4月11日の取引終了後に発表した2025年11月期第1四半期決算は、売上高で前年同期比4.1%増の1,565百万円、営業損益で8百万円の赤字(前年同期は6百万円の黒字)となった。介護事業における前期の事業所閉鎖の影響はあったものの、成長をけん引する福祉事業は、売上高で前年同期比10.0%増の877百万円、営業利益で同12.1%増の38百万円。中長期的な企業価値向上の推進に向けて、2024年5月に資本業務提携を締結した株式会社パパゲーノを完全子会社化し、就労継続支援B型事業所1事業所を取得、想定以上の稼働となっている。通期の業績予想となる売上高6,622百万円(前期比6.2%増)、営業利益172百万円(同18.7%増)と比較して順調な推移といえる。通期では事業所の新規開設を加速するとともに、完全子会社化したパパゲーノで取り組んでいる支援記録アプリの導入を進め、IT/AIを活用したDX化による成長スピードの加速を図る方針。主力となる福祉事業では、需要が高まっている「就労継続支援B型」「生活介護」の開設を強化する。
2027年11月期を最終年度とする中期業績計画は、売上高で7,563百万円、営業利益で330百万円が見込まれている。今回の計画では、従来に福祉、介護、外食それぞれに新規出店を見込んでいたものが、2026年11月期に外食1店舗の新規出店を見込むだけで、成長の続く福祉事業での新規出店(2025年11月期~2027年11月期まで毎期6店舗)に注力していくこととなる。今期予想をスタート地点とした営業利益のCAGRは+38.5%成長に加速することとなる。
介護や障がい者支援をてがける類似企業と比較した場合、コロナ禍による収益悪化の影響もあり、今期予想を含めた同社の収益性、成長性の数値に特段目立った数値はない。ただ、障がい者支援が成長軌道に乗りつつある現状において、類似企業と比較して規模感の小さい同社の成長性は極めて大きくなることは想像に難くない。中期業績計画を達成した時点で利益成長率20倍・PER20倍で評価された場合の株価は2,000円強が意識されることになる。
国内の障害者人口は15年で約1.8倍に増加しており、障害者総数(身体・知的・精神障害者数)は1,160.2万人で、障害者全体の16.5%の方が障害福祉サービスを利用している。また、障害福祉サービス利用者数・予算ともに増加し続けており、需要は拡大している。同社事業領域における市場規模も拡大するなか、放課後等デイサービスや居住支援を中心に未就学から成人後までサポートできることが同社の強みとなっている。
同社は今後、主力の福祉事業に資源を集中投下し、さらなる事業間のシナジー強化を図っていく。特に、障害者の自立支援の場の拡充として、就労継続支援B型等の18歳を超える成人の就労支援に注力していくようだ。就労移行支援事業所をより強い業態へ進化するために直近では、独自開発のeラーニングシステムを活用し、在宅でもITスキルを学ぶ仕組みを構築している株式会社manabyとの資本業務提携を締結したほか、就労継続支援B型事業所を運営する株式会社パパゲーノについては資本業務提携後、2024年12月には完全子会社化している。市場環境の追い風が続く中、M&Aを活用した非連続的な成長が続く可能性もある。
<HM>
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