24日の米株式市場でのNYダウは30ドル高(+0.09%)と小幅ながら3日続伸。引き続き当局による新型コロナウイルスワクチン正式承認を受けた景気回復期待が支援材料に。原油高や企業の好決算も手伝い終日堅調に推移した。ハイテクも強く、ナスダック総合指数は連日で史上最高値を更新した。米株高を素直に好感した本日の日経平均は36.03円高の27768.13円でスタートすると、そのまま165.62円高の27897.72円まで上げ幅を拡げた。ただ、28000円が視野に入るなか、今週に入って既に900円近くも上昇していただけに、その後は戻り待ちの売りに押された。前引けにかけて失速し、結局、前日終値とほぼ同水準で終えている。
個別では、前日の米株市場の動向を映した物色となっており、INPEX<1605>、日本製鉄<5401>、JFE<5411>、UACJ<5741>、DOWA<5714>、三井金<5706>などの資源関連株が大きく上昇している。なお、日本製鉄は、トヨタ<7203>が部品会社向けの鋼材卸売り価格を下期から値上げするとの報道が、JFEは証券会社による業績上方修正などがそれぞれ追加の刺激材料となっているもよう。また、アルミ大手のUACJも、ダイキン<6367>
が主力のエアコンに使用する素材を銅からアルミニウムに切り替える方針との報道が追加の支援材料になっているようだ。そのほか、開発中の新型コロナワクチンの初期の臨床試験で安全性を確認したと発表した塩野義<4507>が急伸し年初来高値を更新している。
一方、公募・売出実施による希薄化や需給悪化懸念からコロワイド<7616>が急落。
業績上方修正を発表も出尽くし感が優勢となった内田洋行<8057>は朝方は買いが先行したものの伸び悩んで反落。8月既存店売上高が前年同月比で18.5%減となったニトリHD<9843>は窓を開けて大きく下落している。
東証1部の売買代金上位ではソフトバンクG<9984>が久々の大幅上昇。米国市場での中国ADR(米国預託証券)の下落一服感などが好感されているようだ。そのほか、トヨタやデンソー<6902>などの輸送用機器が大きく上昇、レーザーテック<6920>、第一三共<4568>、ベイカレント<6532>、ヤマハ発<7272>、ZHD<4689>、JAL<9201>、楽天グループ<4755>なども大幅高となっており、東邦アセチレン<4093>は商いを伴って3日連続の急伸劇となっている。
セクター別では鉱業、輸送用機器、鉄鋼などが上昇率上位に並んでいる一方、小売業、化学、パルプ・紙などが下落率上位に並んでいる。東証1部の値上がり銘柄は全体の45%、値下がり銘柄は48%となっている。
本日の日経平均は朝高後の失速で、従前通り、28000円手前での根強い戻り待ち売り圧力を窺わせた。朝方大きく上昇していた資源関連株も前引け時点では上昇率を半分程にまで縮小している。さすがに売り方の買い戻しにも一服感といったところで、ここから先、28000円を超えていくには新規の材料が必要だろう。
手掛かり材料難のなか、無難通過が想定線といえども、27日に開催される米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を見極めたいとの思惑も強まりやすい。
米国での新型コロナワクチンの正式承認でワクチン接種率が高まるとの期待で、今週は一転して景気回復期待が高まっているわけだが、米国でワクチン接種を拒んでいる人達を対象に行われた一部のアンケート調査では「ワクチンが正式承認されたら打つ」と回答した人は10人につき3人の割合だったという。接種率が加速するとの見方を否定するつもりはないものの、やや期待先行の面が否めない。
また、米中の経済指標の下振れ傾向、デルタ株に変わる新たな変異株出現の可能性、世界的なサプライチェーンの乱れなど、景気減速懸念や企業業績下押し懸念につながるその他の要因が今週になって急に消失したわけではない。日経平均も依然としてレンジ相場の域を出ていない。ここからの戻りは限定的となることを想定しておきたい。
一方、前引けにかけてやや失速したものの、前日に25日移動平均線を手前に上ヒゲをつけて上値の重さを窺わせていたマザーズ指数は本日も堅調で、25日線を捉えてきている。景気減速懸念がくすぶり東証1部の主力株の戻りに一服感が出てきているなか、底打ち感が強まってきた新興株の動きを注視しておきたい。
<AK>
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