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2020/12/08 - エノモト(6928) の関連ニュース。■エノモト<6928>の業績動向1. ヒストリカルな収益動向この30年程度を俯瞰すると、起伏の多い業績となっている。「産業のコメ」と言われる半導体関連メーカー向けに電子部品を製造供給しているため、波のある半導体市場にある程度左右されるのは仕方なく、高い技術力と適応力でそうした荒波を乗り越えてきた事実は大きい。1990年代はパソコンの普及やデジタル化の流れのなかで半導体向け需要が拡大したが、2000年代に入るとITバブルの崩壊により業績が低迷した。その後LEDの普及とともに業績は改善したが、2008年のリーマンショックを契機に再び業績が低迷、その後は

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エノモト Research Memo(5):荒波を乗り越え、飛躍の材料が揃ってきた

配信元:フィスコ
投稿:2020/12/08 15:15
エノモト<6928>の業績動向

1. ヒストリカルな収益動向
この30年程度を俯瞰すると、起伏の多い業績となっている。「産業のコメ」と言われる半導体関連メーカー向けに電子部品を製造供給しているため、波のある半導体市場にある程度左右されるのは仕方なく、高い技術力と適応力でそうした荒波を乗り越えてきた事実は大きい。1990年代はパソコンの普及やデジタル化の流れのなかで半導体向け需要が拡大したが、2000年代に入るとITバブルの崩壊により業績が低迷した。その後LEDの普及とともに業績は改善したが、2008年のリーマンショックを契機に再び業績が低迷、その後は東日本大震災、急激な円高、中韓メーカーの低価格での参入と業界環境が悪化、2013年3月期に巨額の当期純損失を記録した。このため、同社は2014年1月に構造改革をスタートしたが、そのタイミングでスマートフォンが普及、円安の追い風も吹いた。さらに、これまでの業界環境の悪化や価格競争によって市場を退出したメーカーが多かったこと、スマートフォンのハイスペック化に対応する「メイドインジャパン」品質の電子部品を安定かつ大量に供給できるメーカーが少なくなってきたことから、同社の業績は急回復することになる。装置産業であることに加え高精密化やハイスペック化により現在も年々参入障壁が高くなっており、「残存者メリット」を享受しやすい環境になってきた。さらに足元、車載用やウェアラブルなどで高精度化・超小型化ニーズが急速に拡大、ますます同社に需要が集中する事態となっている。次の5年、10年、30年に向けて飛躍の材料が揃ってきたといえる。


新型コロナの中でスマートフォン、ウェアラブル向けは好調継続
2. 2021年3月期第2四半期の業績動向
2021年3月期第2四半期の業績は、売上高10,464百万円(前年同期比5.7%減)、営業利益448百万円(同11.6%減)、経常利益459百万円(同8.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益332百万円(同7.4%減)となった。前年同期に比べて進捗率は若干高くなっている。

第1四半期を中心に国内外とも新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けたが、国内では、製造業を中心に一部で持ち直しの動きが見られるようになった。海外では、中国など経済活動が回復に向かっている地域はあるものの、欧米を中心に新型コロナウイルス拡大のスピードは弱まっておらず、非常に不安定な状況が継続している。国内の電子部品業界については、低迷している分野と比較的堅調な分野が混在しており、同社も、モバイル向けはスマートフォン新モデル向けの繁忙期を迎えて想定以上に堅調に推移したが、車載向けは世界的な販売台数の減少と海外工場の稼働低下の影響を受けて弱含んで推移、結果として売上高は減収となった。売上総利益率は、比較的採算のよい高機能のモバイル向けコネクタ用部品の売上高が伸びたためミックスが改善して向上、一方販管費は、新型コロナウイルスによる稼働低下で抑制できた部分もあったが、新型コロナウイルス対策の費用が嵩んだことにより微増となった。なお、期中の生産抑制などにより出荷が一時停滞したこともあるが、第2四半期にはすでに契約通り順調な進捗となった。このため同社の業績も、通期業績見通しを公表した2020年8月時点での想定を上回る勢いで回復している模様である。

用途別の動向は、車載向けが、電子部品搭載率やエアバッグの搭載車種の増加などにより1台当たりのコネクタ点数が増加しているが、新型コロナウイルスにより世界の自動車販売の状況が厳しく、車載向けに強いフィリピンを中心に同社も苦戦した。一方、スマートフォン向けは、新型コロナウイルスに加え米中貿易摩擦が懸念材料だったが、5G対応やカメラの高機能化を背景に新機種への期待が高まり、同社も想定以上の需要となった。また、ウェアラブル向けの微小コネクタが、実用期入りしたウォッチタイプやワイヤレスイヤホンに加え、VR・AR、グラスタイプ、医療用やスポーツ用など普及に弾みがついた。このため、有力大手メーカーでもウェアラブルの導入が本格化し始めたが、急激な増産に耐えられる同社への発注が増えている模様である。ウェアラブルの好調は今後も続きそうだ。

製品群別の売上高は、IC・トランジスタ用リードフレームが3,251百万円(前年同期比13.5%減)、オプト用リードフレームが1,294百万円(同3.4%減)、コネクタ用部品が5,585百万円(同1.0%減)、その他が333百万円(同7.2%減)となった。全般的に新型コロナウイルスの影響は大きかったということができる。IC・トランジスタ用リードフレームは、民生用機器向け部品の受注は比較的安定していたが、自動車向け部品が国内外の自動車販売台数減少の影響を受けた。オプト用リードフレームは、LED用リードフレームが大型ディスプレイやアドバタイズメントなど人が集まる施設向けだったことから、「3密」を避ける新型コロナウイルスの影響がより強く出た。コネクタ用部品については、スマートフォン向け部品が引き続き堅調、ウェアラブル向け部品は最終製品が使用先の拡大により順調に増加した。その他は、リレー部品や金型部品などが設備投資需要減少の影響を受けた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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配信元: フィスコ

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