今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が+3.36%だったのに対して、グロース市場指数は-0.56%、グロース市場250指数は-0.57%と新興市場はプライム市場に圧倒される展開となった。引き続きプライム市場の金融株や精密機器銘柄などに資金が向かい、7月4日に日経平均、TOPIXはそろって史上最高値を更新。プライム市場の時価総額も史上初めて1000兆円に乗せるなど大型株主導の地合いとなったことから、グロース市場の売買代金は伸び悩み、相場のけん引役だったサンバイオ<4592>などバイオ株もまちまち。新興市場は物色の蚊帳の外となった。
時価総額上位銘柄では、上場来高値を更新していたインテグラル<5842>が利益確定売りに押されたほか、ispace<9348>、セーフィー<4375>もさえない。一方、GENDA<9166>が上場来高値を更新したほか、証券会社のポジティブなレポートを材料に弁護士ドットコム<6027>が大幅高となった。このほか、23年12月期有価証券報告書提出遅延が引き続きネガティブ視されたENECHANGE<4169>がきつい下げとなった。一方、3月に連結子会社化したマガシークの進捗が好感されてジェイドグループ<3558>が買われた。
■仕切り直しの展開に期待
来週の新興市場は、短期的な上昇に対する利益確定売りをこなしたことなどから、しっかりとした地合いとなりそうだ。来週のプライム市場では上場投資信託(ETF)の決算に絡んだ売りが1兆円超入るとの見通し。ある程度、市場では織り込まれているとの見方だが、今週大幅高したこともあり心理的な重しとなろう。
その分、新興市場に循環的な物色が向かう可能性がある。今週前半にかけて、新興市場は利益確定の流れがやや強まっていたことから仕切り直しの展開に期待したい。グロース市場指数、グロース市場250指数ともに75日移動平均線にいったんは跳ね返されたが、再度、この水準突破を試す展開を迎えている。25日移動平均線が上向いていることから5月30日の年初来安値を起点とした反発は継続。足元しぼんでいた売買代金が再び増加すれば、上を意識した上昇は強まると考える。コンスタントに2000億円前後の売買代金ができる地合いとなれば投資家のモメンタムも強気となろう。
年初来安値圏からの戻りを試した6月相場の柱はサンバイオ、クオリプス<4894>などバイオ関連銘柄だったが、今週のサンバイオは信用規制が入ったこともあり、週間ベースでは24%の下落となった。いったんは短期リバウンドを見せるかもしれないが、信用規制が解除されない限り売買代金を伴った上昇は厳しいところだ。来週はGENDAや弁護士ドットコムなど時価総額が大きくしっかりとした動きを見せている銘柄に関心が向かおう。
また、来週は新規株式公開(IPO)が予定されていないことから、投資家の物色は直近IPOに向かうと想定する。初値近辺まで調整した豆蔵デジタルHD<202A>や、今週上場来高値を取ったChordia Therapeutics<190A>、4月の上場来高値に迫っているダイブ<151A>あたりは関心を高めたいところだ。
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