1. 家具・家庭用品事業の動向
近年の三栄コーポレーション<8119>の成長は、家具・家庭用品事業がけん引し、そのビジネスモデルはOEM事業が売上の9割超を占める。2013年3月期に17,007百万円だった売上高は2017年3月期に27,431百万円まで成長、2018年3月期は欧州顧客の大口のスポット受注の剥落や米国量販店向けの縮小などが影響して、23,053百万円まで売上高を下げたが、今後も大黒柱であることは間違いない。
成長著しいブランドとして、自社のeコマースブランド「MINT」がある。自社の販売サイト、楽天やYahoo!で販売しており売上規模は相対的に小さいものの、2018年3月期の売上高が前期比で約1.5倍と好調である。また、家具・家庭用品事業のブランドとして、2ブランド(WMF、Silit)の総輸入代理店契約の解消と同じタイミングで、2017年10月より家庭用品の新規ブランド「Villeroy & Boch(ビレロイ&ボッホ)」の取り扱いを開始した。270周年を迎えるドイツの老舗ブランドであり、今期は通年で業績が計上され、今後の市場浸透が期待される。
2. 服飾雑貨事業の動向
服飾雑貨事業ではブランド事業の存在感が高く(約58%)、本来収益性の高いセグメントである。
同社最大のブランドであるビルケンシュトックは子会社(株)ベネクシーが運営する。ドイツで240年以上の伝統がある機能美に優れたコンフォートサンダル・シューズブランドであり、1万円以上の価格帯にもかかわらず熱いファン層に支持されている。直営の63店舗とeコマースで販売され、長く使う顧客が多い商品だけに自社運営のアフターサービスも充実している。2018年3月期にはペリエ千葉店、三井アウトレットパーク長島店、ラゾーナ川崎店をオープン。一時期のブームは落ち着いたものの、集客力のある商業施設に出店できており、業績は堅調である。
キプリングは1987年にベルギーで誕生したナイロンバッグのブランドであり、キプリングモンキー(猿のマスコット)とともに遊び心のあるカジュアルブランドとして世界的に有名である。同社では直営9店舗(銀座など、アウトレット含む)、全国有名百貨店(約60店舗)での取り扱いを行う。近年、並行輸入品が出回り、業績にマイナスの影響を及ぼしてきたが、今期はその対策の効果が徐々に表れつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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