(2) Webソリューション事業
a) シルバーマーケティング支援
「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーネットワークを活用してアンケート等による定性・定量調査や要介護高齢者へのサンプリング等を行うことで、顧客企業のマーケティングリサーチやプロモーション支援を展開している。「ケアマネジメント・オンライン」はケアマネジャーの業務支援を目的としたポータルサイトで、介護保険法改正を含む介護に関連する最新情報や、業務に必要なツール・マニュアルなどを提供しており、ケアマネジャー業務に欠かせないツールとして定着している。2024年3月期においても業務支援ツールのブラッシュアップや外部企業とのタイアップによりコンテンツの質・量を高めており、特に2023年10月にはChatGPTを活用した業務支援ツールを新たに開発した。ケアマネジャーの文章作成業務などを支援する機能であり、ケアマネジャーは業務効率を大幅にあげることが可能になる。足元では利用者からの評判もよく、問い合わせも多い状況だ。これらにより、会員数は順調に増加しており、2024年3月期第2四半期末時点で10万人超のケアマネジャーが会員登録している。今後も、同ポータルサイトの訴求力を高めていく方針であり、2024年春の介護保険法改正に向けてさらなるコンテンツ拡充に注力していく方針だ。
同社は「ケアマネジメント・オンライン」を通じて全国約360万の高齢者世帯とつながっており、このケアマネジャーネットワークを活用して顧客企業のマーケティングを支援している。大手食品メーカーなどをはじめ、多数の実績があるようだ。
b) 仕事と介護の両立支援
働きながら介護をする人が増加するなかで、介護が理由で離職・転職する人が増加している。このような状況の下、同社は企業の福利厚生サービスをパッケージ※にして顧客企業の従業員向けに提供し、仕事と介護の両立を支援している。2022年3月期には(株)ロッテ、(株)日立アカデミー、帝人<3401>、兼松<8020>等、2023年3月期には日立グループ各社、コーンズグループ会社、2024年3月期第2四半期には日立グループ計25社、(株)エレケア、丸三証券<8613>が新たに同サービスの導入を開始しており、2024年3月期第2四半期末時点で導入企業は210社、会員数は230万人超となっている。企業のESGやSDGsに対する関心が高まるなか、従業員の生活の質向上や満足度の向上を実現するために同サービス導入を検討する企業が増えると考えられる。また、2023年11月には厚生労働省が介護離職を防止することを目的に、すべての企業に対して介護支援制度等の周知を義務付ける方針を決定している。こうした政府方針の下、同サービスに対する需要がさらに高まっていくことが想定される。
※具体的には、介護セミナー等の開催、介護情報Webサイトの運営、介護コンシェルジュ(電話やメールによるケアマネジャー紹介、介護施設紹介、介護保険申請代行等)がある。
c) メディカルソリューション
製薬メーカーや医療機器メーカー向けに疾患啓発や利用状況などのマーケットデータを提供する、医療用薬品マーケティング支援サービスを提供している。「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーを活用し、メディカル領域に特化したケアマネジャー会員向けのWebアンケートや、「ケアマネジメント・オンライン」内で啓発コンテンツの展開等を行っている。同社は今後、メディカルソリューションを事業化することでWebソリューション事業の拡大を目指している。2023年3月期からは営業活動を強化しており、製薬企業・医療機器メーカー向けのセミナー開催やプロモーション活動に注力している。複数の新規受注を獲得しており、今後のさらなる業績寄与が期待される。
(3) アクティブライフ事業
2023年3月期期首の分社化に伴い、子会社のカンケイ舎が事業を承継している。在宅介護事業所や2021年4月に完全子会社化したフルケアなどを通じて、高齢者やその家族が必要とする生活支援関連物品を販売している。なかでも、介護環境の整備に係る福祉用具のレンタル・販売、介護予防福祉用具のレンタル・販売、住宅改修サービスを主に提供している。最近では、2022年10月に広島県において住宅リフォーム事業を展開する正光技建をM&Aし、事業ポートフォリオを介護保険外へと拡大している。同社の連結子会社化によって、従来は外注していたフルケアの住宅改修工事をグループ内で施工することが可能になった。さらに、フルケアが正光技建向けの案件を獲得し、同社に紹介するなど、事業活動面でのシナジー効果も生まれている。
今後は、レコードブック事業での運動機能把握ノウハウを生かした福祉用具の貸与・販売サービスの展開を計画している。レコードブックで得られたデータを同事業と掛け合わせることにより、利用者一人ひとりの生活全般をサポートし、自宅においても利用者の介護予防を推進していく方針だ。
なお、正光技建をM&Aしたことに伴い、2024年3月期第2四半期から従来のケアサプライ事業をアクティブライフ事業へと名称変更した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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