6. リスク要因・収益特性と対策
リスク要因として、海運業は市況変動の影響を受けやすい点があるが、安定収益源の積み上げを推進することによって盤石な事業基盤の構築を目指している。
特に外航海運業は海運市況、燃料油価格、為替等の影響を受けやすく、業績が大きく変動する可能性がある。この対策として同社は、中長期の定期用船契約が中心の大型原油タンカーやガス船で安定収益源の積み上げを推進している。またケミカルタンカーでは、1年程度の複数のCOAとスポット貨物を組み合わせることで利益の最大化を図っている。輸送数量の構成比はCOAが約7割、スポット貨物が約3割となっている。なおCOAでは一般的に、燃料油価格変動に伴う燃料費調整係数(BAF)を付けており、採算にはほぼ影響はない。内航・近海海運業も含めて、効率的配船やコスト増加に対応した契約有利更改を推進することにより、採算性向上を目指している。
不動産業は賃貸契約の更改時に不動産市況、空室率、賃料などの影響を受けるものの、国内における同社保有の賃貸ビルはいずれもオフィスビル賃貸市況が堅調な東京都心部の一等地に立地しているため、市況の影響を比較的受けにくい。収益柱の飯野ビルディングは立地面の優位性や高度な環境性能を強みとして、引き続き安定収益源として同社業績を牽引するだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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