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2022/10/24 - 新電元(6844) の関連ニュース。―伸びしろ十分、世界に周回遅れも官民強力タッグで成長ロードに陰りなし― 3月期決算企業の上期(4-9月)決算発表が本格化するなか、投資家にとっては動きづらい状況が続いている。また、相も変わらず米国の金融引き締め姿勢に振り回され、腰を据えた買いを入れられないのも歯がゆい。水際対策の大幅緩和に加え円安進行を追い風に、インバウンド関連株に買いの手が伸びていることは救いだが、立ち止まって考えれば、こうした暗中模索相場の時にこそ近い将来に飛躍期を迎えることが確実視される有望セクターに目を向ける好機といえそうだ。電気自動車(EV)へのシフトが加速するなか、それを支える「EV充電器」の設置は、海外に比べ大きく

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仕込み好機の「EV充電器」関連、国策追い風にスピードアップへ <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2022/10/24 19:30

―伸びしろ十分、世界に周回遅れも官民強力タッグで成長ロードに陰りなし―

 3月期決算企業の上期(4-9月)決算発表が本格化するなか、投資家にとっては動きづらい状況が続いている。また、相も変わらず米国の金融引き締め姿勢に振り回され、腰を据えた買いを入れられないのも歯がゆい。水際対策の大幅緩和に加え円安進行を追い風に、インバウンド関連株に買いの手が伸びていることは救いだが、立ち止まって考えれば、こうした暗中模索相場の時にこそ近い将来に飛躍期を迎えることが確実視される有望セクターに目を向ける好機といえそうだ。電気自動車(EV)へのシフトが加速するなか、それを支える「EV充電器」の設置は、海外に比べ大きく出遅れている。しかし、EV推進はもはや国策であるだけに、逆に考えれば現在の状況は「伸びしろが大きい」ともいえるわけだ。成長ロードに陰りなし、仕込み好機のEV充電器関連に改めて注目した。

●大幅な市場拡大を予想

 加速する脱炭素の動きを背景に、EVシフトが鮮明化している。株式市場でも投資家の熱い視線を集めるが、いまひとつ国内ユーザーの食いつきは鈍い。背景にある大きな要因の一つが、EV普及に欠かせない充電インフラの整備の遅れだが、取材を進めると「世界に周回遅れ」との厳しい声も業界関係者からは漏れてくる。ここにきて、ようやくEV充電器の設置が加速し始めているものの、普及には程遠い状況だ。ただ、政府も手をこまねいてはいない。カギを握る充電器に関して、2030年までに公共用で急速充電スタンド3万基を含む15万基の整備を目標に掲げインフラ整備を支援していく構えにあり“周回遅れ”をはね返す突破力に期待がかかる。

 市場調査会社の富士経済「EV/PHV用充電器と関連サービスの国内市場」の調査では、「30年までの国家整備目標『公共用急速充電器3万基』の達成に向けて、国内市場の将来展望が明確になった。25年まで現行水準の助成が継続された場合には目標達成の可能性が高まっている。市場は公共用を中心に拡大し、35年には21年比6.7倍の5万5000個(コネクター数)が予測される」と分析。集合住宅向けについても「今後開発する全ての新築分譲マンションの駐車区画の50%に充電設備を導入し、設置しない駐車区画にも今後の導入を見越して空配管を設置するケースがみられる。新築向けの大規模導入、また、賃貸住宅への導入も進む」と、大幅な市場拡大を予想する。

●インフラの充実なければ絵に描いた餅

 中堅証券アナリストに、カギを握る充電設備について意見を聞くと「EVの普及促進は、ただ生産台数を増やして、価格帯も下がればいいということではない。エネルギーを補充するインフラが充実していなければ絵に描いた餅だ」と指摘。加えて「充電する時に時間がかかるというのは論外で、ガソリン車並みにとは言わないまでも、可能な限り短い時間で満タンに充電ができなければならない。もしくは中国式に車載電池を丸ごと交換するという手段だが、それも場所や人員配置など制約が多い。その点で急速充電器に対するニーズは高いと思う」と話す。

●民間の動きも加速

 充電インフラを巡る民間の動きも加速している。直近では、9月30日に東京ガス <9531> [東証P]が、全国シェア約4割を占めるIHI扶桑エンジニアリング(東京都江東区)の二・多段式駐車装置にEV充電サービス「EVrest(イーブイレスト)」の提供を開始すると発表。安価なコンセント式充電装置及びスマートフォンアプリを利用するEVrestの導入でEV充電設備・EVの普及拡大を目指す。また6月には、ENEOSホールディングス <5020> [東証P]が、NEC <6701> [東証P]からEV充電サービス事業の運営権を取得し、約4600基にも及ぶ充電器の運営をスタートした。石油元売り大手の事業構造転換の動きとしても注目が集まっている。

 乗用車はもちろんだが、トラック業界においてもEV化の加速は命題だ。三菱ふそうトラック・バス(=MFTBC、川崎市中原区)は、9月からEVトラック向け充電器の導入サービスを開始した。MFTBCの電気小型トラック「eCanter(イーキャンター)」現行モデルから利用でき、顧客の運用パターンに合わせた最適な充電器の選定から設置工事までを、ワンストップで行うというもの。イーキャンターの販売拡大を図る狙いもあるが、EVトラック導入加速に向けて一役買いそうだ。同サービスの充電器提供パートナーとして日東工業 <6651> [東証P]及びニチコン <6996> [東証P]、充電器の設置工事パートナーではミライト・ワン <1417> [東証P]などと協業する。充電器では日東工の普通充電器(AC充電器)、ニチコンの急速充電器(DC充電器)など多彩なラインアップとなるが、AC充電器については平河ヒューテック <5821> [東証P]などの製品も選べるという。

