3. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績について、同社は売上高4,004百万円(前期比15.4%増)、営業利益318百万円(同16.5%減)、経常利益318百万円(同16.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益216百万円(同16.9%減)と、人材など先行費用を織り込んで増収減益を見込んでいる。なお、みんがくの子会社化に伴い2026年3月期から連結決算に移行する。
事業環境が加速度的に良化している人材サービス、ドミナント戦略が奏功している教育サービスで、ともに引き続き旺盛な需要が見込まれるため、今後の成長加速へ向けて投資を積極的に行う計画である。特に優秀な人材の確保や育成のため全事業で人的投資を強化、個別指導教室事業では積極的な出店及び新たな地方へ展開のための投資も行う計画である。このため2ケタ増収を見込むが、人件費及び個別指導教室事業における出店費用と拠点開設費用の増加により利益面は2ケタの減少を予想している。個別指導教室事業で新たな地方へ展開するための費用負担は大きいが、教育人材支援事業では需要の増加に伴い増益が期待できる側面もあり、予想はやや保守的と見ている。
ところで、同社はM&Aを積極化しており、2025年4月にみんがくを子会社化、また子会社化を視野にGAの第三者割当増資を引き受けた。みんがくは、教育に特化した生成AI活用プラットフォーム「スクールAI」を活用して、教育現場へ生成AIの導入を支援する総合教育DX推進コンサルティング事業を展開している。現在、文部科学省が学習の質向上のため教育現場に導入しようとしている生成AIの活用を後押しするため、みんがくの「スクールAI」を同社の教育人材支援と組み合わせて積極的に営業展開していく方針である。すでに申込が集中している模様で、各自治体の予算規模や申請の通過具合によっては、一定以上の事業規模になる可能性がある。GAは、未就学児~小学校低学年を対象に、英語とサッカー・チアダンスを掛け合わせた独自の教育プログラムを有しており、同社は従来にない年齢層へのリーチと、従来にない教育価値の提供が可能となる。なお、みんがくやGAのようにシナジーの見込める案件に関しては、引き続き積極的にM&Aを検討していく考えである。
セグメント別では、先行費用の増加により全事業とも増収減益の見込みとなった。教育人材支援事業では、部活動指導員、ALT(外国語指導助手)、プログラミング講師、ICT支援員など、教員の働き方改革に向けた外部資源の活用が各自治体でますます活発化すると想定している。また、インバウンド需要の回復や外国人労働者の増加に伴う日本語サービスの重要性への認知が進み、その担い手である日本語教師の需要はさらに高まるものと考えられる。
福祉人材支援事業においては、認定こども園の増設やこども誰でも通園制度の策定など子育て支援策が拡充されるなか、保育士の需要は引き続き高い水準で推移すると想定される。また、「小1の壁」問題の解決のため学童支援員、民間委託が進む小中学校における学校介助員の需要拡大が見込まれ、特に学童との親和性の高いGAとのシナジーの発揮が期待される。これらの需要増を取り込むべく営業体制の強化へ向けた人的投資を積極的に行う方針である。
個別指導教室事業では、人口増加エリアへのドミナント出店を拡大する計画で、今期は6店程度の出店を考えているようだ。地盤の神奈川県はもちろんのこと、千葉県、埼玉県、茨城県など関東近郊のドミナントエリアへの出店を強化、関西や中部など新たな地域でも本格的にドミナント展開を行う考えである。そのため、店舗開発やプロモーションなど新規出店に係る投資を積極的に行う方針である。現状「ペンタスkids」に対する需要も非常に強いが、教室の新規出店が先行している状況である。
家庭教師事業においては、個別指導教室事業のエリア拡大に歩調を合わせ、対面型家庭教師サービスの商圏を首都圏と関西圏以外に拡大するとともに、効率化を図りつつ、内部体制の充実のための人的投資や広告宣伝投資も積極的に行う方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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