8日の米国株式市場のダウ平均は40.33ドル安(-0.12%)、S&P500は4.40ポイント高(+0.10%)、ナスダック総合指数は10.55ポイント高(+0.08%)とまちまち。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が参加予定の国際通貨基金(IMF)会合での発言を警戒し、利食い優勢となった。ただし、原油価格の下落や長期金利低下でハイテクの売りは限定的となり、相場を支えた。一方、米長期金利の低下を好感し、日経平均は前日比149.91円高の32316.39円と反発スタート。底堅く推移したものの、中国の10月消費者物価指数が再び下落に転じたことを受け、やや上げ幅を縮めた。
個別では、レーザーテック<6920>、東京精密<7729>、東エレク<8035>など半導体銘柄が好調。そのほか、シュッピン<3179>、三菱ガス<4182>、TOWA<6315>、ニチコン<6996>、ミツバ<7280>、ローランド<7944>、東証スタンダードでは村上開明堂<7292>、インプレス<9479>、東証グロースではティアンドエス<4055>、フレクト<4414>
などが値上がり率上位に並んだ。
一方、楽天銀行<5838>、めぶきFG<7167>、群馬銀<8334>など銀行株が下落。そのほか、サンアスタリスク<4053>、フジクラ<5803>、福山通運<9075>、東証スタンダードではクルーズ<2138>、ホリイフード<3077>、アテクト<4241>、デザインワン<6048>、東証グロースではアマナ<2402>、DELTA-P<4598>、ブティックス<9272>などが値下がり率上位に並んだ。
セクターでは、石油・石炭製品、その他製品、鉱業を筆頭に多くのセクターで上昇した。一方、サービス業、非鉄金属、医薬品などが下落した。東証プライム市場の値上がり銘柄は54%、対して値下がり銘柄は42%となっている。
本日の東京市場は取引開始時こそやや下げたものの、本日も決算関連の物色がさかんで、前日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)指数上昇により一部の半導体関連銘柄も好調だった。ドル・円は11月3日の1ドル=149.18円を底値に再び円安・ドル高方向へ進行していることも下支えとなっている。
昨日の国会答弁のなかで、日本銀行の植田総裁は物価見通しの度重なる上方修正で予想の甘さに対する批判を容認しながらも、現行の金融政策の正当性を主張する内容であり、日銀による早期金融政策変更への期待は一段と後退したとみられる。
一方、米国では長期金利上昇は一服している。パウエルFRB議長は昨晩参加の会議で、金融政策や経済見通しに関するコメントはなかったが、他のFRB要人からは追加利上げの余地を残す発言も見られており、ややしばらくは円安・ドル高となりやすい地合いが続きそうか。
後場も引き続き決算関連の物色が中心となりそうだ。ただ、決算への失望感から急落する銘柄も散見されるため、決算内容を確認してから動いた方が安心か。また、昨日の米国市場時間外でアーム・オールディングスが決算への失望感から急落し、投資収益を下押しする懸念からソフトバンクG<9984>が売り優勢でスタートしたが、その後持ち直している。出資先のウィーワーク破綻の影響も懸念されているため、本日大引け後に発表される決算には注目が集まりそうだ。
(二階堂千穂)
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