」で各社の荷物を受け取ります。
(3)荷物を積み込んだ「栃ふさ」の車両で、大滝地域のお客様のご自宅まで荷物を配送します。
◎ 各者の役割
◎ 今後の展望
今後、物流事業者各社の荷物に加え、株式会社ベルク等の小売事業者とも連携した買い物支援サービスを展開予定です。また、今回の共同配送スキームを活用した新たなビジネスの検討を引き続き推進していきます。
◆遠隔医療サービス「そばいる」
医療機関へのアクセスに課題をかかえる秩父市山間地(大滝地域)において、「患者への医療提供機会の維持」や「訪問業務における医療従事者の移動時間効率化」をはかるために、遠隔医療サービス「そばいる」として「オンライン栄養指導」「D to P with N」「オンライン受診相談」の3つのサービスを開始します。
◎ 遠隔医療サービス 導入の背景
大滝地域の広大かつ山間地特有の起伏に富んだ地理的特性と、住民の高齢化により、将来、適切な医療体制の維持が困難になることが想定されています。課題解決に向け2021年より遠隔医療の実証実験を重ね、2024年6月3日(月)から、「オンライン栄養指導」「D to P with N」「オンライン受診相談」の3つのサービスを開始します。
◎ 具体的なサービス内容について
(1)オンライン栄養指導(そばいる栄養指導 ~テレビ電話型 栄養指導~)
大滝地域の住民が栄養指導を受けるには、管理栄養士の所属する「秩父市立病院」で受診する必要があるため、移動が困難な方は受診が困難なケースが発生していました。今回、大滝地域の診療所と「秩父市立病院」をオンラインでつなぎ、患者が地域の診療所でも栄養指導を受診できる体制を構築しました。
(2)D to P with N(Doctor to Patient with Nurse / そばいる訪問診療 ~看護師訪問型 テレビ電話診療~)
大滝地域では「体調は安定しているものの、足腰が悪く通院が困難」な患者の増加が予想されています。現状は訪問診療で対応していますが、山間地である大滝地域内での移動には時間を要すことから、多くの件数を訪問できないことが課題です。本協議会では診察の効率化を目指し、看護師が患者宅を訪問し、オンラインで診療所の医師と繋ぎ診療を行う「D to P with N」の体制を構築しました。
(3)オンライン受診相談(そばいる安心相談 ~テレビ電話型 受診相談~)
患者自身の端末と診療所のタブレットを繋ぐことで、身体の不調を相談できる「オンライン受診相談」の体制を構築しました。緊急時の相談窓口としてご利用いただけます。
◎ 各者の役割
◎ 今後の展望
患者・医療従事者の皆様からのご意見をいただきながら、より地域に適した医療サービスとなるように努めていきます。また、遠隔医療サービスの受診者数など個人情報に該当しない範囲でデータを収集し、今後の行政サービスの検討に役立てていきます。
◆ダッシュボードシステム(市民向け/行政向け)
市民・観光客の秩父市内での移動・行動を支援するWebサイト「秩父市ダッシュボード(Chichibu City Dashboard)」と、秩父市における各種事業で収集したビッグデータとオープンデータを組み合わせることで、事業分析や行政業務の効率化を可能にする行政向けダッシュボードシステム「ZENRIN Local Area Insight」の実運用を、6月3日(月)から開始します。
◎ 【市民向け】 秩父市ダッシュボード(Chichibu City Dashboard)
(https://dashboard.city.chichibu.lg.jp/)
秩父市ダッシュボードでは、秩父市内の交通情報や気象情報、イベント情報等を一覧性が高い「ダッシュボード形式」で提供します。秩父市民の市内での移動手段や行動予定の検討にご利用いただけるほか、観光客へも効率的な移動を支援し、秩父市の魅力をより実感できる観光体験の提供にも寄与していきます。
将来的には、行政サービスをワンストップで提供するポータルサイトとしての発展を目指します。さらに、ポータルサイトから得られる市民や観光客の活動状況のデータから、市の行政施策の立案の検討材料として活用することを予定しています。
◎ 確認できる情報(一部)
◎ 【行政向け】ZENRIN Local Area Insight
「ZENRIN Local Area Insight」は、行政や地域内で提供されるサービスから得られる情報を収集・分析・可視化し、事業評価指標(KPI)の進捗確認や各種行政計画立案の基礎情報として活用できるツールです。観光MaaS、AIデマンドタクシーなどの秩父市で導入済みのサービスや、今後導入予定の事業・サービスと連携する予定です。
◎ ダッシュボードシステム 開発の背景
秩父市では、少子高齢化をはじめとする様々な社会課題に対し、先端技術や先進的なサービスを活用して解決に取り組む事業が多数実施されています。事業の中で得られるデータを収集・分析・可視化し、事業の枠組みを越えたデータ連携・分析を行い、今後の行政施策の立案や新たな民間サービスの考案に活用するためのツールとして、ダッシュボードシステムを開発しました。
◎ 今後の展望
今後提供開始されるデジタルサービスや秩父市の各種行政データは随時ダッシュボードシステムへと組み込み、より幅広い範囲で秩父市の現状を分析・可視化できるツールとして構築を進めていきます。
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