今週の新興市場はほぼ横ばい。同時期の騰落率は、日経平均が-0.56%だったのに対して、グロース市場指数は+0.06%、グロース市場250指数は-0.12%となった。今週のグロース市場はコンスタントに1日あたり1500億円前後の売買代金をこなしており、2月から5月の下落局面時より商いは増加。JPX総研が公表したTOPIXの新たな改革案を巡り、ジーエヌアイグループ<2160>、トライアルHD<141A>、インテグラル<5842>、カバー<5253>など時価総額や売買代金の大きい銘柄に組み入れ期待が入り上昇したことなどが、グロース市場指数、グロース市場250指数を支える格好となった。プライム市場同様、方向感のつかみにくい地合いとなったが、週を通じて25日移動平均線より上での推移となった。
時価総額上位銘柄では、ウェルスナビ<7342>が反発継続となったほか、フリー<4478>、シーユーシー<9158>がようやく下げ止まった。一方、関心が高まっていたサンバイオ<4592>は、厚労省の専門部会が「アクーゴ」を条件および期限付きで承認したものの、一部報道で「当面は出荷できない」と伝わったことから急落。2日連続ストップ安となった。
今週の新規株式公開(IPO)は合計6社。18日にグロース市場に上場したインテグループ<192A>の初値は公開価格を50.0%上回る5940円。19日にグロース市場に上場したライスカレー<195A>の初値は公開価格を9.9%上回る1560円。20日にグロース市場に上場したPostPrime<198A>の初値は公開価格と同じ450円、WOLVES HAND<194A>の初値は公開価格を13.6%上回る875円だった一方、スタンダード市場に上場したタウンズ<197A>の初値は公開価格を6.5%下回る430円となった。また、21日にグロース市場に上場したMFS<196A>の初値は公開価格を8.0%下回る368円となった。
■25日移動平均線より上の水準での値固め、IPOは2社
来週の新興市場は、25日移動平均線より上の水準での値固めを想定する。売買代金が増加しているなか、25日移動平均線も上向きに転じたことから反発基調が強まる可能性もある。
カバーやインテグラルなど時価総額が大きい銘柄の売買が盛り上がっていることは、投資家のマインドがようやく好転してきたと捉えることもできよう。今後、出遅れ銘柄への物色が強まれば、上場後、さえない推移が続いているアストロスケールHD<186A>が反転する可能性もある。アストロスケールHDに関心が向かえば、ispace<9348>、QPS研究所<5595>など宇宙関連銘柄の刺激材料となり、グロース市場全体がより盛り上がるだろう。今年に入りQPS研究所はグロース市場の中心的存在だったため、戻り待ちの売りに押される可能性はあるが、3月及び4月の高値時点の売買代金はさほど膨らんでいないので、需給面はそこまで悪くないと考える。
なお、来週は27日にクラウドコンサルティングサービスなどを手掛ける豆蔵デジタルHD<202A>、28日に注文住宅事業を手掛けるロゴスHD<205A>がそれぞれグロース市場に上場する。今週のIPOは6社と多かったこともあり、初値が公募価格を割り込む銘柄が出るなど投資家の物色意欲は弱かった。来週は2社に絞られることから、堅調な初値形成、そして、初値形成後のしっかりとした価格推移に期待したい。
<FA>
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