今週の新興市場は大幅上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+5.63%だったのに対して、東証グロース市場指数は+4.38%、東証グロース市場250指数は+4.68%。3月19日に、日本銀行は金融政策決定会合にて「マイナス金利の撤廃」等を発表。「現状の金融緩和を当面維持する」ことが確認できたことで、為替は円安に推移。輸出関連銘柄などプライム市場の大型株優勢の展開となり日経平均が強い動きを見せるなか、新興市場も下落していた分を取り戻す格好となった。週末にかけては、QPS研究所<5595>やIPO銘柄に短期資金が向かい、グロース市場の1日の売買代金は3月7日以来の2000億円超えと商いは膨らんだ。
個別銘柄では、生成AIを活用したデジタルマーケティングのインハウス支援サービス(広告主によるインターネット広告等の運用方針策定などを支援するサービス)を開始したイーエムネットジャパン<7036>が急騰。また、INFORICH<9338>は、モバイルバッテリーシェアリング会社などを経営管理する豪Ezycharge社の発行株式のうち51%を取得すると発表し買われた。このほか、自社の国産ドローンが防衛省航空自衛隊の空撮用ドローンとして採用されたと発表したACSL<6232>が強い動きとなったほか、VALUENEX<4422>は非開示としていた24年7月期の連結営業利益予想を0.59億円(前期実績0.38億円)と発表し急騰。一方、24年7月期の営業損益予想を従来の2.50億円の黒字から0.09億円の赤字(前期実績1.51億円の黒字)に下方修正した売れるネット広告社<9235>がきつい下げとなった。
なお、21日、グロース市場に上場したトライアルHD<141A>の初値は公開価格1700円を30.3%上回る2215円となった。同じくグロース市場に上場したSTG<5858>の初値は公開価格1920円を67.4%上回る3215円。22日にグロース市場に上場したジンジブ<142A>は買い優勢となり初値は翌営業日へ持ち越しとなった。
■3月期末最終週で新興市場は物色の蚊帳の外か、IPOは12社
来週の新興市場は、IPOに短期資金が向かうことで、21日や22日のように売買代金は増加する可能性はあるが、東証グロース市場コア20など時価総額が大きい主力銘柄の売買は細る展開を想定する。3月期末の最終週ということで、個人投資家は高配当銘柄などプライム市場に関心が向かいやすいことも影響し、新興市場の主力処は物色の蚊帳の外となりそうだ。
来週予定されている新規株式公開(IPO)は12社あるが、コロンビア・ワークス<146A>を除く11社がグロース市場に上場することで、日替わり物色の忙しい相場展開となろう。IPO以外では、売買代金急増で上場来高値を更新したQPS研究所に注目だが、目立った売買材料が観測されていないなかでの急騰のため、乱高下の可能性はあるので注意は必要だ。
IPOなど個別物色が中心となることで、東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数など指数の方向感は乏しくなろう。両指数ともに75日移動平均線からの反発で、25日移動平均線は回復しているが、来週はこの25日移動平均線水準での値固めを試すと想定する。
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