~超硬小径エンドミルで業界No.1、新開発センターで市場開拓を加速~
・1Qの好業績を受けて、会社は今期の業績計画を上方修正した。営業利益で、従来の1770百万円を1920百万円(前期比+26.9%)としたが、まだ慎重な姿勢である。コロナ禍の影響と半導体不足の需要への波及を固めに見ていることによる。
・前下期から回復に入っていたが、電子部品関連、自動車関連とも需要は上向いている。前期の在庫調整も一巡しているので、生産面ではさらにプラスに働いており、仙台工場の操業度は上がっている。新型コロナウイルスの余波はまだ続くが、5GやDX、製品のインテリジェント化が需要面でリードしている。
・自動車関連では、ADAS(先進運転支援システム)の拡がりが精密工具の需要に結びついている。5G関連も製品化が拡大し、新しい精密加工の分野が本格化しつつある。EV(電気自動車)やFCV(水素燃料電池車)も有望である。
・昨年3月に本格稼働した新開発センター(投資額13億円)は、実際の加工ができるように新たな機械も揃え、次のニーズ開発に活かしている。この開発センターは、先進的な免震・制震構造を取り入れたオールラウンドの免震構造である。実際2月、3月の地震の時にはその効果を如何なく発揮した。次の工場新設の時にはこの技術が活かされよう。
・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。コーティングを強化した新製品、業界トップのCBN(立方晶窒化ホウ素)小径エンドミルの用途は広がっている。PCD(ダイヤモンド焼結体)のエンドミルも、鏡面加工の分野などで市場開拓が始まっている。
・6月に新製品5軸MC加工用3枚刃ボールエンドミル(MSBSH330-5X)を発売した。3軸より5軸の方が多様な加工ができるが、制御が難しい。これに対して、3枚刃で精度が出せるように対応し、好評価を得ている。今後、金型加工において利用されよう。
・目標とする売上高経常利益率20%は前期でも確保した。来期は業績回復に弾みがついて、経常利益率も24%が見込めよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場で高収益を実現する企業として引き続き注目したい。
目 次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 来期に向けて業績回復に弾みがつこう
5.企業評価 競争力を強化し、高収益への復帰
企業レーティング | A |
---|---|
株価 (2021年8月12日) |
1498円 |
時価総額 | 375億円 (25百万株) |
PBR | 2.46倍 |
ROE | 8.9% |
PER | 27.1倍 |
配当利回り | 1.3% |
総資産 | 16755百万円 |
純資産 | 15421百万円 |
自己資本比率 | 91.1% |
BPS | 609.6円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2014.3 | 6418 | 1069 | 1107 | 694 | 27.8 | 7.5 |
2015.3 | 7402 | 1481 | 1534 | 973 | 39.0 | 10.0 |
2016.3 | 8382 | 1914 | 1954 | 1342 | 53.7 | 12.5 |
2017.3 | 8825 | 2013 | 2026 | 1420 | 56.8 | 20.0 |
2018.3 | 9767 | 2685 | 2733 | 1903 | 76.1 | 22.5 |
2019.3 | 10476 | 2879 | 2894 | 1970 | 78.8 | 22.5 |
2020.3 | 9531 | 2219 | 2231 | 1545 | 61.8 | 22.5 |
2021.3 | 8100 | 1512 | 1712 | 1214 | 48.6 | 17.5 |
2022.3(予) | 9300 | 2000 | 2000 | 1380 | 55.2 | 20.0 |
2022.3(予) | 10000 | 2400 | 2400 | 1630 | 65.2 | 23.0 |
(2021.6ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2014年10月に1:2、2017年1月に1:2、2021年4月に1:2の株式分割を実施。2016.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2014.3期は60周年記念配(5円相当)、2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/niltusinnkougu202108.pdf
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