大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 以下:DNP)は、リサイクルに貢献するポリプロピレン(以下:PP)をベースとした自動車用加飾フィルムの量産技術を確立しました。DNPが長年培ったPPフィルムへの印刷・加工技術を活かして高い意匠性・成形性を実現したこの新製品は、温室効果ガス(Green House Gas:GHG)排出量の削減も期待できます。
なおDNPは、2024年5月15日(水)~6月5日(水)にSTAGE1が、7月10日(水)~7月31日(水)にSTAGE2が開催される「人とくるまのテクノロジー展2024 ONLINE」にて本製品を紹介します。
【環境配慮製品の開発の背景と概要】
国内では年間で約350万台の自動車が廃車されています。2002年に自動車リサイクル法*1が制定され、廃車の95%以上*2がリサイクルされるようになった中で、解体・破砕後に残るプラスチックくず等の、自動車シュレッダーダスト(ASR:Automobile Shredder Residue)は、サーマルリサイクル(焼却処理)されています。欧州では「自動車設計・廃車(End-of-Life Vehicles:ELV)管理における持続可能性要件に関する規則案」改定の検討が進み、近い将来、自動車への再生プラスチックの使用が義務化される見込みであり、国内外の自動車メーカーや自動車関連部材を扱う企業はその対応に動いています。こうした状況に対し、自動車部品として使用量が多くリサイクルに適したPPは、今後更に増加が見込まれる一方、加飾フィルムのベースとして使用すると、インキの密着性が弱く、高い意匠表現と物性・成形性の両立が難しいという課題がありました。DNPは、培ってきた印刷技術・ノウハウを活かして、高い意匠性と物性・成形性を両立させるという課題を解決し、PPをベースとした自動車用加飾フィルムの量産技術を確立しました。
【今回開発した製品の特長】
PPをベースとした自動車用加飾フィルムを提供することで、自動車のリサイクルに貢献します。
PPは、現在汎用的に使われているアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)よりも原料製造時のGHG排出量が少ないため、自動車部品全体でGHG排出量の削減につながることが期待できます。
DNPのコンバーティング(材料加工)技術*3を応用・発展させることで、PPをベースとした自動車用加飾フィルムの優れた意匠性と物性・成形性の両立を実現し、量産技術を確立しました。
■「人とくるまのテクノロジー展2024 ONLINE」開催概要
○会期 : 〔STAGE1〕 2024年5月15日(水)~6月5日(水)
〔STAGE2〕 2024年7月10日(水)~7月31日(水)
○DNPの出展内容: https://www.dnp.co.jp/biz/eventseminar/event/20173934_4966.html
【今後の展開】
DNPは常に事業活動と地球環境の共生を考え、環境問題への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。2020年3月には「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。特に「脱炭素社会」の実現に向けては、2050年度までに自社拠点での事業活動にともなうCO2等のGHG排出量を実質ゼロにする目標を掲げるとともに、製品・サービスを通じたGHG排出量の削減を進めています。
その一環で、リサイクルにも貢献する環境配慮型の自動車用加飾フィルムを国内外の自動車業界を中心に提供し、2030年度までに累計100億円の売上を目指します。また、環境配慮型の製品として、塗装工程を必要としない外装用フィルムも開発し、同様に展開していきます。
*1 自動車リサイクル法(経済産業省)について
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/automobile_recycle/about/recycle/recycle.html
*2 リサイクルについて(一般社団法人日本自動車工業会の資料から)
https://www.jama.or.jp/operation/ecology/recycle/index.html
*3 コンバーティング技術:材料の変形・複合を行う等の加工技術。DNPは、製膜・コーティング・ラミネート・賦型・転写・スリット・印刷・成形等フィルム等の素材を加工する強みを有している。
※記載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
※ニュースリリースに記載された製品の仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
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