15日の米株式市場でNYダウは反発し、236ドル高となった。9月のNY連銀製造業景況指数が34.3と8月(18.3)から大きく改善し、原油先物相場の上昇も加わって景気敏感株を中心に買いが入った。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで94円高からスタート。ただ、寄り付き直後に一時30622.39円(110.68円高)まで上昇した後は上値が重く、マイナスへ転じた。中国恒大集団の債務問題への懸念から香港ハンセン指数が下落し、時間外取引のNYダウ先物もマイナス転換したことで、前場中ごろを過ぎると30308.69円(203.02円安)まで下落する場面があった。また、新興株の下げがきつく、マザーズ指数は-4.28%で前場を折り返した。
個別では、レーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、キーエンス<6861>、東エレク<8035>、任天堂<7974>といった値がさ株の軟調ぶりが目立つ。郵船<9101>や商船三井<9104>は小安い。外資系証券の投資判断引き下げが観測されたディスコ<6146>
は売りがかさみ、第1四半期が減益だったコーセル<6905>も急落。また、宮越HD<6620>は中国恒大集団を巡る不安が波及したとみられ、東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、川崎船<9107>、トヨタ自<7203>、ファーストリテ<9983>などは堅調。原油高で出光興産<5019>などが買われ、ユナイテド海<9110>など中小型海運株の物色も活発のようだ。また、特別配当実施を発表した日本空調<4658>が乾汽船<9308>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、その他製品、証券、情報・通信業などが下落率上位。一方、石油・石炭製品、鉱業、食料品などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の72%、対して値上がり銘柄は24%となっている。
本日の日経平均は米株高の流れを引き継いで反発スタートしたが、その後上値が重く、前場中ごろからは値を崩す格好となった。中国恒大の債務問題を巡っては、20日期限の利払いを行わない見込みと当局が銀行に伝えたと報じられている。中国では中秋節と国慶節の休暇(それぞれ9月19~21日、10月1~7日)が控えていることも、破綻処理への思惑を強めているもよう。負債は3000億ドル(約33兆円)以上に上るとされており、中国経済への影響が懸念されるばかりでなく、中国恒大株・債券を保有する海外投資家も多い。
マザーズ指数については1180pt近辺に位置する200日移動平均線水準まで急上昇してきたため、目先の利益確定の売りが出やすかったとの指摘もあるが、なかなかそれだけでは説明しづらい下げ方だろう。日本でも来週は20日(月)が敬老の日、23日
(木)が春分の日で祝日となるため、この間の海外リスクを嫌った個人投資家に利益確定の売りが広がったと考えられる。ここまで大きく上昇してきた中小型株ほど本日の下げ幅は大きい。
中国恒大は債務整理や政府・銀行による救済、さもなくば倒産が不可避とみられており、中国内外の経済や金融市場にどのような影響を与えるか注視する必要があるだろう。もっとも、前場のネット証券売買代金ランキングを見ると、レーザーテックや郵船などが買い超となっている。やはり出遅れていた個人投資家の押し目買い需要は強いようだ。また、海外でも8月末以来の強い値動きに日本株への関心が広がっているという。前日は日経平均が反落したが、先物手口を見ると海外短期筋の利益確定とみられる売りが観測される一方、UBS証券、BofA証券、JPモルガン証券などが日経平均先物や東証株価指数(TOPIX)先物を買い越していた。
日経平均が2月高値を付けた2月15日週から8月23日週までの投資主体別売買動向を見ると、外国人投資家は現物株を2000億円弱、TOPIX先物を1兆円強、日経平均先物を7000億円強それぞれ売り越していた。グローバルマクロ系を中心とした海外ファンドが売り目線だったことが日本株伸び悩みの背景だったという当欄の見立てと整合的で、さらに言えばここからの買いの余地が大きいことがわかる。
また、10日申し込み時点の信用買い残高(東京・名古屋2市場、制度・一般信用合計)は3兆2596億円と3週連続で減少し、約3カ月ぶりの低水準になったという。やはり2月高値以降の調整局面で積み上がっていた買い持ちの解消も順調に進んでいる。
今晩の米国では8月小売売上高の発表が予定されており、中国恒大問題も含め海外情勢に大きく左右される場面は出てきそうだ。ただ、明日17日には自民党総裁選が告示され、新政権への期待を支えに日本株への強気ムードは続くとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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