日経平均は小幅続伸、下値の堅さが意識されて切り返す
9日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は52.82ドル安(-0.13%)の39291.97ドル、ナスダックは25.55ポイント高(+0.14%)の18429.29、S&P500は4.13ポイント高(+0.07%)の5576.98で取引を終了した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を控えて様子見気配が強まり、寄り付き後、まちまち。議長が証言で最近のデータで経済や労働市場の減速が見られると言及したため、警戒感からダウは下落に転じた。一方、ナスダックはハイテクの買いが継続し、底堅く推移し6日連続で過去最高値を更新し、まちまちで終了した。
米国株が高安まちまちのなか、昨日の大幅高の反動が先行し東京市場は売り優勢で取引を開始した。半導体株の一角が弱い動きを見せたが、保険や銀行、証券など金融株が総じて買われる地合いとなり日経平均は切り返す動き。取引時間中の史上最高値(7月9日の41769.35円)更新とはいかなかったが、下値の堅さは確認できるしっかりとした相場付きとなった。
日経平均採用銘柄では、米系証券会社による投資判断引き上げ観測を材料に三菱自動車工業<7211>が大幅高となったほか、保険株が買われて東京海上<8766>、MS&AD
<8725>が上場来高値(分割考慮)を更新、T&Dホールディングス<8795>は年初来高値を更新した。このほか、サッポロHD<2501>、スズキ<7269>、HOYA<7741>、三越伊勢丹<3099>が買われた。
一方、中期経営計画を修正し26年3月期営業利益を460億円まで引き上げたものの、市場予想に届かなかったことからGSユアサ<6674>が下げ幅を拡大したほか、三菱重<7011>が続落。このほか、レーザーテック<6920>、ソシオネクスト<6526>、スクリーンHD<7735>など半導体株の一角もさえない。
業種別では、保険業、証券・商品先物取引業、精密機器、銀行業、海運業などが上昇した一方、機械、倉庫・運輸関連業、不動産業、卸売業、パルプ・紙などが下落した。
為替は1ドル161円50銭台で推移しており、前日比では円安ドル高が進行している。パウエルFRB議長の議会証言内容がこれまでの発言内容とほぼ同じだったことで、早期の利下げ観測が後退。時間外の米10年国債利回りは4.30%とやや上昇している。今晩もパウエルFRB議長の議会証言は行われるが、「データ次第」という昨晩のスタンスはそのままが予想されるため材料視されないだろう。
昨日の東京市場は、パウエルFRB議長の議会証言に対する期待感が高まったことで先物の買戻しを誘ったと言われているが、期待に反して早期の利下げ観測は後退した。にもかかわらず、日経平均、TOPIXは史上最高値圏を維持したままである。昨日の大幅高の背景は、ショートカバーだけではなく、何かしらの投資資金が流入していると考える。一部では大型株を中心としたオイルマネーも流入しているとの話も聞こえる。後場の日経平均、TOPIXはじりじりとした上昇も期待できよう。
<AK>
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