●ニチコンは出番到来

 このなかニチコンは9月、新たに100キロワット(2口)及び50キロワット出力(1口)のEV・PHV(プラグインハイブリッド車)用急速充電器を開発し販売を開始した。これにより、昨年12月に出荷を開始し初号機が首都高速道路大黒パーキングエリアに設置された200キロワットマルチ(6口)急速充電器と合わせて、大出力急速充電器の製品ラインアップが揃った。同社の23年3月期第1四半期の連結営業利益は、前年同期比4倍の25億2800万円と急拡大。株価は下値模索の展開が続くが、急速充電器分野でも攻勢を強めており活躍期待が高まる。また、蓄電池関連株の一角としても注目を集めるだけに、電力需給が逼迫する冬に向かうなか目が離せない。

 日東工は、部品調達難により受注を停止していたEV充電器「Pit-2G(ピット・ツージー)」シリーズについて、順次生産を開始しており今月から受注を再開した。9月28日には同製品がMFTBCの純正用品として採用されたと発表。第1四半期の連結営業利益は、前年同期比83%減の3億3500万円と大きく落ち込んだが、じわり事業環境にも明るい兆しが見えるなか復活の時を待つ。

●攻勢強めるエネチェンジ

 ENECHANGE <4169> [東証G]は、電力・ガス切り替えプラットフォーム「エネチェンジ」を提供するが、ここEV充電器分野で攻勢を強めている。各地でEV充電器の設置を進める同社だが、9月30日に、Webマーケティングやソフト開発事業を手掛けるアユダンテ社(東京都千代田区)からEV情報メディア・充電スポット検索アプリを運営するEVスマート事業を譲受したことを発表。今月18日には、JTB商事(東京都中野区)と、エネチェンジが提供するEV充電サービス「エネチェンジEVチャージ」の販売パートナー契約及び工事請負基本契約を締結したと発表。両社が連携することで、JTB商事の法人顧客を対象にEV充電インフラ整備を加速させる方針だ。同社は6月に、エネチェンジEVチャージに最大300億円を投資する計画を発表しており、27年までに3万基のEV充電器の設置を目指す方針だ。業績は上期営業損益が赤字転落で着地し株価も調整を強いられたが、ここにきては反転攻勢の気配を強めている。

●ブイキューブは注力姿勢鮮明

 ネット会議システムなどを提供するブイキューブ <3681> [東証P]に、EV充電関連の一角として目を向けてみたい。同社は7月、シンガポールのEV充電サービス関連事業を展開するシンガポールの「CHARGE+(チャージプラス)」への出資を発表。出資を通じ、東南アジアにおける事業展開の支援を行うとともに、日本国内における事業の検討・準備を開始するとしている。国内での事業展開では、CHARGE+が得意とするマンションや住宅、企業などEV充電器の設置ニーズだけでなく、ゴルフ場やホテル、ショッピングセンターや商業施設といった場所へのソリューション展開の検討を進めているという。こうしたなか9月には、EV充電サービスのプラゴ(東京都品川区)と、国内でのEV充電分野のソリューション連携を目的として資本・業務提携を締結したと発表するなど、同分野への注力姿勢が鮮明だ。数少ない異業種からの参入となるが、面白い存在となる可能性も秘めている。

●そろそろ東光高岳、新電元

 東光高岳 <6617> [東証P]は蓄電池関連としても投資家の注目を集めるが、EV用パワーコンディショナーやEV用急速充電器なども手掛けており切り口多彩だ。10月からリーズナブルな価格帯、かつ2~3時間でフル充電可能な中容量EV用急速充電器「HFR1-15B11」シリーズを順次発売する。第1四半期は、営業利益が前年同期比56.9%増で着地しており通期上方修正期待も出ている。

 パワー半導体、通信用電源などを手掛ける新電元工業 <6844> [東証P]も、急速充電器分野を深耕している。7月には、最大出力90キロワットのEV用急速充電器SDQC2F90シリーズに、国際標準通信プロトコル「OCPP」対応モデル2機種を追加し、8月から受注を開始すると発表。これにより、自動車ディーラーや商業ブランドで、独自の充電決済システム構築が可能になるという。同社の第1四半期の連結営業利益は前年同期比17.1%減となったが、経常利益は同26.8%増の19億7700万円で着地。上期計画24億円に対する進捗率は82.4%に達している。

●HIOKI、構造計画にも活躍期待

 急速充電器の普及加速は、その周辺分野にも恩恵を与えることになる。急速充電器の開発評価を行うHIOKI <6866> [東証P]にも注目。同社は9月29日、EV急速充電口から直接バッテリーを計測する技術を開発したと発表。同技術により、車に搭載されているバッテリーパックの特性を直接計測し、その計測結果から状態検査ができるようになったとしており、性能検査や中古車価値査定における活躍期待が膨らむ。そのほかでは、急速充電ステーションの最適配置に関する解析調査で実績のある構造計画研究所 <4748> [東証S]にも目を配っておきたい。

株探ニュース
配信元: 株探

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