ブランド製品事業の売上高 は前年同期比16.4%減の170.78億円、セグメント損失は20.17億円(前年同期は18.52億円の損失)となった。主力のクリエイティブソリューションは、コロナ禍で発生した前倒し需要からの回復遅れや中国で顕著な消費者センチメントの悪化など市場環境の変化による影響を受けるなか、ディスプレイ製品、ペンタブレット製品ともに新商品投入によるラインアップの強化を図ったものの、既存モデルの販売が減少し、前年同期の売上高を下回った。ビジネスソリューションは、流動的な市況や案件進捗の動向の影響があるなか、全体の売上高は前年同期を僅かに下回った。
テクノロジーソリューション事業 の売上高は同14.2%増の385.13億円、セグメント利益は同5.5%増の69.15億円となった。PC需要動向などOEM提供先の市場環境の変化による影響を受けるなか、AESテクノロジーソリューション全体の売上高は、前年同期を僅かに下回った。スマートフォンやタブレット、電子ペーパーに関連したOEM提供先の需要が増加したことから、EMRテクノロジーソリューション全体の売上高は、前年同期を上回った。
2024年3月期通期については、同日、連結業績予想の上方修正を発表した。売上高が前期比3.3%減(前回予想比6.3%増)の1,090.00億円、営業利益が同123.5%増の45.00億円、経常利益が同81.3%増(同15.6%増)の52.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同120.4%増(同19.7%増)の39.50億円としている。連結業績予想の上方修正の主な要因として、売上高については、ブランド製品事業において需要減少を見込む一方で、テクノロジーソリューション事業において需要増加を見込んでいる。営業利益については、テクノロジーソリューション事業のセグメント利益の上方修正を見込む一方で、ブランド製品事業のセグメント損失計上見込みへの下方修正により相殺されるなど、各事業の売上総利益率の違い等により、前回予想を据え置いている。なお、想定為替レートを円安に改定した影響を反映し、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益については、いずれも前回予想を上回る見通しとしている。
ワコムは、決算発表同日に行った決算説明会において、今年5月の決算説明会で行った「(中期経営方針)Wacom Chapter 3」アップデートプランの改編を行うことが明言されている。その主な理由は、ブランド製品事業における直近の業績動向を踏まえて、環境変化を見極めながら、ブランド製品事業の収益性改善のシナリオ再設定が必要としている。そして、前回5月に発表した取組みを深化させるための追加構造改革(商品ラインナップ構成・販路・組織の最適化)を実施し、事業運営体制の改善と強化による構造改革を加速させることで次期中期経営方針Chapter 4への移行を確実なものとしたい旨が説明された。なお、今後のスケジュールとしては、2024年1月を目途として、 運営体制及び追加構造改革プランの内容・進捗報告、2024年5月を目途として、改編の効果を反映した2025年3月期の具体的な経営計画及びChapter 4の見通しアップデートの説明が実施される予定としている。
<SO>
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