1. 大規模建造物のノウハウを一般的な住宅に生かすSE構法
大規模建造物のノウハウを一般的な住宅に生かすSE構法とは、従来、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート構造)において主流だったラーメン構法(骨組み(部材)の各接合箇所を剛接合したもの)を木造住宅に取り入れ、安全かつ便利に利用できるようにシステム化したエヌ・シー・エヌ<7057>独自の木造建築用建築システムである。圧倒的な強度を持つ、独自の木造建築用システムは、現在に至るまで同社の強みであり、20年来の施工・建築経験の蓄積により、他社には追随できない知的財産となっている。
同構法は、すべての建物に構造計算を行い、構造品質の高い集成材を採用。接合部に独自開発したSE金物を使用しており、集成材とSE金物によって高い耐震性と大空間が実現する構造計算から部材供給・施工・検査・性能保証まで一括管理できるシステムである。
2. 法改正に先立って省エネ計算の新サービスを展開
改正建築物省エネ法の施行(2021年4月予定)により、300平方メートル未満の住宅・非住宅を対象として基準適合の可否等の説明が義務化される。同社では法改正に先立って新サービスをリリースし、2019年10月末時点で施工登録店111社に実施済みである。
法改正後は、省エネルギー性能指標であるBEI値という新しい数値に変わる。基準値からどの程度エネルギーが減ったかをパーセント表示し、住宅性能を表すものだ。大手ハウスメーカーはこの対応に反応してきているが、工務店や一般の建設業者はこのノウハウがないため、同社が計算する事業を新たに展開している。また、同社は500社を超えるネットワークを有しており、フランチャイズではすべて同じ数値になりがちだが、ネットワーク化によって各社の商品開発に対してランキングを提示するサービスを行う。これにより個人住宅向けのBEI値表示が増えてきており、これまでのアパートの温熱計算から個人住宅にシフトしたことにより単価が上昇している。2019年10月から本格出荷となっているため、下期以降の業績に寄与することになる。
3.耐震性能の「見える化」によって示された構造計算の耐震性
木造軸組構法住宅を対象とする数値解析ソフトウェアであり、住宅の倒壊解析に有効といわれる国内唯一のシミュレーションソフト「wallstat」がオープン化された。京都大学生存圏研究所、国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所、東京大学大学院での開発者の研究成果を元に製作している。これにより国が定める耐震性能の「見える化」が推進される。
ただし、耐震設計には、耐震等級構造の解析を行わずに建築する場合の手法であり、床面積当たりの筋交いの長さを簡易的に計算する「壁量計算」と、同社が提供する許容応力度設計による構造計算のように、建物の重さと風圧力・地震力などを計算し、柱・梁の大きさを算定する一般的な手法である「構造計算」の2種類がある。「壁量計算」と「構造計算」のシミュレーションを実施したところ、国が定める壁量計算による耐震等級3の耐震性は、建築基準法の基準値比1.91倍、一方で構造計算による耐震等級3の耐震性は、2.44倍であった。構造計算による耐震性の強さが証明される検証結果である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
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