28日の米株式市場でダウ平均は213.08ドル高(+0.62%)と続伸、ナスダック総合指数は+0.84%と続伸。中国政府による資本市場の活性化策が好感され買いが先行。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を無難に消化した後の長期金利の低下が続いたことも投資家心理を改善させた。米株高を受けて日経平均は110.58円高からスタート。序盤は買いが先行し、早い段階で32389.12円(219.13円高)まで上げ幅を広げた。ただ、前日の大幅反発で買い戻しは大方進んでいたとみられ、中国・香港株の上昇や為替の円安基調は続いていたものの、日経平均はその後失速し、前引けにかけては前日終値近くまで戻す場面が見られた。
個別では、東京電力HD<9501>、北海道電力<9509>、四国電力<9507>のほか、イーレックス<9517>、レノバ<9519>など電気・ガスセクターが軒並み高。小田急電鉄<9007>やJR西<9021>の陸運のほか、パンパシHD<7532>、マツキヨココ<3088>、三越伊勢丹<3099>、など前日大幅に売られたインバウンド関連には買い戻しの動きが見られる。ほか、三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、野村不HD<3231>の不動産セクターが堅調。三井ハイテック<6966>、そーせい<4565>、東和薬品<4553>、相鉄HD<9003>、住友重<6302>などは証券会社のレーティング格上げの動きが好感された。東証プライムの値上がり率上位にはネットプロHD<7383>、Sansan<4443>、メドピア<6095>、ANYCOLOR<5032>など中小型グロース(成長)株が多く見られる。
一方、レーザーテック<6920>、ディスコ<6146>、ルネサス<6723>、キーエンス<6861>、ソニーG<6758>、イビデン<4062>、村田製<6981>などハイテクで軟調なものが多く見られる。三井物産<8031>、三菱商事<8058>、丸紅<8002>の商社、日本製鉄<5401>、JFE<5411>の鉄鋼といった資源関連のほか、銀行・保険などの金融セクターも軟調。
セクターでは電気・ガス、陸運、不動産が上昇率上位に並んでいる一方、銀行、鉱業、保険が下落率上位に並んでいる。東証プライム市場の値上がり銘柄が全体の56%、対して値下がり銘柄は40%となっている。
前日の米国市場では先週末の流れが続いて長期金利が低下した一方、株価指数は続伸した。週明けも米長期金利の動きが落ち着き、米株価指数が続伸したことで、ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を無難に消化した後のあく抜け的な動きが一過性に終わっていないことは投資家心理の改善につながっているようだ。
一方、ダウ平均やS&P500種株価指数、ナスダック指数の米主要株価3指数は25日線および50日線に上値を抑えられる状況を依然として脱していない。本日の日経平均は75日線上に復帰しているが、前引けにかけては失速、すぐ上を走る下向きの25日線が上値抵抗線として強く意識される形となっている。
東証株価指数(TOPIX)は25日線および75日線上に復帰しているが、6月中旬以降のレンジ相場が長期化する形で本日は日経平均との対比でも上値の重さが目立っている。また、直近3~6カ月間の価格帯別の累積売買動向をみると、TOPIXは現在位置する2300ポイント近辺に商いが最も集中している。この水準を明確に上抜けてレンジ相場を脱するには大きなエネルギーが必要と考えられ、足元の相場動向を踏まえると相応の材料が出てくるとは期待しにくい。
前日の日経平均は大幅に反発し、あっさりと32000円台を回復したが、500円超も上昇した割には東証プライム市場の売買代金は7日連続での2兆円台にとどまった。
東京証券取引所が公表する空売り比率(価格規制あり・なし合計)は先週末25日には45.7%だったが、28日は40.6%まで低下した。イベント通過後のあく抜けに伴う短期筋の買い戻しは前日で大方進んだとみられ、これが本日の株価の伸び悩みの背景と考えられる。
一方、日経平均とTOPIXが伸び悩んでいるのに対してマザーズ指数が大幅に続伸し、200日線近くまで水準訂正を果たしてきた。今週は米FRBの金融政策を左右する経済指標が多く発表されるが、個人消費支出(PCE)コアデフレーターや雇用統計などの重要度の高い指標は週後半に集中している。このため、明後日までは警戒感が高まりにくく、本日のようなマザーズ指数の相対優位な展開が続く可能性がありそうだ。目先はテクニカル重視で売られすぎ感の残る中小型グロース株の短期リバウンド継続に期待したい。
(仲村幸浩)
<AK>
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