1. 2020年12月期の業績見通し
不二精機<6400>の2020年12月期会社予想は売上高7,447百万円(前期比13.0%増)、営業利益425百万円(同9.8%増)、経常利益385百万円(同12.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益337百万円(同16.3%増)とした。収益性の高い射出成形用精密金型及び成形システム事業の増加、精密成形品その他事業はインドネシア子会社の増産に加え、2019年12月期に子会社化した秋元精機工業の売上寄与などで増収を見込み、利益面では自動化投資により原価率改善を進めることで増益確保を見込む。なお期初会社計画策定は2019年末に成されたもので、コロナウイルスによる収益影響については加味されておらず、コロナウイルス感染の影響が長引けば、2020年12月期の収益に大きな影響が出る恐れがある。
2. 事業の動向について
事業別では射出成形用精密金型及び成形システム事業が4.6%増の3,056百万円、精密成形品その他事業が19.6%増の4,391百万円を予想。射出成形用精密金型及び成形システム事業ではあらかじめ注射器のシリンジに薬液を詰めておくプレフィールドシリンジ(以下、PFS。薬剤が充填されている注射器)を中心とした医療用関連分野金型の増加から、堅調な伸びが見込める。精密成形品その他事業においては、インドネシアでの自動車部品の増加が3億円、2020年12月期から秋元精機工業の売上が4億円加わり、合計で720百万円増を見込んでいる。ただし、昨今の中国、タイ、インドネシアの自動車生産の減速、加えてコロナウイルスの世界経済への影響が直撃することを考慮すると、上期において自動車部品向けの売上予想が未達成となる懸念がある。さらに下期もこの影響が残るとみられ、全体として上期に大幅な会社計画の未達成が懸念され、下期にコロナウイルスの影響が収まったとしても、上期の計画未達成を埋めるだけの世界経済の復元力は期待できないことから、2020年12月期の会社計画達成はかなりハードルが高いと見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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