5日の米株式市場でダウ平均は9.98ドル安(-0.03%)、ナスダック総合指数は-0.12%とそれぞれ小反落。週次失業保険申請件数が予想を下回り労働市場の強さが再確認されたため、追加利上げを警戒した売りが先行。一方、原油安に加えてサンフランシスコ連銀総裁が政策金利の据え置きを示唆したことで、長期金利の落ち着いた動きが下値を支え、終盤にかけては下げ幅を縮めた。米株安や前日に急反発した反動が意識された日経平均は71.41円安からスタート。前日に続き短期的な戻りを狙った買いが入ったほか、香港株の大幅高を背景に上昇に転じる場面もあった。しかし、今晩の米雇用統計を前に様子見ムードが強く、上値では戻り待ちの売りも出たことで、前日終値を挟んだもみ合いにとどまった。
個別では、原油市況の下落基調を背景にコスト高懸念が和らいだ三菱製紙<3864>
や東北電力<9506>などのパルプ・紙、電気・ガスが大きく上昇。マネックス証券とNTTドコモの資本業務提携を契機とした業界再編に対する思惑が続き、マネックスG<
8698>を筆頭にマネパG<8732>など証券・商品先物取引が大幅高。金利の上昇一服を背景に住友林業<1911>、住友不動産<8830>の建設・不動産も高い。JAL<9201>、山崎製パン<2212>、武田薬<4502>、JT<2914>などのディフェンシブも堅調。川崎汽船<
9107>などの海運、前日戻りの鈍かった三菱商事<8058>などの大手商社も上昇。業績・配当予想を大幅に上方修正した三陽商会<8011>はストップ高まで買われた。好決算が手掛かりとされた薬王堂HD<7679>、キユーピー<2809>、既存店売上高の動向が好感されたJINSHD<3046>も大幅高。
一方、INPEX<1605>、石油資源開発<1662>が連日で大きく下落。米オープンAI社が独自のAIチップを製造する見込みとの一部報道を受け、米エヌビディアの業績に対する懸念が台頭したか、東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、芝浦メカトロニクス<6590>などの半導体関連が軒並み大幅安。好決算ながらも出尽くし感が先行したオンワードHD<8016>やトーセイ<8923>、国内証券が投資判断を引き下げたUBE<4208>なども大きく下落。ほか、MSOL<7033>、M&A総研<9552>、インソース<6200>などのグロース(成長)株の下落が目立つ。
セクターでは鉱業、電気機器、機械が下落率上位に並んでいる一方、証券・商品先物取引、パルプ・紙、海運が上昇率上位に並んでいる。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の24%、対して値上がり銘柄は73%となっている。
本日の東京株式市場は動きの乏しい展開。今晩の米雇用統計の発表を前に様子見ムードが強まっている。米9月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+17万人と8月
(+18.7万人)から小幅に伸びが鈍化する見込み。一方、平均時給は前年同月比+4.3%と8月(+4.3%)から横ばいが予想されているが、モメンタムを示す前月比は+0.3%と8月(+0.2%)から加速する見込みだ。また、失業率は3.7%と8月(+3.8%)
から低下する予想。全体的に労働市場の堅調を再確認することが事前の予想として織り込まれているため、投資家の警戒感は既に相応に高まっていると思われ、市場予想並みの結果にとどまれば、あく抜け感から株式の買い戻しが先行しそうだ。
一方、投資家の先行きに対する警戒度合いを示す恐怖指数、米VIX指数は3日、4日と連日で一時警戒モードの基準値とされる20を上回った。終値ではいずれも20を下回り、5日は18.49へと低下しているが、下向きから横ばいに転じつつある200日移動平均線を上回った状態が続いており、投資家の警戒感はくすぶっている。神経質な状態のなか、米雇用統計が市場予想を上振れてしまえば、素直にリスク回避の動き、すなわち金利上昇・株価下落が再開すると考えられるため注意が必要だ。
ほか、ここ最近、米長期金利の上昇に対して底堅さが見られていた半導体株が本日総じて弱い動きになっていることが気がかりだ。米オープンAI社が独自のAIチップを製造する見込みとの一部報道を受け、米エヌビディアの業績に対する懸念が台頭したことが背景にあるようだ。今晩の米国市場で雇用統計が上振れる可能性に加えて、米エヌビディアをはじめとした半導体株の下落もリスクとして意識されるなか、連休明け後の東京市場への警戒感は高まっている。後場も日経平均は上値の重い展開が続きそうだ。
(仲村幸浩)
<AK>
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- 18日香港・ハンセン指数=寄り付き19595.50(+169.16) (11/18)
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