28日の米国市場でNYダウは564.69ドル高(+1.65%)と4日ぶり大幅反発。ウクライナ情勢や連邦準備制度理事会(FRB)の大幅な利上げを警戒した売りから寄り付き後下落。ただ、注目となっていた10-12月期雇用コスト指数が予想を下回る伸びにとどまったため金利が低下。アップルやビザの好決算も手伝い、ハイテクを中心に買われ上昇に転じた。ナスダック総合指数は+3.12%だった。一方、時間外取引で米国株高の動きを先週末に一部織り込み済みだったため、日経平均は26.74円安でスタートすると、26541.65円(-175.69円)まで下げる場面があった。しかし、ハイテク・グロース(成長)株を中心に買い戻しが強まるなか早々に切り返す展開に。時間外取引の米株価指数先物が下げ幅を縮めるなか、日経平均は前引けまで上げ幅を広げる動きが続き、26995.65円まで上昇した。
個別では、レーザーテック<6920>、アドバンテスト<6857>、東エレク<8035>などの半導体関連のほかソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、村田製<6981>などハイテクが上昇。商船三井<9104>や川崎汽船<9107>などの海運株やINPEX<1605>も高い。また日本電産<6594>、OLC<4661>、HOYA<7741>、エムスリー<2413>などのグロース株が総じて強い動き。自社株買いを発表したリクルートHD<6098>は6%近い上昇。好決算が評価されたアルプスアルパイン<6770>は急伸し、トプコン<7732>はストップ高まで買われ、ZOZO<3092>も大幅に上昇。一方、米長期金利の低下を受けて三菱UFJ<8306>、東京海上<8766>など金融株が下落。業績予想を下方修正したオムロン<6645>や中部電力<9502>が大幅に下落し、東京電力HD<9501>などは連れ安の形に。
セクターでは精密機器、サービス業、鉱業などが上昇率上位に並んだ。一方、保険業、電気・ガス業、銀行業などが下落率上位に並んだ。東証1部の値上がり銘柄は全体の72%、対して値下がり銘柄は23%となっている。
本日の日経平均は朝安後に切り返すと上げ幅を300円近くにまで広げ、心理的な節目の27000円を窺う位置まで回復した。先週末に時間外取引の米国株の動きを織り込んでいたこともあり、28日の米国市場でナスダックなどが大幅高となるなか夜間取引の日経平均先物は軟調だった。そのため、週明けも反動安などが懸念されたものの、しっかりと続伸してきたことは評価できる。恐怖指数とも呼ばれる変動性指数の米VIXが30台から20台へと低下してきたこともあり、市場心理の改善が買い戻しを促しているようだ。日経平均は27000円を早々に回復できれば、再び同水準を下値支持帯とした展開にも期待がもてそうだ。
本日は、直近まで相対的に強かった三菱商事<8058>などの商社や、住友鉱<5713>などの商品市況関連の銘柄の動きが鈍い一方で、下値模索の展開を続けていたマザーズ指数が4%を超える大幅反発となっている。東証1部でもSHIFT<3697>、JMDC<4483>、ラクス<3923>など下落のきつかったグロース株の多くが大幅に反発しており、年始からの物色のリバーサル的な動きが見られている。
ただ、こうした動きが継続性する可能性は高くない。年始からの下落率の大きさを踏まえれば、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、これから決算を迎えるというタイミングで一旦これまでの動きの反動が出てきても不思議ではない。しかし、先週のマザーズ銘柄の弁護士ドットコム<6027>の動きなどを見ている限り、決算ハードルはかなり高く、決算後も買いが続くとは考えにくい。また、決算が一巡してくる2月半ばにもなれば、再び3月のFOMCに向けた思惑が台頭してくるだろう。さらに、今週末には金融政策の決定に重要な米1月雇用統計の発表が控えており、これを前にグロース株の反発基調が長く続くことも考えづらい。本日の動きはあくまで短期的なリバーサルと捉えておいた方がよいだろう。
さて、後場の日経平均の動きには注目だ。前場に一気に27000円回復を窺うところまで切り返してきたが、結局、同水準の完全回復にはまだ至っていない。本日の間にこの水準を回復し、終値でも維持できれば、投資家心理は一段と改善し、今後の好決算銘柄に対しても素直に評価する動きが出やすくなるだろう。週明け早々に東京市場は目先の正念場を迎えた。
<AK>
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