大平洋金属株式会社(東京都千代田区、代表取締役:青山正幸、以下大平洋金属)及びマイクロ波化学株式会社(大阪府吹田市、代表取締役社長CEO:吉野巌、以下 マイクロ波化学)は、マイクロ波を利用したニッケル製錬技術について共同開発契約を締結しました。小型実証試験を共同で進め、事業性を検証してまいります。
金属製錬分野は、2022年5月に経済安全保障推進法が成立し、現在、特定の国に依存している特定重要物資に指定された金属鉱産物(レアメタルなど)の安定確保が急務となっています。その金属鉱産物に位置づけられているニッケルは、ステンレス鋼や電気自動車(EV)用リチウムイオンバッテリーに必要とされる重要な金属です。
大平洋金属は、ニッケルを中心に金属製錬技術を持ち、主力事業として海外から輸入するニッケル鉱石を主原料とした鉄とニッケルの合金であるフェロニッケル(ステンレス鋼の原料)を国内で製造しており、中期経営計画の重点施策では「GHG排出量の低減」を掲げ、プロセスの化石燃料からの脱却を計っています。マイクロ波化学は、2014年に世界で初めてマイクロ波を用いた大型化学プラントでの製造プロセス開発に成功。近年は、鉱山開発プロセスに向けてマイクロ波技術プラットフォーム「Green Mining-MXTM」を構築しています。
大平洋金属とマイクロ波化学は、ニッケル鉱石製錬時におけるCO2排出の主要因である煆焼(かしょう)※1プロセスを、従来技術で使用している石炭燃焼のエネルギーから電気で発生するマイクロ波に置き換えることについて2022年よりラボ検討を実施してきました。その結果、CO2排出量の大幅な削減、及び熱効率改善による省エネルギー化の見通しを得ました。
今回の共同開発においては、両社で小型実証設備にてスケールアップに必要なデータを取得するために試験を行います。
良好な結果が得られれば、今後、次のステップである大型実証機により実証稼働に進み、2030年度を目処に実機導入を目指し、これにより、国内におけるニッケルの安定供給に貢献いたします。
大平洋金属は、2050年度のカーボンニュートラル達成を目指し、2030年度にはGHG排出量を2013年度比で46%以上削減する方針です。新たなプロセスへの転換とともに、この技術を他の金属鉱産物にも応用可能なものとし、長期ビジョン「持続可能な循環型社会を共創する総合素材カンパニー」を実現し、サステナブルな事業を進めてまいります。
マイクロ波化学は、様々な鉱山開発プロセスにGreen Mining-MXTMの導入を推進することで、金属鉱物資源のサプライチェーン強化と脱炭素化に貢献してまいります。
*1 鉱石に含まれる結晶水を高温で完全除去するための熱処理プロセス
![現在のロータリーキルン(大平洋金属) 現在のロータリーキルン(大平洋金属)](https://prtimes.jp/i/76344/28/resize/d76344-28-1a32567e65ff00015c05-0.png)
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