3. 2025年3月期の業績見通し
ミマキエンジニアリング<6638>は2025年3月期の業績見通しについて、売上高80,800百万円(前期比6.8%増)、営業利益6,500百万円(同18.6%増)、経常利益5,800百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万(同7.9%増)と見込んでいる。なお、主要な為替レートの前提は、1米ドル=138円、1ユーロ=150円でやや保守的な印象だが、業績自体は、中長期成長戦略「Mimaki V10」にむけて着実に確保していきたい水準である。
世界経済は、北米や欧州においてインフレ鎮静化とそれに伴う政策金利の引き下げに向けた動きが見込まれる一方、中国の経済成長率鈍化や、ウクライナと中東の情勢のさらなる悪化など地政学リスクの高まり、米国大統領選挙がもたらす政治的な影響など、世界経済の先行きは依然不透明で予断を許さない状況が続く見込みである。このような環境下、同社は、中長期成長戦略「Mimaki V10」に基づき、売上高を成長させながら高い収益を継続的に生み出す企業基盤の構築に向けて取り組んでいく方針である。
売上高については、不安定な世界経済に加えて、中東情勢の悪化に伴う海上輸送のリードタイム長期化の影響を受ける見通しだが、既存製品の販売拡大と新製品の投入を進めるとともに営業活動をさらに強化することで、SG、IP、TAの各市場向けとFA事業すべてで増収を見込んでいる。地域別では、国内とアジア・オセアニアに加え、2024年3月期の景気低迷から回復が見込まれる欧州、底堅い景気拡大が継続する北米など、全エリアでの増収を見込んでいる。利益面では、中東情勢の悪化などに伴う海上輸送コストの上昇を織り込む一方、2024年3月期に高コスト部材を使用した製品の販売が進んだことから、売上高原価率の改善を見込んでいる。また、営業活動の強化など売上につながる費用を増やす方針だが、販管費率は2024年3月期並みを見込んでいる。この結果、増収効果と採算改善により2ケタの営業増益を予想している。
市場別では、SG市場向けの売上高は30,501百万円(前期比3.1%増)を見込んでいる。欧州での販売が平常化することに加え、2024年3月期新製品の通期寄与や、今期投入予定の新製品も一定程度織り込んでいるようだ。IP市場向け売上高は21,807百万円(同8.8%増)を見込んでいる。SG市場向け同様に欧州での販売が平常化することに加え、大型フラットベッドUVインクジェットプリンタ「JFX600-2531」の販売を6月に開始する予定である。「JFX600-2531」は高単価のため、売上を押し上げることが期待されている。TA市場向けの売上高は12,771百万円(同34.8%増)を見込んでいる。2024年3月期に販売した「TxF150-75」が引き続き好調、加えて「TxF150-75」向けのインクが稼働することもあり、大幅増収の予想となった。FA市場向け売上高は5,345百万円(同17.9%増)を見込んでいる。2024年3月期の一時的要因が解消するため2ケタ増収予想となっている。
エリア別では、国内及びアジア・オセアニアで販売が引き続き拡大するほか、全エリアで増収を見込んでいる。日本は好調継続を背景に、売上高22,609百万円(前期比7.3%増)を見込んでいる。北米は景気拡大が底堅く継続するため、売上高16,217百万円(同4.2%増/現地通貨ベース9.2%増)を見込んでいる。欧州は前期に景気停滞の影響を大きく受けた反動もあり、売上高18,965百万円(同5.9%増/現地通貨ベース10.6%増)と回復を見込んでいる。アジア・オセアニアは中国での好調、インドやタイ、インドネシアの堅調を見込み、売上高14,014百万円(同9.0%増)の予想となっている。その他は中南米などで堅調な販売が見込まれ、売上高8,993百万円(同9.5%増)の予想となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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