今週の新興市場は上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+0.66%だったのに対して、グロース市場指数は+4.11%、グロース市場250指数は+4.32%。日経平均は週半ば以降に利食い優勢の展開となった一方で、決算を手掛かりとした中小型株への物色が活発だった。グロース市場指数、グロース市場250指数は、いずれも6営業日続伸で年初来高値を更新。一方、時価総額が大きい銘柄は売り買いが交錯し、グロース市場コア指数は週間ベースで+0.85%だった。
時価総額上位銘柄では、Synspective<290A>が4月21日以来の上場来高値を更新し、週間の上昇率は55%を超えた。5月14日に発表した25年12月期第1四半期は、衛星コンステレーション構築のための先行投資により営業損失が拡大したが、総収入が大幅増収となったことが好感された。ジーエヌアイグループ<2160>は、25年12月期第1四半期の営業損益は赤字に転じたが、連結子会社Cullgenが6月中に米ナスダック市場へ上場する予定で、上場益発生の思惑から上昇。ispace<9348>は、26年3月期の赤字幅が縮小すると見込んでいることから買われた。一方、フリー<4478>は、決算発表後に利益を確定する売りが優勢となり、GENDA<9166>は、海外売り出しが嫌気された。
今週はIPOがなかった。4月22日にグロース市場に上場し、その後調整が続いていたデジタルグリッド<350A>は、リバウンド基調を強めた。16日には4月23日以来の水準を回復してきており、同日につけた上場来高値6380円が意識されてきそうだ。
■グロース市場250指数は年初来高値を更新
来週の新興市場は、決算発表が一巡したことから手掛かり材料に欠けそうである。ただ、グロース市場指数、グロース市場250指数が年初来高値を更新したことは、投資家心理を明るくさせており、物色意欲は強そうだ。トランプ米大統領は16日、関税措置を巡る各国との貿易交渉について、今後2~3週間のうちに新たな関税率を書簡で通知する考えを示したと伝えられている。これを悪材料視される可能性があり、主力大型株への物色が手控えられ、関税の影響が限られるとみられる中小型株には資金が向かいやすい面がありそうだ。
今週、決算を手掛かりに買いが目立ったトヨコー<341A>やAVILEN<5591>、NexTone<7094>、Def consulting<4833>、Birdman<7063>、富士山マガジンサービス<3138>、FFRIセキュリティ<3692>などへの物色が継続するかが注目される。また、AppBank<6177>は、第1四半期決算を受けて16日に急伸し年初来高値を更新、一気に昨年10月以来の水準を回復した。反動安を警戒しつつも、低位株には投機的な資金が集まりやすいだろう。そのほか、アルファポリス<9467>、ブリーチ<9162>、TORICO<7138>、レントラックス<6045>、ZUU<4387>、サイフューズ<4892>、メタリアル<6182>などは、足下の上昇によってテクニカル妙味が高まっている。
来週はIPOの予定はない。直近IPO銘柄では、4月24日に上場したLIFE CREATE<352A>が、一時ストップ高まで買われ、上場来高値を更新。ジグザグ<340A>は、リバウンド基調が続き、3月31日の上場時につけた高値3199円に接近しており、上場来高値更新が期待される。
<FA>
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